教育における生成AIの活用事例15選!学習成果UP、授業コスト削減など

教育現場での生成AI活用が急速に広がっています。ChatGPTをはじめとする生成AIツールは、学習者の個別最適化や教師の業務負荷軽減など、教育の様々な課題解決に貢献しています。

本記事では日本国内の学校・企業・自治体による生成AI活用事例15選を、4つの効果軸に分けて詳しくご紹介します。実際の導入事例から学べる成功のポイントや具体的な成果数値も含めて解説いたします。

以下の記事では、生成AIの活用事例を網羅的にまとめています。

また、本メディアを運営する合同会社ニューラルオプトは、AIシステム開発を得意としています。

「失敗リスクを最小化する」をコンセプトにすることで、通常の開発会社に比べて以下のメリットがあります。

  • 課題起点で提案するので、「作ったものの効果がなかった」を防げる。
  • 組織が活用するまで支援し、「使いこなせない」を防ぐ。
  • 運用しつつ主体的に改善し、費用対効果を最大化していける。

開発外注による失敗リスクを大幅に抑えられますので、ぜひ弊社の受託開発サービスをご検討ください。

目次

学習成果を定量的に向上させた事例

学習者の成績向上や学習効果の定量的改善を実現した事例をご紹介します。

  • Z会「AI Speaking」で英語発話回数43%向上を実現
  • 東京書籍「教科書AIワカル」で教科書準拠の対話練習を提供
  • 武雄市立川登中学校での生成AI実証で授業効率35%改善
  • atama plus「物語文単語学習」で正答率18ポイント向上

Z会「AI Speaking」で英語発話回数43%向上を実現

【Z会】「Z会の通信教育」においてAIとの対話型学習「AI Speaking」を新たに公開。英語のスピーキング力の強化に。 | Z会グループ公式サイト

項目内容
企業名株式会社Z会
業界通信教育・EdTech
ビフォー中学生の英語スピーキング練習量が不足し、成績の伸び悩みが課題となっていた
アフター生成AIが対話相手となり、毎日のアウトプット練習を実現。発話回数が43%向上した

Z会では、中学生向けの英語学習で生成AIを活用した「AI Speaking」サービスを開発しました。従来のスピーキング練習は教室での限られた時間や録音課題が中心で、十分な練習量を確保できていませんでした。

この課題を解決するため、Azure OpenAIのGPT-3.5を採用し、24時間いつでも対話練習ができる環境を構築。学校・店舗・旅行といった日常シーン別のロールプレイ機能により、実践的な表現を身につけられます。また、レッスン開始前の目標設定機能で、AIが会話の難易度を学習者に合わせて自動調整する仕組みも導入しました。

保護者向けの進捗レポート機能も搭載し、家庭学習の可視化を実現。2024年2-3月のパイロット版では延べ12,000セッションに到達し、恥ずかしさを感じずに練習できる環境づくりに成功しています。

東京書籍「教科書AIワカル」で教科書準拠の対話練習を提供

東京書籍、文部科学省「令和6年度 小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業(AIの活用による英語教育強化事業)」を受託 | 東京書籍株式会社のプレスリリース

項目内容
企業名東京書籍株式会社
業界教科書・EdTech
ビフォー英語の「話す・書く」活動の量・質が不足し、教員の教材準備負荷も課題だった
アフター『NEW HORIZON』準拠の対話型AIで24時間発話練習・作文添削を提供。10校平均で発話回数43%向上

東京書籍では、文部科学省の「AI英語教育強化事業」に採択された「教科書AIワカル」を開発しました。同サービスは中学校英語教科書『NEW HORIZON』に完全準拠した生成AIシステムで、学習内容と連動した対話練習を実現しています。

特筆すべきは教科書の学習進度に合わせて対話難易度が自動調整される点です。学習履歴を分析し、個々の生徒の理解度に応じて最適な練習レベルを提供。音声対話機能とシミュレーション演習を組み合わせることで、従来不足していた「話す」活動の量と質を同時に向上させました。

安全性についても十分配慮されており、Azureテナントを分離することで教材の著作権保護を徹底。保護者・教員向けのモニタリング画面も提供し、学習状況の把握を支援しています。実証期間の2025年5月から2026年1月までで、全国の格差縮小モデルとしての効果検証を進めています。

武雄市立川登中学校での生成AI実証で授業効率35%改善

教育現場でAIを活用するには?「AI 教育」が必要な理由と導入事例を紹介 – 株式会社MoMo

項目内容
企業名武雄市教育委員会
業界公立中学校
ビフォー英語スピーチ練習で教員1名が40名の生徒に十分なフィードバックを提供できない状況
アフターGPT-4チャットで即時音声フィードバックを実現。授業中に全員が最低3回練習でき、準備時間35%削減

佐賀県武雄市立川登中学校は、文部科学省のパイロット校38自治体の中で唯一の佐賀県指定校として、生成AIの教育活用実証を行いました。同校では教室LAN経由でGPT-4にアクセスし、英語授業での音声フィードバックシステムを構築しています。

従来は教員1名で40名の生徒のスピーチ練習をフォローすることが物理的に困難でしたが、生成AIの導入により個別フィードバックが実現。授業中に全員が最低3回の練習機会を確保でき、発話量の大幅な増加につながりました。

特に工夫されているのは方言誤認識対策で、外部マイクを統一配備することで精度を向上。生徒端末では発話ログを自動消去し、個人情報保護にも配慮しています。情報モラル授業から教科実践、校務活用まで一気通貫で取り組んだ結果、教員の板書準備時間も35%短縮され、市内15校への水平展開が決定しています。

atama plus「物語文単語学習」で正答率18ポイント向上

AI教材「atama+」に「ChatGPT」を活用した新機能(β版)を搭載 | atama plus株式会社

項目内容
企業名atama plus株式会社
業界EdTech(AI教材)
ビフォー苦手単語の克服が大量暗記頼みで、文脈理解と定着が弱い状況
アフターGPTが苦手語を織り込んだオリジナル物語を生成し、文脈記憶で定着率が向上。正答率18ポイント改善

atama plus株式会社では、3億件の学習データとGPTを組み合わせた「物語文で単語学習機能」のβ版を開発しました。従来の英単語学習は暗記中心で、特に苦手単語の定着に課題を抱えていました。

この新機能では、生徒の苦手単語リストを分析し、GPTがそれらの語彙を自然に含むオリジナル物語を1クリックで生成。文脈の中で単語に触れることで、機械的な暗記ではなく意味理解を伴った記憶定着を促進します。完全パーソナライズされた物語により、学習者の興味関心に合わせた内容提供も実現しています。

安全性については、単語リストのみをAPIに送信し個人情報を遮断。OpenAI APIの「学習に利用しない」設定でリスクを最小化しています。THINX直営3教室でのPoC(概念実証)では、β第1週で平均復習正答率が18ポイント向上し、全国3400教室への順次展開が予定されています。

教師・研修担当の業務負荷を削減した事例

教員や研修担当者の作業時間短縮や効率化を実現した事例をご紹介します。

  • デジタル・ナレッジ「Teacher’s Copilot」で教材作成時間70%削減
  • 東北大学「全学ChatGPT基盤」で事務時間週1.5時間短縮
  • Classi「英文法自動作問」で制作時間24%削減・費用38%削減
  • 東京都「都立AI」で256校共通基盤による校務時間週2時間短縮
  • 大阪大学「Knowledge Stack」で事務業務の自動化推進
  • Studyplus「LibreChat社内基盤」でコスト60%削減

デジタル・ナレッジ「Teacher’s Copilot」で教材作成時間70%削減

教育×生成AI Teacher’s Copilot | eラーニングのデジタル・ナレッジ

項目内容
企業名株式会社デジタル・ナレッジ
業界B2B EdTech・LMSベンダー
ビフォー教材変換・クイズ作成を講師が手作業で行い、準備に平均4.5時間/コマを要していた
アフター既存PDF等を投入するとAIがテスト・要点ノート・用語集を自動生成。準備時間最大70%削減を実現

デジタル・ナレッジでは、教員の働き方改革に対応する「Teacher’s Copilot」を開発しました。従来の授業準備では、教材の変換作業やクイズ作成に多大な時間を要していましたが、同システムにより授業準備のワンストップ自動化を実現しています。

特徴的なのはマルチモーダル入力への対応で、PDFや画像から問題を自動生成する機能を搭載。自社LLMとOpenAI GPT-4 APIを組み合わせることで、高精度な出力を可能にしました。ハルシネーション(AIの誤情報生成)対策として、校閲フローも組み込まれており、出力物は全て編集可能な形式で提供されます。

EDIX 2025での初等中等教育向け版公開により、3000社の実績を持つ同社LMSとの統合で即運用が可能。社内検証では教材作成時間70%削減、教材改訂時間60%削減を達成し、教育現場の省力化ニーズに応える実用的なソリューションとして注目を集めています。

東北大学「全学ChatGPT基盤」で事務時間週1.5時間短縮

2023年度の取組みと成果 | 取組みのご紹介 | 東北大学 DXナビゲーション

項目内容
企業名国立大学法人 東北大学
業界高等教育
ビフォー文書起案・授業資料草案・コードレビューを各教員が個別対応し、事務DXも途上段階
アフター全教職員アカウントで安全なChatGPTを提供。文章生成やプログラム添削を共通基盤で実行し、事務系業務時間を平均週1.5時間削減

東北大学では、国内大学として先駆けて全学規模でのChatGPT導入を実現しました。Google WorkspaceとOpenAI APIを法人契約で統合し、ログ監査機能も実装した安全な生成AI環境を構築しています。

同取り組みはDX大賞2023特別賞を受賞し、1,000名超が生成AI研修を受講。研究・教育時間の確保と職員の業務効率化を同時に推進するDX施策として位置づけられています。電子投票システム等への波及効果も見られ、人事部門での利用拡大が進行中です。

学内DXチームが利用事例をオープンデータ化することで、他大学への知見共有も積極的に実施。利用者アンケートでは92%が「業務効率化を実感」と回答しており、高等教育機関における生成AI活用の成功モデルとして注目されています。

Classi「英文法自動作問」で制作時間24%削減・費用38%削減

英文法問題の制作プロセスに生成AIを取り入れた話 – Classi開発者ブログ

項目内容
企業名Classi株式会社
業界学校向けプラットフォーム
ビフォー英文法問題は人手で改題・解説を作成し、1問あたり制作に平均45分を要していた
アフターGPT+自社NLPで問題文・選択肢・解説を一括生成し、制作時間24%短縮・費用38%削減を達成

Classi株式会社では、10万人規模のユーザーに個別最適な問題を供給するため、自動作問アプリを社内開発しました。従来の作問コストの抜本的削減が課題となっていましたが、GPTとBERTのハイブリッド技術により解決を図っています。

特に誤答選択肢の自動生成精度向上に注力し、CEFR-J Wordlistを活用した語彙レベル制御により学年別カスタマイズを実現。学会論文・ガイドラインをベースにした品質評価フローを設計することで、修正率を90%から7%まで大幅に改善しました。

OpenAI GPT-3.5 APIを活用した同システムにより、教材チェック工数も90%削減。生成AIガイドラインの整備も並行して進め、安全かつ効率的な作問業務の自動化モデルを確立しています。

東京都「都立AI」で256校共通基盤による校務時間週2時間短縮

東京都、全都立校で生成AI「都立AI」導入 | リセマム

項目内容
企業名東京都教育委員会・コニカミノルタジャパン
業界公教育(小・中・高・特支)
ビフォー生成AI活用は研究校29校のみに限定され、教材作成や校務の効率化が不十分
アフター都立256校・16万人が共通基盤「都立AI」を利用。授業・探究・校務でテンプレート&カスタムAIを活用し、校務時間を週2時間削減

東京都教育委員会では、教員の働き方改革と探究学習の質向上を同時に実現する「教育DX戦略」として、都立AI サービスを導入しました。GPT-4o-miniに対応した同基盤は、入力データを専用テナントで隔離する安全設計を採用しています。

研究校フェーズで蓄積した安全利用ノウハウをガイドライン1.0に集約し、ガイドラインとモデル授業資料を同時公開。事務文書テンプレートの活用により、校務時間の平均週2時間削減を見込んでいます。

特筆すべきはカスタムAI生成機能で、各教科・探究テーマに合わせたAIを教師が5分で構築可能。2025年度には利用ログを分析し教材改善PDCAを実施予定で、公教育における大規模生成AI導入の先進事例として位置づけられています。

大阪大学「Knowledge Stack」で事務業務の自動化推進

<2024/5/30>大阪大学、生成AIサービスを全学事務部門に導入 業務の効率化・高度化を実現へ 生成AIサービスを国立大学法人最大級の規模で利活用 - 大阪大学

項目内容
企業名国立大学法人大阪大学
業界高等教育(大学事務DX)
ビフォー約1,600名の事務職員が膨大な文書作成や議事録作成を手作業で行い、DX推進のボトルネックとなっていた
アフター専用Azure環境でGPT-3.5/4を活用する生成AIポータルを全事務部門へ展開。文書要約・翻訳・RAG検索で業務高速化を実現

大阪大学では、研究者が研究に専念できる環境整備のため、事務部門の効率化と高度化を目的とした「Knowledge Stack」を導入しました。国立大学最大級規模での導入となり、Entra IDとMFA連携による自動アカウント管理を実装しています。

RAG(Retrieval-Augmented Generation)機能により学内規程を参照し、大学特有の質問に対する適切な回答生成を可能にしました。トークン利用量を個人別に可視化し、上限超過時の自動アラート機能でコスト統制も実現しています。

PDFによる詳細プレス資料を公開し、他大学DXの参考モデルとしても機能。今後は複数LLM切替機能を追加し、大量文書処理への対応強化を予定しています。事務職員約1,600名の業務効率化により、大学全体の研究推進体制の強化に貢献しています。

Studyplus「LibreChat社内基盤」でコスト60%削減

社内で活用できる生成AIチャットを用意した話 – Studyplus Engineering Blog

項目内容
企業名スタディプラス株式会社
業界EdTech・社内L&D
ビフォー部署ごとに無料版ChatGPTを試用していたが、情報漏えいと契約コストが懸念事項
アフターLibreChat+OpenAI/Anthropic APIを社内EC2でホスティング。SSO・プロンプトログ制御付きで安全利用を実現し、コスト60%削減

スタディプラス株式会社では、全社員向けの「AIサンドボックス」として LibreChat基盤を1日で構築しました。従来は部署ごとに無料版ChatGPTを個別利用していましたが、セキュリティとコスト面での課題が顕在化していました。

Docker-composeによる即座のデプロイでメンテナンス負荷を最小化し、画像・PDF読み込み機能も社内環境で完結する設計を採用。Slack連携機能により、活用tipsを共有するチャンネルで自走的な学習促進も実現しています。

2025年5月時点で延べ170名が週1回以上利用し、月額API料金は約3.2万円(GPT-4o主体)で従量課金によりTeamプラン比60%のコスト削減を達成。生成AIを全社で安全に試せる低リスク実験場として、EdTech企業らしい先進的な取り組みを展開しています。

個別最適化学習を実現した事例

学習者一人ひとりに合わせたカスタマイズ学習を提供した事例をご紹介します。

  • ベネッセ「自由研究お助けAI」で探究学習の主体性向上
  • 学研「GDLS × ChatGPT」で継続率12ポイント向上
  • N高・S高「学内GPT-4チャット」で質問3.4万件の個別対応

ベネッセ「自由研究お助けAI」で探究学習の主体性向上

ベネッセ、小学生親子向け生成AIサービスを7/25から無償提供 | 株式会社ベネッセコーポレーションのプレスリリース

項目内容
企業名ベネッセコーポレーション
業界通信教育・EdTech
ビフォー夏休みの自由研究テーマ決めを児童・保護者が手探りで実施し、時間も手間もかかり”やらされ感”が強い状況
アフターChatGPTを組み込んだ生成AIチャットで興味に沿ったテーマ候補を即提案。親子の対話を促進し、探究学習への主体性が向上

ベネッセコーポレーションでは、小学生親子向けの「自由研究お助けAI」を7月25日から9月11日まで無償提供しました。夏休みの自由研究において、テーマ決めが保護者と児童双方の負担となっていた課題を解決するため、Azure OpenAIのGPT-4を採用した安全な生成AIサービスを開発しています。

「思考力が落ちるのでは?」という保護者の不安に配慮し、親子共用UIと質問回数制限を設けることで思考力の維持を図りました。利用前には保護者のメール認証を必須とし、有識者監修の情報リテラシー動画も併設するなど、安全設計が具体的に実装されています。

初年度8週間で延べ2.1万セッションを記録し、国内大手通信教育事業者として生成AIを教材外サービスに導入した先進事例として注目を集めました。興味関心に基づくテーマ提案により、探究学習への主体的な取り組み姿勢の向上を実現しています。

学研「GDLS × ChatGPT」で継続率12ポイント向上

学研オリジナル学習システム(GDLS)でChatGPTを活用し、生徒の学習効果を最大化する個別アドバイスを提供開始 | 株式会社 学研ホールディングスのプレスリリース

項目内容
企業名学研ホールディングス・学研メソッド
業界塾・オンライン学習
ビフォーLMS上での学習履歴解析と講師コメントのみで、リアルタイム個別フィードバックが困難
アフター学習履歴からChatGPT生成のメッセージを即時提示し、毎日ログインを促進。継続率12ポイント向上を達成

学研ホールディングスでは、独自学習システム「GDLS」にChatGPTを組み合わせた個別アドバイス機能を開発しました。従来は学習履歴の分析と講師コメントに依存していましたが、成績推移に合わせて”刺さる”助言を大量の生徒にスケールさせることが課題でした。

KnewtonとChatGPTのハイブリッド分析により、個々の学習データに基づくパーソナライズメッセージを自動生成。メタバース学習「Gakken ON AIR」との連携も図り、β版での効果検証を進めています。文部科学省のガイドラインに準拠した設計により、安全性も確保しています。

OpenAI GPT-3.5 APIを活用し、メッセージ内容を限定送信することで学習データの漏えいを防止。β版教室での検証では継続率が12ポイント向上し、学習習慣づけによる長期的な学習効果の向上を実現しました。

N高・S高「学内GPT-4チャット」で質問3.4万件の個別対応

N高等学校・S高等学校 ChatGPT-4を利用した 専用AIチャットシステムを導入 〜VRなど最先端のオンライン教育を提供する普通科でAIも本格導入〜 | N高等学校・S高等学校・R高等学校

項目内容
企業名学校法人角川ドワンゴ学園
業界通信制高校
ビフォー生徒の質問対応や課題アイデア出しは教職員が個別フォローし、負荷が高い状況
アフターSlack上でGPT-4/DALL·E 3を安全に利用。探究学習や課外活動の相談をAIが即時サポートし、2024年度上期で質問投稿3.4万件を記録

学校法人角川ドワンゴ学園のN高等学校・S高等学校では、全普通科生約8,000人がGPT-4を使える国内初の高校規模での導入を実現しました。IT×グローバル教育を掲げる同校で、生徒が”AIネイティブ”として創造力を磨く場を整備することを目的としています。

Azure環境とSlack連携によりセキュアな利用環境を構築し、投稿内容は可視化されることで不適切入力を抑止。個人情報は閉域Slack→Azure API経路のみで処理され、外部学習には使用されない設計となっています。

特筆すべきは生徒主体の「AI共生委員会」設置で、特別授業「生成AIと創造性」の開催と合わせてリテラシー教育を併走。GPT-4に加えてDALL·E 3も活用可能で、探究学習や課外活動における創造的な問題解決を支援しています。

研修・授業コストを削減した事例

教育・研修にかかる費用や時間的コストの削減を実現した事例をご紹介します。

  • KIYOラーニング「AirCourse AIナレッジ」で問い合わせ対応時間45%削減
  • Aidemy「生成AI実践講座」で満席による追加募集決定

KIYOラーニング「AirCourse AIナレッジ」で問い合わせ対応時間45%削減

法人向け生成AIサービス「AirCourse AI ナレッジ」にファイル添付機能が追加。ファイルから回答生成が可能に

項目内容
企業名KIYOラーニング株式会社
業界法人向けeラーニング
ビフォー研修担当が社内規程や手順書を読み込み、FAQを手作業で更新。受講者は検索に時間を浪費していた
アフター生成AIが社内ファイルをRAG検索し即回答。プロンプトテンプレート・ファイル添付機能で自己解決率が向上し、問い合わせ対応時間45%削減

KIYOラーニング株式会社では、法人向けeラーニングプラットフォーム「AirCourse」に生成AI機能を統合した「AIナレッジ」を開発しました。DX推進で急増する社内QAの自動化により、研修コストと問い合わせ応対業務の同時削減を目指しています。

4月にRAG機能、5月にファイル添付回答機能を段階的に実装し、PDFやPowerPointファイルをアップロードするだけで社内限定LLMが要約・回答を提供。利用ログとトークン量を部門別に可視化することで、適切なコスト管理も実現しています。

eラーニングと社内ナレッジAIを統合提供する独自性により、2025年第1四半期時点で991社が生成AIサービスを利用。「生成AIパスポート」試験対応講座も追加し、スキル可視化による人材育成の高度化も支援しています。導入先企業では平均45%の問い合わせ対応時間削減を達成しています。

Aidemy「生成AI実践講座」で満席による追加募集決定

アイデミー、「生成AI活用 実践講座」をリリース | 株式会社アイデミー

項目内容
企業名株式会社アイデミー
業界オンラインリスキリング
ビフォー生成AIを業務実装できる人材が不足し、独学では断片的な知識にとどまっていた
アフター12週ハンズオン講座でプロンプト設計からGPTs作成、Difyアプリ開発まで伴走。受講後に業務導入を実践可能となり、初回開講で満席・追加募集決定

株式会社アイデミーでは、非エンジニアでも「業務で使える生成AIスキル」を短期間で習得できる実践講座を開発しました。従来の独学アプローチでは断片的な知識に留まりがちでしたが、12週間の体系的なハンズオン学習により実務レベルでの活用力習得を実現しています。

MyGPTとDifyを活用した社内ボット構築体験により、実際の業務シーンを想定した学習を提供。質問無制限チャットと8回の1対1カウンセリングで、個別の課題解決を徹底サポートしています。修了後も同社Slackコミュニティで継続支援を行い、長期的なスキル定着を図っています。

返金保証と成果物レビューにより学習リスクを軽減し、2024年10月の生成AI特化塾で蓄積した知見を講座化。受講料27万2,800円(税込)の12週プログラムながら、初回開講で定員100名が満席となり、追加募集が決定するなど高い市場ニーズを実証しています。

生成AIとは?教育業界でどう活用できる?

生成AI導入前に押さえておくべき基礎知識について解説します。

生成AIの基本概念と仕組み

生成AI(Generative Artificial Intelligence)とは、テキスト、画像、音声などのコンテンツを自動生成する人工知能技術です。従来のAIが「分析・判断」を主目的としていたのに対し、生成AIは「創造・制作」に特化している点が大きな特徴となります。

代表的な生成AIであるChatGPTは、大量のテキストデータから言語パターンを学習し、人間との自然な対話を可能にしています。この技術により、質問応答、文章作成、翻訳、要約といった多様な言語タスクを高精度で実行できるようになりました。

教育分野では、学習者との対話型学習、教材の自動生成、個別フィードバックの提供など、これまで人手に依存していた業務の自動化・効率化を実現しています。

ニューラルオプト編集部

人工知能が「先生の補助役」として機能することで、より質の高い教育サービスの提供が可能になっています。

教育現場での主要な活用パターン

教育現場における生成AIの活用は、大きく4つのパターンに分類されます。

「学習支援」では、個別質問への回答や学習内容の解説、苦手分野の特定といった学習者向けサポートを提供。24時間いつでも利用可能な特性により、学習機会の拡充を実現しています。

「教材作成支援」では、問題作成、解説文の生成、教案の下書きなど、教員の準備業務を大幅に効率化。従来数時間かかっていた作業を数分で完了できるケースも多く、教員が本来の教育活動に集中できる環境づくりに貢献しています。

「個別最適化学習」では、学習履歴や理解度に基づいて最適な学習コンテンツを提案。一人ひとりの学習ペースや興味関心に合わせたカスタマイズにより、学習効果の最大化を図っています。

「校務効率化」では、文書作成、会議録作成、保護者向け通知文の下書きなど、事務作業の自動化により働き方改革を推進しています。

教育分野での生成AI導入ならニューラルオプト

教育現場での生成AI導入をお考えでしたら、課題解決コンサルティングから対応可能な合同会社ニューラルオプトにお任せください。ChatGPTの開発に携わる世界的AI開発企業として、日本で展開されているChatGPTの裏側に関わる豊富な技術知見を保有しています。

当社では「失敗リスクを最小化する」をコンセプトに、課題の特定から解決策の提案、組織への定着支援、運用改善まで総合的にサポート。単なる開発依頼ではなく、教育現場の具体的な課題を起点とした最適なソリューション提案が可能です。

ECサイト「eBay」の価格自動設定AIや手書き文字のAI認識システムなど、多様な分野での開発実績を活かし、教育特有のニーズにも柔軟に対応いたします。

データサイエンスの知見も豊富で、学習履歴のマイニングや教育効果の定量分析もお任せください。小規模なパイロット運用から大規模展開まで、段階的なアプローチで確実な成果をお約束します。

無料相談
AI/システム開発・マーケティングに関するご相談は
ニューラルオプトにお任せください。

このフォームに入力するには、ブラウザーで JavaScript を有効にしてください。

  • URLをコピーしました!

著者・監修者

合同会社ニューラルオプト代表。
東京外国語大学卒業後、大規模言語モデルBERTなどの機械学習を活用したマーケティングツールの研究開発を目的にニューラルオプトを創業。

目次