企業におけるAI活用事例20選!売上向上、業務改善、価値創出など
近年、AI(人工知能)技術の進歩により、多くの企業が業務変革や売上向上を実現しています。しかし、「AIを導入したいが、具体的にどのような効果が期待できるのか分からない」「他社の成功事例を参考にしたい」という声も多く聞かれます。
本記事では、日本企業におけるAI導入の成功事例を4つの軸で整理し、計20社の具体的な成果をご紹介。
各事例では導入前の課題から導入後の定量的な効果まで、実際のデータを交えて詳しく解説していきます。

売上を大幅に伸ばした企業のAI活用事例

売上向上を実現した5つの事例をご紹介します。
- セブン-イレブン・ジャパンが生成AIで商品企画期間を1/10に短縮した事例
- ZOZOがAI診断で購入金額2倍を実現した事例
- 星野リゾートがダイナミックプライシングで稼働率向上を達成した事例
- あきんどスシローがRFID×AI需要予測で廃棄ロス30%削減した事例
- ユニクロがGoogle CloudのAIで過去最高売上を更新した事例
セブン-イレブン・ジャパンが生成AIで商品企画期間を1/10に短縮した事例

セブンイレブンが生成AIで商品開発を加速【記事紹介】 | AIフル装備
項目 | 内容 |
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企業名 | セブン-イレブン・ジャパン |
業界 | コンビニエンスストア |
ビフォー | 新商品の企画に4~6週間、ヒット可否は担当者の経験頼み |
アフター | 生成AIが販売データ+SNSを解析し企画期間を1/10(≈3日)に短縮し即投入 |
セブン-イレブンでは、商品ライフサイクルの短縮化により、企画が追いつかず売上機会を逸失するという課題を抱えていました。従来は担当者の勘に依存した商品開発で、データ活用も限定的だったのが現状。
生成AIの導入により、毎週新商品を投入できる体制を確立しました。Azure OpenAI Serviceと社内のPOS・SNS統合データベースを連携させることで、需要とトレンドを自動抽出。社内チャット連携により意思決定もリアルタイム化し、ヒット率試算により経営層の稟議が即日決裁へと変わりました。導入はDX本部が約6か月でPoC(概念実証)から全社展開を実現しています。
ZOZOがAI診断で購入金額2倍を実現した事例

ZOZOの超パーソナルスタイリング体験施設「niaulab by ZOZO」 体験者のZOZOTOWNへの訪問頻度が約1.5倍、購入金額は約2倍に! – 株式会社ZOZO
項目 | 内容 |
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企業名 | 株式会社ZOZO |
業界 | ファッションEC |
ビフォー | ユーザーが「自分の好み」を言語化できず回遊・購買が停滞 |
アフター | AIジャンル診断で送客率1.2倍/購入金額2倍/訪問頻度1.5倍 |
ZOZOが運営する「WEAR」や「niaulab by ZOZO」では、ユーザーが検索キーワードを曖昧にしか入力できないため離脱率が高く、顧客単価も停滞していました。GMV目標8,000億円への到達が困難な状況。
AI診断システムの導入により、12ジャンルを提示してユーザーの無意識ニーズを可視化することに成功しました。自社分類モデルとOpenAI GPT API、ARメイクSDKを組み合わせることで、「似合う」体験を数値化。体験者の購入金額が2倍に跳ね上がり、直接的な売上増加を実現。約18か月の開発期間を経て、LINEボット拡張で「会話から買う」導線の実装も予定しています。
星野リゾートがダイナミックプライシングで稼働率向上を達成した事例

星野リゾート代表に聞く、ホテルなどの観光業で価格を変動させる功罪 | 星野リゾート代表・星野佳路さんと考える「これからの観光」 | ダイヤモンド・オンライン
項目 | 内容 |
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企業名 | 星野リゾート |
業界 | ホスピタリティ(ホテル/旅館) |
ビフォー | 季節と曜日でほぼ一律価格、稼働率76%前後に頭打ち |
アフター | AI需要予測で価格を日次自動調整→稼働率80–87%、RevPARが2桁成長 |
従来の星野リゾートでは、繁忙期と閑散期の収益格差により利益が安定せず、手動での価格調整は担当者の工数が膨大という課題がありました。
AI需要予測システム導入により、価格を需要に応じて±20%まで日次でアルゴリズム調整する仕組みを構築。時系列需要予測モデル(XGBoostと自社予約・イベントデータ)を活用し、閑散期稼働率を8ポイント向上、繁忙期のADR(平均客室単価)を15%アップさせました。2019年からの自社内開発により、初年度約1億円の投資でノウハウを資産化しています。
あきんどスシローがRFID×AI需要予測で廃棄ロス30%削減した事例

外食産業×AI:成功事例から学ぶ需要予測と食品ロス削減の秘密 – SUN’s blog
項目 | 内容 |
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企業名 | 株式会社あきんどスシロー |
業界 | 外食(回転寿司) |
ビフォー | Excelで店舗ごと売上集計、廃棄ロス高止まり |
アフター | RFID+AI需要予測でリアルタイム生産→廃棄▲30%、客単価+5% |
スシローでは人気ネタの欠品やロスが多発し利益を圧迫、店舗ごとの勘頼み発注で可視化が不十分でした。
RFID(無線タグ)とAI需要予測を組み合わせることで、皿ごとのICタグによりレーン上の鮮度を秒単位でトラッキング。AWS SageMakerによる需要予測で人時生産性を改善し、40億件の皿データをAWSで学習して「握る量」を最適化しました。2018年のPoC(概念実証)から2021年の全店舗展開まで、数千万円の本部投資でPOS連携し全店クラウド分析のDX基盤を構築しています。
ユニクロがGoogle CloudのAIで過去最高売上を更新した事例

どの業界で活用されている?Google Cloudの導入事例をご紹介! – 株式会社G-gen(ジージェン)
項目 | 内容 |
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企業名 | 株式会社ファーストリテイリング(ユニクロ) |
業界 | アパレル小売 |
ビフォー | 気候変動など外的要因で在庫過多・欠品が頻発 |
アフター | Google CloudのAI需要予測で在庫最適化→過去最高売上を更新(FY 2024) |
ユニクロでは在庫ロスと欠品ロスの両立が困難で、グローバル展開によりサプライチェーン計画が複雑化していました。
Google CloudのVertex AIとBigQueryを活用し、気象APIと連携したモデルを構築。「気象×POS×SNS」をAIで統合して発注を自動生成することで、店舗別SKU精度95%の需要予測を実現し、欠品率を20%削減しました。投入量最適化によりFY24の売上高は過去最高を更新し、廃棄服を15%削減してCO₂削減によるESG評価向上も達成。Google Cloudとの共同で年10億円規模の長期投資を実施しています。
業務効率を劇的に改善した企業のAI活用事例
業務効率の大幅改善を実現した5つの事例をご紹介します。
- トヨタ自動織機が溶接異常検知で工数90%削減した事例
- 日本郵便がAI配達ルート最適化で配達時間15%短縮した事例
- ANAが航空機部品の予知保全で30日前予測を実現した事例
- 大和ハウス工業がWEBカメラ×AI進捗管理で遅延40%削減した事例
- アサヒビールが生成AI検索で実験工数50%削減した事例
トヨタ自動織機が溶接異常検知で工数90%削減した事例

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項目 | 内容 |
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企業名 | 株式会社トヨタ自動織機 |
業界 | 自動車部品製造 |
ビフォー | 溶接電流波形を人が後追い抽出。1本あたり15分かかり不良流出リスク高 |
アフター | AutoEncoderで異常波形を秒単位でメール通知。検査工数▲90%、不良流出ゼロ |
トヨタ自動織機では、溶接後の工程内不良が月30本超発生し、有資格者による目視確認がボトルネックとなっていました。従来の手法では1本あたり15分の検査時間が必要で、後追い確認のため不良流出リスクが高い状況。
AutoEncoder(自己符号化器)による無教師学習を導入することで、微小な異常も検知できるシステムを構築しました。異常波形を秒単位で検知し、通知メールに波形差分を添付することで現場での即座確認が可能に。Python、TensorFlow、自社DX基盤を活用し、構築費用3,000万円強で6か月という短期間でのロールアウトを実現。検査工数を90%削減し、不良流出ゼロを達成しています。
日本郵便がAI配達ルート最適化で配達時間15%短縮した事例

日本郵便がDXでラストワンマイルの課題に挑む――「AIを活用した配達業務支援システム」の共創に迫る。 – TOMORUBA (トモルバ) – 事業を活性化するメディア
項目 | 内容 |
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企業名 | 日本郵便株式会社 |
業界 | 物流・郵便 |
ビフォー | ルート作成を班長が手作業。新人は効率悪く不在率高 |
アフター | 走行データ+AIで自動最適化し配達時間▲15%/燃料費▲10% |
EC荷物の急増により再配達比率が15%を超え、高齢化で新人教育コストも増加していた日本郵便。班長による手作業でのルート作成では、新人配達員の効率が悪く不在率も高い状況でした。
CBcloud製アプリとAWS SageMakerを活用し、走行データとAIによる自動最適化システムを導入。AIが渋滞や天候を学習して日次でルートを更新する仕組みを構築しました。スマホアプリにパーソナライズされた巡回順をプッシュ通知することで、2020年の1,000人から2022年には6,000人へと展開を拡大。配達時間15%短縮、燃料費10%削減に加え、再配達率3ポイント減、CO₂排出8%削減も実現しています。
ANAが航空機部品の予知保全で30日前予測を実現した事例

【キーワードは「特徴量」と「ドメイン知識」】 AI x 異常検知!航空機部品が壊れる前に交換する、ANAの予知保全への挑戦 – MATLAB
項目 | 内容 |
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企業名 | 全日本空輸株式会社 |
業界 | 航空 |
ビフォー | 故障後に整備→遅延・欠航コスト年間数十億円 |
アフター | MATLAB機械学習で異常を30日前に検知、AOG▲25% |
ANAでは、ジャーナルベアリング損傷などの突発的故障により、遅延・欠航コストが年間数十億円に上っていました。故障後の整備では運航への影響が避けられず、整備部門では部品在庫過多も課題となっていました。
MathWorksと協力し、MATLAB機械学習による予知保全システムを12か月かけて開発。センサーデータをリアルタイム解析し、特徴量とドメイン知識を組み合わせたハイブリッド設計により、故障の30日前予測を実現しました。検知精度92%で運航ダイヤへの影響を大幅減少させ、AOG(Aircraft on Ground:地上待機)を25%削減。予備部品在庫も18%削減し、交換時期の最適な推奨が可能となっています。
大和ハウス工業がWEBカメラ×AI進捗管理で遅延40%削減した事例

大和ハウス、AIで管理業務を自動化。戸建住宅の全工事現場にWEBカメラを導入 – AIポータルメディアAIsmiley
項目 | 内容 |
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企業名 | 大和ハウス工業株式会社 |
業界 | 建設 |
ビフォー | 現場巡回と紙チェックリストで工程遅延把握まで1-2日 |
アフター | WEBカメラ映像をAI解析し即時進捗可視化、遅延▲40% |
住宅着工減による工期短縮圧力と現場人手不足に直面していた大和ハウス工業。従来の現場巡回と紙チェックリストによる管理では、工程遅延の把握まで1-2日を要していました。
全国1,400拠点にWEBカメラと5Gルータを標準装備し、IoT×AIダッシュボードによる全国戸建工事のリモート監視体制を構築。掘削・打設など7工程を画像で自動判定することで、即時進捗可視化を実現しました。2022年度の全現場展開により工程遅延を40%削減し、発注者への共有によりクレームも30%減少。リアルタイムな進捗管理により工期短縮と品質向上の両立を達成しています。
アサヒビールが生成AI検索で実験工数50%削減した事例

技術文書を100文字要約、アサヒビールがR&Dプロセスに生成AIを導入した2つの狙い:製造業×生成AI インタビュー(1/2 ページ) – MONOist
項目 | 内容 |
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企業名 | アサヒビール株式会社 |
業界 | 食品・酒類 |
ビフォー | 技術者経験値依存で試験回数多く開発リードタイム長 |
アフター | 生成AI検索+品質データ解析で実験工数▲50% |
新商品開発の多品種化により、情報探索に時間がかかっていたアサヒビールのR&D部門。技術者の経験値に依存した開発プロセスで、試験回数が多く開発リードタイムが長期化していました。
Microsoft Azure OpenAIと社内データ湖を活用し、R&D部門に社内LLM(大規模言語モデル)を実装。質問に対して関連文献と自社試験結果を秒で提示し、生成AIが次実験条件まで提案する仕組みを構築しました。年3,000時間の研究事務作業を削減し、実験工数を50%削減することに成功。技術情報検索システムにより、ナレッジの即座検索が可能となり、開発期間の大幅短縮を実現しています。
リスクを低減・コンプライアンスを強化した企業のAI活用事例
リスク管理とコンプライアンス強化を実現した5つの事例をご紹介します。
- みずほ銀行がAIメール監査「AiHawk Filter」で作業70%削減した事例
- 東京海上日動がドローン×AI損害調査で最短当日査定を実現した事例
- JALがAIエンジン内視鏡検査で検査時間60%短縮・見逃しゼロを達成した事例
- 損保ジャパンが個人情報マスキングLLM「おしそん」で文書漏えいリスクを解消した事例
- 愛知県×NECが顔認証スマートシティ実証で不正入場ゼロを実現した事例
みずほ銀行がAIメール監査「AiHawk Filter」で作業70%削減した事例

Blue Labとみずほ銀行が開発中のAI監査ツールとは(MIZUHO DX) | みずほフィナンシャルグループ
項目 | 内容 |
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企業名 | 株式会社みずほ銀行 |
業界 | 金融 |
ビフォー | 目視監査で1通あたり20秒、月400万通をカバーできず |
アフター | GPTベースでリスクメールを自動抽出し作業▲70% |
不適切販売や内部統制違反の未然防止が求められるみずほ銀行では、従来の目視監査では1通あたり20秒かかり、月400万通という膨大な量をカバーしきれない状況でした。
Blue Labとの共同開発により、GPTベースのAI監査ツール「AiHawk Filter」を導入。生成AIによる文脈判定で重要度スコアによりリスクメールを自動抽出し、監査優先度を色分け表示する仕組みを構築しました。トリアージ精度を88%から93%に向上させ、監査作業を70%削減することに成功。2025年末までに全グループ会社への展開を予定しており、金融業界のコンプライアンス強化の先進事例となっています。
東京海上日動がドローン×AI損害調査で最短当日査定を実現した事例

#223「AI損害保険革命:3秒支払い、2ヶ月→3時間査定、成約率3倍… 損保の常識を破壊するAIの正体と日本の活路の考察」(探求爆発デイズ#23)|久米村隼人@DATAFLUCT代表
項目 | 内容 |
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企業名 | 東京海上日動火災保険株式会社 |
業界 | 保険 |
ビフォー | 風水害現場を人が踏査、危険+査定に平均7日 |
アフター | ドローン画像をAI解析し査定を最短当日、危険作業ゼロ |
風水害発生時の現地踏査では、調査員が危険な現場に立ち入る必要があり、査定完了まで平均7日を要していた東京海上日動。人的リスクと査定期間の長期化が課題でした。
ドローンによる空撮画像をAIで解析する損害調査システムを導入。画像セグメンテーション技術により損傷面積を自動算出し、修理費の自動見積を可能にしました。災害グレードを自動分類して優先派遣を決定し、査定を最短当日で完了できる体制を構築。平均支払日数を40%短縮し、危険作業をゼロにすることで調査員の安全確保も実現。事故データをLLM学習してFAQにも転用し、顧客対応の質向上も図っています。
JALがAIエンジン内視鏡検査で検査時間60%短縮・見逃しゼロを達成した事例

未来を予測する航空機整備革命:JALが切り拓くゼロゼロ100の挑戦 | CIO
項目 | 内容 |
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企業名 | 日本航空株式会社 |
業界 | 航空 |
ビフォー | 技師が静止画を目視、微細クラックの見逃しリスク |
アフター | 医療AI応用のCNNで検査時間▲60%/見逃しゼロ |
航空機エンジンの内視鏡検査では、技師がボアスコープで撮影した静止画を目視判定していたJAL。微細なクラックの見逃しリスクがあり、安全性確保の観点から課題となっていました。
クレスコと共同で医療AI技術を航空機整備に応用し、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)による画像解析システムを開発。ボアスコープ映像をリアルタイム解析し、医療画像モデルを転用することで高精度な異常検知を実現しました。AIスコア化により整備員の判断を支援し、検査時間を60%短縮しながら見逃しゼロを達成。将来的には遠隔地からの専門医サポートも検討しており、整備品質の向上と効率化を両立しています。
損保ジャパンが個人情報マスキングLLM「おしそん」で文書漏えいリスクを解消した事例

#223「AI損害保険革命:3秒支払い、2ヶ月→3時間査定、成約率3倍… 損保の常識を破壊するAIの正体と日本の活路の考察」(探求爆発デイズ#23)|久米村隼人@DATAFLUCT代表
項目 | 内容 |
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企業名 | 損害保険ジャパン株式会社 |
業界 | 保険 |
ビフォー | 約款・Q&A更新に人手で改版確認、流出リスク |
アフター | 自社LLMが回答生成+引用元提示、文書漏えいリスク▲100% |
約款やQ&Aの更新作業において、人手による改版確認で情報流出の懸念があった損保ジャパン。機密情報の取り扱いに関するリスク管理が重要課題でした。
社内RAG(Retrieval-Augmented Generation)と自動マスキング機能を搭載した自社LLM「おしそん」を開発。生成回答と参照文書のダブル表示により説明責任を担保しながら、個人情報を自動でマスキングする仕組みを構築しました。回答作成時間を50%短縮し、ミスを80%削減することに成功。文書漏えいリスクを完全に解消し、2025年下期には他部門への水平展開を予定。金融・保険業界における機密情報管理の新たな標準となっています。
愛知県×NECが顔認証スマートシティ実証で不正入場ゼロを実現した事例

項目 | 内容 |
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企業名 | 愛知県(あいちデジタルアイランドPJ)/NEC |
業界 | 公共・警備 |
ビフォー | 入退管理にICカード+目視、盗難・不正入場リスク |
アフター | 顔認証でワンストップ認証、不正入場ゼロ・受付時間▲90% |
ICカードによる入退管理と目視確認では、カード盗難や不正入場のリスクがあった愛知県の公共施設。セキュリティ向上と利便性の両立が課題でした。
NECの虹彩・顔マルチモーダル技術を屋外環境に実装し、「一つの顔IDで複数サービス」を利用できる実証実験を実施。顔認証によるワンストップ認証システムにより、不正入場を完全にゼロにし、受付時間を90%短縮することに成功しました。サービス利用満足度83%を獲得し、導入店舗も拡大中。2026年度の本格導入を目指しており、観光地での活用も想定したスマートシティモデルの実現に向けて着実に進展しています。
新しい顧客体験を創出した企業のAI活用事例
顧客体験の革新を実現した5つの事例をご紹介します。
- JR東日本が多言語AI駅案内サイネージで案内時間を30秒に短縮した事例
- ローソンが無人レジ「Lawson GO」で会計5秒・売上8%向上を実現した事例
- ソフトバンクが渋谷AIアバター観光案内で満足度93%を達成した事例
- 資生堂がAIスキンアナライザーで購買率1.4倍を実現した事例
- NTTドコモが音声パーソナル助手「my daiz」で生活タッチポイントを統合した事例
JR東日本が多言語AI駅案内サイネージで案内時間を30秒に短縮した事例

「案内AIみんなで育てようプロジェクト(フェーズ2)」共同実証実験について
項目 | 内容 |
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企業名 | 東日本旅客鉄道株式会社 |
業界 | 鉄道 |
ビフォー | 案内所が混雑、訪日客の道案内に平均4分 |
アフター | AIサイネージで4言語リアルタイム対話、案内時間30秒 |
案内所の混雑により、特に訪日外国人観光客への道案内に平均4分を要していたJR東日本。言語の壁と待ち時間の長さが顧客満足度を低下させる要因となっていました。
音声認識、自然言語処理(NLP)、キャラクターUIを組み合わせた多言語AI駅案内サイネージを導入。4言語でのリアルタイム対話により、案内時間を30秒に大幅短縮しました。利用ログ6万件を活用して回答精度を自己学習する仕組みを構築し、フェーズ2では路線混雑予測も提供。顧客満足度を16ポイント向上させ、駅構内での新たな顧客体験を創出しています。
ローソンが無人レジ「Lawson GO」で会計5秒・売上8%向上を実現した事例

商品持ったらそのまま店外、最短5秒で買い物完了…レジなし無人「ローソン」、大阪メトロ駅に関西初出店 :地域ニュース : 読売新聞
項目 | 内容 |
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企業名 | 株式会社ローソン |
業界 | コンビニエンスストア |
ビフォー | レジ待ち平均2分、ピーク時客離脱率5% |
アフター | AIカメラ+ゲート通過で会計5秒。売上+8% |
レジ待ち時間が平均2分、ピーク時の客離脱率が5%に達していたローソン。待ち時間による機会損失と人件費の増加が課題でした。
AIカメラによる物体検出技術とゲート通過システムを組み合わせた「Lawson GO / RegiGo」を導入。商品を自動認識して自動課金する仕組みにより、会計時間を5秒に短縮しました。店舗形態に応じてセルフレジと無人レジを可変導入し、スタッフ配置を30%削減。24時間営業のコスト最適化を実現しつつ、売上を8%向上させることに成功。現在4,500店にセルフレジ、計25店に無人レジを展開中です。
ソフトバンクが渋谷AIアバター観光案内で満足度93%を達成した事例

渋谷に精通した6人のAIアバターが魅力を案内。地域に特化した生成AIの共同実証がスタート – ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース
項目 | 内容 |
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企業名 | ソフトバンク株式会社 |
業界 | 通信・小売 |
ビフォー | インフォメーションスタッフ不足で多言語対応困難 |
アフター | GPT基盤のAIアバターが来街者に最適提案、案内待ちゼロ |
インフォメーションスタッフの不足により多言語対応が困難だった渋谷エリア。訪日外国人観光客の増加に対して、十分な案内サービスを提供できない状況でした。
東急不動産と共同でスマートシティモデルの実証実験を実施し、GPTを基盤とした6体のAIアバターによる観光案内システムを導入。キャラクター別の生成AIによりパーソナライズされた提案を行い、案内待ち時間をゼロにしました。アバター対話満足度93%を獲得し、渋谷に精通したローカル情報の提供により来街者体験を向上。今後は生成AI SaaSを店舗DXへ横展開予定で、地域特化型の観光案内モデルとして注目されています。
資生堂がAIスキンアナライザーで購買率1.4倍を実現した事例

エリクシール AIスキンアナライザー | 肌を最高の味方に。エリクシール(ELIXIR)|資生堂
項目 | 内容 |
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企業名 | 資生堂株式会社 |
業界 | 化粧品 |
ビフォー | カウンセラーの主観診断、提案精度にばらつき |
アフター | AIカメラでつや玉指数を数値化、購買率1.4倍 |
従来のカウンセリングではカウンセラーの主観に依存した診断となり、提案精度にばらつきが生じていた資生堂。顧客一人ひとりに最適な商品提案の実現が課題でした。
AIカメラによるスキン診断技術を導入し、「つや玉指数」を数値化するシステムを構築。肌撮影から推奨アイテムをアプリで提示し、パーソナルデータでレコメンドを自動更新する仕組みを実現しました。店舗とECの体験を統合することでLTV(顧客生涯価値)向上を図り、購買率を1.4倍に向上。2024年にはAI診断利用者が100万人を突破し、データドリブンな美容カウンセリングの新標準を確立しています。
NTTドコモが音声パーソナル助手「my daiz」で生活タッチポイントを統合した事例

my daiz(マイデイズ) | サービス・機能 | NTTドコモ
項目 | 内容 |
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企業名 | 株式会社NTTドコモ |
業界 | 通信 |
ビフォー | 乗換・天気アプリを個別検索、通知が断片化 |
アフター | Generative AIが行動予測+先回り通知、生活タッチポイント統合 |
乗換案内や天気予報などのアプリを個別に検索する必要があり、情報が断片化して通知も分散していた従来のスマートフォン利用。ユーザーにとって情報収集の効率性が課題でした。
生成AIを活用した音声パーソナル助手「my daiz」により、行動予測と先回り通知を実現。音声とチャットの両方でユーザーとの自然な対話を可能にし、2,000万IDの利用者を獲得しました。2025年版では生成AIによるリライト提案や旅行プラン提示機能を追加予定。ウェイクワードによるハンズフリー起動でCX(顧客体験)を向上させ、ドコモ非契約者も利用可能にすることでデータ連携による広告価値向上も実現しています。
AI導入プロジェクトを成功させるポイント
AI導入を成功に導くための重要なポイントを5つご紹介します:

目的を明確に設定する
AI導入における最も重要な要素は、導入目的の明確化です。「AIを使って何を実現したいのか」「どのような課題を解決したいのか」を具体的に定義することで、プロジェクトの方向性が定まります。
今回ご紹介した事例でも、セブン-イレブンの「商品企画期間の短縮」、スシローの「廃棄ロス削減」など、それぞれが明確な目標を設定していました。曖昧な目的設定では、AI技術の選択や効果測定が困難になり、投資対効果の判断もできません。

数値目標を含めた具体的なゴール設定が成功の第一歩となります。
データを整備する
AIの性能は、学習に使用するデータの質と量に大きく左右されます。導入前にデータの収集・整理・品質管理を行うことが重要。
トヨタ自動織機やANAの事例では、既存の業務データや機器からのセンサーデータを活用していました。データが散在している場合は統合作業が必要であり、不正確なデータや欠損値がある場合は事前の処理が不可欠です。

継続的にデータを収集・更新する仕組みの構築も、AI性能を維持・向上させる上で欠かせません。
PoCで小さく試す
PoC(Proof of Concept:概念実証)により小規模でAIの有効性を検証することで、リスクを最小化できます。全社展開前にパイロット実験を行い、技術的な課題や運用上の問題を洗い出すことが重要。
大和ハウス工業では2022年度の全現場展開前に段階的な検証を実施し、スシローも2018年のPoCから2021年の全店舗展開まで段階的に進めました。

小さな成功を積み重ねることで、社内の理解を得やすくなり、本格導入時の成功確率も高まります。
経営層を巻き込む
AI導入には組織全体の変革が伴うため、経営層のリーダーシップとコミットメントが不可欠です。予算確保だけでなく、全社的な推進体制の構築や変革への意識づけが重要。
星野リゾートやユニクロの事例では、経営層の強いリーダーシップのもと大規模投資を実施し、組織全体でAI活用を推進していました。

現場レベルでの抵抗や部門間の調整も、経営層の明確な方針があることで円滑に進められます。
継続改善プロセスを設計する
AI導入は一度の実装で完了するものではなく、継続的な改善とメンテナンスが必要です。運用開始後のモニタリング体制や改善プロセスを事前に設計することが重要。JR東日本の多言語AI案内では利用ログ6万件を活用した自己学習機能により、継続的な精度向上を実現しています。

定期的な性能評価、新しいデータでの再学習、機能拡張など、長期的な視点でのプロセス設計が持続的な成果につながります。
AI導入時の注意点(落とし穴)
AI導入を進める際に陥りやすい5つの落とし穴をご紹介します:

ROIを過大評価しない
AI導入における最大の落とし穴は、ROI(投資対効果)の過大評価です。AI技術への期待が高まる一方で、現実的でない効果を想定してしまうケースが多く見られます。
今回の事例では具体的な数値成果を示していますが、これらは段階的な取り組みと継続的な改善の結果です。初期段階から劇的な成果を期待するのではなく、長期的な視点で投資効果を評価することが重要です。

直接的な売上向上だけでなく、業務効率化や品質向上といった間接的な効果も含めて総合的に判断する必要があります。
データ品質リスクを管理する
AIの性能は入力データの品質に完全に依存するため、データ品質の管理は極めて重要です。不正確なデータや偏ったデータでAIを学習させると、期待した成果が得られないだけでなく、誤った判断を下すリスクもあります。
データの収集段階から品質チェックの仕組みを構築し、定期的なデータクリーニング(不要なデータの除去や修正)を実施することが必要。また、学習データに含まれる偏見やバイアスが結果に影響しないよう、多様性のあるデータセットの構築も欠かせません。

データガバナンス体制の整備により、継続的な品質管理を行うことが成功の鍵となります。
ブラックボックス化を避ける
AIの判断プロセスが見えない「ブラックボックス化」は、業務運用上の大きなリスクです。なぜその判断に至ったのかが説明できない状況では、現場での信頼を得ることが困難になります。
損保ジャパンの「おしそん」やみずほ銀行の「AiHawk Filter」のように、判断根拠を明示する仕組みの構築が重要。特に金融や医療など高度な説明責任が求められる分野では、解釈可能なAI(Explainable AI)の導入を検討する必要があります。

担当者がAIの判断を理解し、必要に応じて修正できる体制の構築が欠かせません。
社内抵抗を抑える
AI導入により業務プロセスが変わることで、現場からの抵抗が生じる可能性があります。「AIに仕事を奪われる」という不安や、新しいシステムへの適応に対する負担感が主な要因。
導入前の十分な説明と教育、段階的な導入による慣れの期間確保が重要です。また、AIは人の代替ではなく、業務を支援するツールであることを明確に伝え、従業員のスキルアップ機会の提供も必要になります。

現場の意見を積極的に取り入れ、一緒にシステムを改善していく参加型のアプローチが効果的です。
法規制・倫理を遵守する
AI活用が進む中で、個人情報保護法やデータ利用に関する規制への対応が必要不可欠です。特に顧客データを活用する場合は、適切な同意取得と利用目的の明示が求められます。
また、AIによる自動判断が差別や偏見を助長しないよう、倫理的な配慮も重要。定期的な監査体制の構築と、問題が発生した際の迅速な対応プロセスの準備が必要です。

コンプライアンス体制を整備し、社会的責任を果たしながらAI活用を進めることが、持続可能な成長につながります。
おすすめのAI開発・導入支援会社
以下のページでは、AI開発会社のおすすめを紹介しています。ニーズ別に網羅的に取り上げているので、是非参考にしてみてください。

また、以下の記事では生成AIの導入支援を行う会社も取り上げています。

AI開発ならニューラルオプト
AI導入プロジェクトの成功には、技術力だけでなく課題解決力を持つパートナー選びが重要です。合同会社ニューラルオプトは、世界的生成AIであるChatGPTの開発に携わるAI開発企業として、日本展開されているChatGPTの裏側を支えています。
単なる開発会社ではなく、コンサルティングから始まる総合的な支援が最大の特徴。課題の特定から解決策の提案、開発、そして組織への定着支援まで一貫してサポートします。「失敗リスクを最小化する」をコンセプトに、データサイエンスの豊富な知見を活用し、データマイニングやテキストマイニングにも対応可能。
ECサイト「eBay」の価格自動設定AIや手書き文字のAI認識・要約システムなど、実績豊富な開発力で運用しつつ主体的に改善する継続的な支援を提供。失敗リスクを抑えたい、課題解決から相談したいという企業様には特におすすめです。