不動産業界では、デジタル技術を活用した業務効率化や顧客体験向上への取り組みが急速に進んでいます。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、電子契約といった最新技術により、従来の課題を解決し、新たな価値を創出する企業が増加。
実際に、矢野経済研究所の調査(2024年)によれば、2022年度の国内不動産テック市場規模は前年度比21.1%増の9,402億円に達し、2030年度には約2兆3,780億円まで拡大すると予測されています。
参考:不動産テック市場に関する調査を実施(2024年)/株式会社矢野経済研究所/2024年
本記事では、実際の企業が公式に発表した事例をもとに、不動産DXの成功パターンを5つの観点から分類し、20の具体事例をご紹介します。収益向上やコスト削減、リスク管理強化、顧客体験改善、データ活用による新規事業創出まで、幅広い視点から不動産業界のデジタル変革の実態を解説していきます。
- 不動産DXは「収益向上」「コスト削減」「リスク低減」「顧客体験向上」「データ活用」の5パターンに集約される AI査定、電子契約、IoT監視、デジタルツイン、ビルOSなど20の公式発表事例から、自社の課題に近い成功パターンを特定し、導入の方向性を絞り込める。
- 成功事例に共通するのは「段階導入」と「データ整備」であり、一括導入は失敗リスクが高い AI査定の精度も蓄積データの量と質に依存する。まずは効果の見えやすい業務から小さく始めるのが鉄則。
- DXの第一歩は「現状診断→KPI設定→小規模PoC」の順で着手すべきである 業務フローの可視化とボトルネック特定から始め、「契約時間50%短縮」など測定可能な目標を設定。特定部署で実証実験を行い、課題を潰してから全社展開することで失敗を回避できる。
以下ではDXの事例を網羅的にまとめています。

収益を伸ばした事例

この分野では、AI技術を活用した査定システムや生成AIによる顧客対応システムが注目されています。以下の事例をご紹介します。
- 三井不動産リアルティによるAI査定システムの導入
- 野村不動産ソリューションズとLIFULLの生成AI活用事例
三井不動産リアルティがAI査定で即時価格算出を実現した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 三井不動産リアルティ株式会社 |
| 業界 | 不動産仲介 |
| ビフォー | 査定に時間・人手が必要で、相場把握や売却検討の初動が重い状態 |
| アフター | 即時AI推定で成約価格目安や周辺検討人数を提示し、初期検討を高速化 |
エクサウィザーズと共同開発した「リハウスAI査定」は、過去の膨大な成約事例を機械学習で分析し、マンションの推定成約価格を即座に算出するシステムです。
2019年12月の公開時点で、首都圏でMER(平均誤差率)4.89%、全国でMER5.34%という高い精度を実現。全国18都道府県・約3万棟を対象としており、従来の査定プロセスでは数日を要していた価格算出を瞬時に完了できます。
さらに、周辺エリアの購入検討人数なども同時に表示することで、売却検討者の意思決定を強力にサポート。顧客接点の早期化により、仲介機会の拡大と収益向上に貢献しています。
この事例が成果を出せた背景には「三井不動産リアルティが長年蓄積してきた膨大な成約データ」があります。AI査定の精度はモデルの優劣だけでなく、学習に使えるデータの量と質に大きく依存します。
成約データが十分に揃っていない企業が同じ仕組みを入れても、精度が出ずに現場から信頼されないまま使われなくなるケースは少なくありません。まずは自社の保有データを棚卸しし、「AIに食わせられる状態か」を確認するところが出発点です。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
野村不動産ソリューションズとLIFULLが生成AIで顧客対応を高度化した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 野村不動産ソリューションズ株式会社・株式会社LIFULL |
| 業界 | 不動産仲介・不動産ポータル |
| ビフォー | 情報の非対称性が大きく、個別調査や人手による説明負荷が高い状況 |
| アフター | 生成AI×公式データで24時間相談・検索・提案を会話で完結 |
「ノムコムAIアドバイザー」は、2024年7月に正式版がリリースされた生成AI活用サービスです。国土交通省の取引価格データや不動産情報ライブラリAPI(学区情報等)も参照し、ユーザーからの質問に24時間対応。間取り画像の認識機能も搭載し、メリット・デメリットまで詳細に解説できます。
従来は「検索→比較→相談」と分断されていた顧客の行動を、一つの会話体験に集約することで、検討初期の摩擦を大幅に軽減。顧客満足度の向上と同時に、営業担当者の負荷軽減による業務効率化も実現し、総合的な収益性改善に寄与しています。
コスト・工数を削減した事例
業務プロセスの自動化や省力化により、運営コストの大幅削減を実現した事例です。以下の事例をご紹介します。
- 三菱地所のAI画像解析・ロボット活用による施設運営効率化
- 東急住宅リースの電子申込・電子契約導入
- レオパレス21の入居契約全電子化
- 東急不動産COMFORIAの顔認証・電子取説標準化
- 東急コミュニティーのドローン点検システム
- 三井不動産リアルティの個人間賃貸電子契約
- 大和ライフネクストのIoT遠隔設備モニタリング
- UR都市機構のオンライン申込システム
三菱地所がAI画像解析・ロボット等で施設運営を高度化した事例

次世代型施設運営モデルを深化・拡大、Society5.0実現へ | 三菱地所
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 三菱地所 |
| 業界 | デベロッパー(大規模オフィス街区運営) |
| ビフォー | 警備・清掃・運搬など人手中心の運用。混雑把握や異常検知が個別最適で高負荷 |
| アフター | AI画像解析・各種ロボット・IoTを街区へ本格展開。巡回・清掃等の効率化、混雑可視化や早期検知で運用高度化 |
「次世代型施設運営モデル」として、丸の内エリアを中心とした複数ビルでAI画像解析による混雑把握・早期検知システムを導入。警備・清掃・運搬ロボットを実運用に投入し、エレベーター連携も含めた総合的な自動化を実現しています。
従来は人の目と経験に依存していた施設管理業務を、24時間稼働するAIとロボットが代替することで、人件費削減と同時に管理品質の向上も達成。就業者・来街者のQOL向上と現場省力化を両立する革新的なモデルとして、他の街区運営にも応用が期待されています。
東急住宅リースがイタンジとの連携で賃貸業務を効率化した事例

イタンジの不動産業者間サイト「ITANDI BB」に 東急住宅リースが空室情報を掲載開始 |ニュース|イタンジ株式会社
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 東急住宅リース(ソリューション:イタンジ ITANDI BB) |
| 業界 | 賃貸PM(管理・リーシング) |
| ビフォー | 空室確認・内見調整・申込・契約で電話・紙中心、情報反映や番手確認が非効率 |
| アフター | ITANDI BBに空室掲載、電子申込・電子契約の運用を拡充。紙削減・処理速度向上、番手・申込状況のリアルタイム連携 |
管理戸数約14万戸の空室情報をITANDI BBに掲載し、業者間での情報共有を効率化。従来は電話や紙ベースで行っていた申込・契約手続きを電子化することで、繁忙期の業務負荷を大幅に軽減しました。
特に番手管理や申込状況の同期・可視化により、機会損失の防止と処理スピードの向上を実現。リアルタイムでの情報更新により、重複申込みや確認作業の手間を削減し、スタッフの生産性向上に大きく貢献しています。
レオパレス21が個人入居契約の全電子化で業務を効率化した事例

個人入居契約の全てが電子化対応へ | ニュース | 株式会社レオパレス21
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | レオパレス21 |
| 業界 | 賃貸PM |
| ビフォー | WEB接客・WEB内見・電子契約を段階導入したが、一部手続が紙で残存 |
| アフター | 個人入居契約の全電子化を実現(連帯保証人契約まで電子化)。紙面手続は有料化し電子標準へ移行 |
連帯保証人契約まで含めた個人入居契約の完全電子化を業界に先駆けて実現。紙面契約を有料化することで電子契約をデフォルトの選択肢とし、申込から契約完了まで完全オンライン化を達成しました。
チャットボットや音声対話エンジンとの組み合わせにより、顧客対応の自動化も推進。印刷コスト、郵送費、人的作業時間の大幅削減を実現し、同時に契約締結の迅速化により顧客満足度も向上させています。
DX支援の現場にいると実感しますが、電子契約の導入で最も時間がかかるのは技術面ではなく、社内の合意形成と業務フローの再設計です。レオパレス21のように全電子化まで到達している企業は、段階的に「WEB接客→WEB内見→電子契約」とステップを踏んでおり、一足飛びに実現したわけではありません。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
東急不動産COMFORIAが顔認証・電子取説で管理業務を効率化した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 東急不動産 |
| 業界 | 賃貸レジデンス(デベロッパー・PM) |
| ビフォー | 共用部入館・専有部解錠は物理鍵中心。設備取説は紙配布・封入作業が必要 |
| アフター | 顔認証セキュリティ+スマートロックを標準化し、取扱説明書を電子化。2024年度に10棟・約900戸に導入予定 |
関西圏の新築物件で顔認証セキュリティとスマートロックを標準仕様として採用。入居者は顔・IC・アプリ・FeliCa等の複数方法で解錠でき、物理鍵の管理コストを削減しました。
さらに取扱説明書の電子化により、1戸あたり約500枚の紙削減を実現。homehubアプリでお知らせ配信や取説閲覧を一元化することで、印刷・封入・配布作業の大幅な省力化を達成。入退去時の鍵交換や説明業務の負荷軽減により、管理効率の大幅向上を実現しています。
東急コミュニティーがドローン点検で外壁点検業務を効率化した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 東急コミュニティー(連携:JUIDA・ハミングバード) |
| 業界 | マンション管理・ビル管理 |
| ビフォー | 高所外壁等の目視点検は足場等でコスト・工期負担が大きく、熟練者不足も課題 |
| アフター | 「ドローン点検スペシャリスト」資格を3者連携で創設。マンション外壁点検に即応できる実務人材を育成し、工数・費用削減や赤外線等の客観データ活用を促進 |
JUIDA、ハミングバードとの3者連携により「ドローン点検スペシャリスト」資格を創設し、マンション外壁点検のDX化を人材面から支援。
従来は足場設置や高所作業車が必要だった外壁点検を、ドローンと赤外線撮影により安全かつ効率的に実施。画像解析による客観的なデータ取得で、点検品質の標準化も実現しました。工期短縮とコスト削減に加え、熟練者に依存していた点検業務を標準化することで、人材不足の課題解決にも大きく貢献しています。
三井不動産リアルティが個人間賃貸の電子契約で処理時間を短縮した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 三井不動産リアルティ |
| 業界 | 賃貸仲介(個人間賃貸) |
| ビフォー | 契約書製本・来店押印・郵送の往復で締結まで約2週間 |
| アフター | 電子契約サービスの運用開始。Web完結・電子署名で締結最短1日、ペーパーレス化・利便性向上を実現 |
クラウドサインとの連携により、個人間の普通賃貸借契約を完全Web完結で処理できるシステムを構築。従来約2週間を要していた契約締結プロセスを最短1日まで短縮し、劇的な業務効率化を達成しました。
電子署名の証跡管理によりコンプライアンスも強化。契約後の書類管理もWeb上で一元化することで、保管コストや検索時間も大幅に削減。将来的には更新契約や管理委託契約への展開も計画しており、賃貸仲介業務全体のデジタル化を推進しています。
大和ライフネクストがIoT遠隔監視で設備点検を効率化した事例

マンション・ビル等管理会社の大和ライフネクストが設備遠隔監視サービス「まるっと点検 モニター」を100棟へトライアル導入
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 大和ライフネクスト株式会社 |
| 業界 | 建物・マンション管理 |
| ビフォー | 目視中心・紙ベースの定期点検。判断基準の属人化、報告書の二重入力、現地作業・移動負荷が大きい |
| アフター | IoTセンサー常時監視+予兆検知。点検回数の削減、報告書自動作成、遠隔OJT等で省人化・省力化 |
日本ユニシス(現BIPROGY)との協業により、管理マンション100棟にIoT設備遠隔監視システム「まるっと点検 モニター」をトライアル導入。24時間常時監視により異常の早期発見が可能となり、定期点検の回数削減を実現しました。
センサーデータの解析による予兆保全への移行で、突発的な設備故障も防止。スマートグラス等を活用した遠隔支援・OJTにより、現場技術者の育成効率も向上させています。報告書の自動作成機能により事務作業も大幅削減され、総合的な業務効率化を達成しています。
IoT遠隔監視はシステムを入れること自体は難しくありませんが、「アラートが出たときに誰がどう判断するか」という運用ルールの設計が抜けていると、通知が鳴りすぎて現場が無視するようになり形骸化します。
特に管理戸数が少ない中小管理会社の場合、専任のモニタリング担当を置けないケースが多いため、「異常度の高いアラートだけ人が見る」といった閾値設計が不可欠です。
弊社が関わった案件でも、初期設定のまま運用した結果、1日100件以上の通知が飛んで現場が疲弊したことがあり、導入後1ヶ月は閾値のチューニング期間として確保することを推奨しています。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
UR都市機構がオンライン申込システムで手続きを効率化した事例

お申込みまでの流れ|UR賃貸住宅のインターネットお申込みサイト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 独立行政法人 都市再生機構(UR都市機構) |
| 業界 | 公的賃貸住宅 |
| ビフォー | 申込みや書類のやり取りが窓口・紙中心で、時間的・地理的制約が大きい |
| アフター | UR賃貸住宅インターネットお申込みサイトで、ユーザー登録→住戸申込み→結果連絡までオンラインで完結 |
UR賃貸住宅の申込手続きを完全オンライン化し、来訪や窓口での手続きが不要な仕組みを構築。ユーザー登録から住戸申込み、結果通知まで一連のプロセスをWeb上で完結できるため、利用者の利便性向上と同時に窓口業務の負荷軽減を実現しています。
必要書類の提出もオンライン化により、事務処理時間の短縮と人的コストの削減を達成。2024年5月には利用規約の改定も実施するなど、継続的なサービス改善により運用効率の向上を図っています。
■少しでもAI・システム開発やPoCに興味があれば、まずはお気軽にご相談ください。目的・課題を伺ったうえで、弊社から手堅く進める方法・お見積りをお伝えさせていただきます。
AIシステム開発サービスのお問い合わせはこちら>>
AIシステム開発サービス概要資料のダウンロードはこちら>>
AIシステム開発サービスの詳細はこちら>>
AIシステム受託開発
相談だけで発注しなくても構いません。
リスク・コンプライアンスを低減した事例
セキュリティ強化や業務リスクの軽減を実現した事例をご紹介します。
- 大東建託のスマートロック導入による鍵管理リスク軽減
- 東京建物のスマホタッチ入退システムによるセキュリティ強化
大東建託がスマートDKロックで鍵業務のリスクを軽減した事例

通信・認証機能で外部からIT制御可能な「スマートDKロック」運用開始|土地活用のことなら – 大東建託
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 大東建託 |
| 業界 | 賃貸デベロッパー・PM |
| ビフォー | 物理鍵の管理・交換・紛失対応など、入退去ごとの業務負荷・コストが高い |
| アフター | 自社開発スマートロックを運用開始。スマホやICカード等で解錠、施錠忘れ防止・セキュリティ強化、鍵交換等の業務軽減 |
自社開発の「スマートDKロック」により、物理鍵に依存しない入退去システムを構築。Bluetooth連携やオートロック機能により、鍵の紛失・複製リスクを根本的に解決しました。
入退去時の鍵交換作業が不要となることで、管理業務の大幅な効率化を実現。暗証番号設定やリモート制御機能により、緊急時の対応も迅速化されています。既存建物への後付け設置も可能な設計により、横展開しやすいソリューションとして管理リスクの軽減に大きく貢献しています。
東京建物がスマホタッチ入退システムでセキュリティを強化した事例

36815ae6aff8357cb6460ab754c75627.pdf
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 東京建物株式会社 |
| 業界 | デベロッパー(オフィス) |
| ビフォー | 物理カードの発行・回収・失念リスク、アプリ起動など煩雑 |
| アフター | スマホをかざすだけで入退館・入退室。カードレス運用で管理負担・リスク減、ユーザー体験を向上 |
HIDクラウド、日立入退システム、チームラボとの連携により、国内賃貸オフィスで初となるスマホタッチ入退システムを導入。アプリ起動不要でスマートフォンをかざすだけで入退館・入退室が可能となり、物理カードの紛失や不正利用のリスクを大幅に軽減しました。
ハイブリッドワークの普及によるカード管理の複雑化にも対応し、セキュリティレベルを維持しながら運用負荷を削減。同規模ビルで約75kgのプラスチック削減効果も見込まれ、環境配慮とリスク管理を両立したソリューションとして注目されています。
顧客・入居者体験を向上させた事例
顧客満足度の向上と利便性の向上を実現した事例をご紹介します。
- 東急不動産BRANZギャラリーのデジタルツイン活用
- 住友不動産の全物件電子契約導入
- JR西日本不動産開発のIoTプラットフォーム導入
東急不動産BRANZギャラリーがデジタルツインで販売体験を革新した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 東急不動産 |
| 業界 | 分譲マンション販売 |
| ビフォー | 物件ごとの個別ギャラリー運用が中心。体験・説明はモデルルームと紙・静的コンテンツが主 |
| アフター | 統合ギャラリーを開設し、デジタルツインを軸にしたデジタルコンテンツで販売を高度化。販売拠点の集約と顧客体験向上を両立 |
「BRANZギャラリー表参道」では、デジタルツイン技術を活用した革新的な販売体験を提供。従来の静的なモデルルームから、インタラクティブなデジタル体験へと転換することで、顧客の理解度と満足度を大幅に向上させました。
複数物件を一つの統合ギャラリーで紹介できるため、販売拠点の集約によるコスト削減と同時に、より充実した体験提供を実現。リアルとデジタルの融合により、従来では困難だった詳細な構造説明や将来の街並み変化の可視化も可能となり、購買意欲の向上に大きく貢献しています。
住友不動産が全物件電子契約で顧客利便性を向上させた事例

20220518_release_zenbukkendennshikeiyaku-Introduction.pdf
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 住友不動産 |
| 業界 | 分譲マンション・分譲戸建 |
| ビフォー | 契約・重要事項の説明・押印等は対面・紙が中心で、場所・時間の制約が大きい |
| アフター | 新築分譲マンション・戸建の売買契約で全物件「電子契約」導入。自宅で契約完結が可能になり、顧客利便と業務効率を両立 |
新築分譲マンション・戸建の売買契約において、全物件で電子契約を標準化。顧客は自宅にいながら契約手続きを完了できるため、移動時間や拘束時間が大幅に削減されました。
IT重説との組み合わせにより、重要事項説明から契約締結まで完全非対面で実施可能。特に遠方の顧客や多忙な購入者にとって利便性が大幅に向上し、購入検討のハードルも低下。コンプライアンス面でも電子署名による証跡管理で書類保全が強化され、顧客満足度と業務品質の両面で大きな改善を達成しています。
JR西日本不動産開発がIoTプラットフォームで住戸体験を向上させた事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | JR西日本不動産開発 |
| 業界 | 分譲マンション |
| ビフォー | 住戸内機器は個別リモコン・手動操作が中心。外出先からの制御・一括操作は限定的 |
| アフター | スマホアプリや音声でテレビ・照明・エアコンなどを一元操作できるIoTプラットフォームを導入 |
「ジェイグラン武蔵新城」(全27戸)では、住戸標準のIoTプラットフォームを導入し、スマートフォンアプリや音声による家電一元操作を実現。「おやすみ」の一言で照明・エアコン・テレビを一括制御できるシーン連携機能により、住まいの快適性が大幅に向上しました。
外出先からの室内環境確認・調整も可能で、帰宅前のエアコン操作などライフスタイルに応じた柔軟な利用が可能。ZEH-M Orientedや低炭素建築物認定との組み合わせにより、省エネ性能と快適性を両立した次世代住宅として、購入者の満足度向上に大きく貢献しています。
データ活用・新規事業を実装した事例
データ基盤の構築や新たなサービス創出を実現した事例をご紹介します。
- 野村不動産と日立のビルOS導入
- 森ビルの都市OS「ヒルズネットワーク」
- 三井不動産の柏の葉スマートシティ
- 安田不動産と清水建設・Ideinの建物OS連携
野村不動産と日立がビルOSで建物データを統合活用した事例

「芝浦プロジェクト」で導入するビルOSとして日立のビルIoTソリューション「BuilMirai」を採用:2023年12月11日
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 野村不動産(パートナー:日立製作所) |
| 業界 | デベロッパー(大規模複合・オフィス) |
| ビフォー | 設備・運用データが用途ごとに分散し、運転最適化や体験の横断的向上が難しい状態 |
| アフター | 日立BuilMiraiを「ビルOS」として採用し、建物・サービスのデータ連携を統合。運用最適化と体験向上のプラットフォーム化を推進 |
「BLUE FRONT SHIBAURA」では、日立のビルIoTプラットフォーム「BuilMirai」をビルOSとして導入し、建物全体のデータ統合基盤を構築。従来は設備ごとに分散していた運用データを一元化することで、横断的な最適化制御を実現しました。
テナント・就業者向けの体験施策とも連動し、ワークプレイス体験をアプリ等で支援。オープンプラットフォーム設計により将来の機能拡張にも対応し、デベロッパー主導の共創スキームにより産業パートナーとの協業を加速。スマートビル開発のモデルケースとして、データドリブンな建物運営の新たな標準を提示しています。
森ビルが都市OS「ヒルズネットワーク」で街全体をデジタル化した事例

都市のデジタルプラットフォーム「ヒルズネットワーク」を開発|ニュースリリース一覧|プレスルーム|企業情報|森ビル株式会社
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 森ビル |
| 業界 | デベロッパー(街区運営) |
| ビフォー | 施設・サービスごとに体験・データが分散し、横断的な最適化や個別最適を超えた提供が難しい |
| アフター | 都市OS「ヒルズネットワーク」を開発し、ヒルズID・ヒルズアプリで街の利用者データとサービスを統合。複数「ヒルズ」での体験を連動し、シームレスな都市生活を実現 |
六本木ヒルズ、表参道ヒルズ、アークヒルズ等の複数街区を共通データ基盤で連携し、利用者の都市体験を統合的に最適化。ヒルズIDによる利用者認証とヒルズアプリによる情報提供により、街区を跨いだシームレスなサービス利用を実現しました。
新旧街区での連携を明示し、虎ノ門・麻布台プロジェクト等への展開も計画。アプリ経由での最適化情報提供により、利用者の行動パターンや嗜好を分析し、個別最適化されたサービスの提供も可能に。都市OSとしてのデータ活用により、新たな街づくりのモデルを提示しています。
三井不動産が柏の葉スマートシティでデータ連携基盤を構築した事例

FACILITY ファシリティ|COMMUNITY コミュニティ|柏の葉スマートシティ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 三井不動産(柏の葉スマートシティ) |
| 業界 | スマートシティ(街区開発・運営) |
| ビフォー | 企業・行政・研究機関のデータが分散し、生活者に還元されにくい |
| アフター | 「柏の葉データプラットフォーム」と「Dot to Dot」による同意ベースのパーソナルデータ連携を整備。「柏の葉スマートライフパス」経由で生活者向けサービス提供を開始 |
企業・行政・研究機関が保有するデータを安全に連携し、新サービス創出・街の体験向上に活用するデータプラットフォームを構築。同意管理システム「Dot to Dot」を活用したパーソナルデータ連携により、プライバシーを保護しながら個人に最適化されたサービス提供を実現しました。
「柏の葉スマートライフパス」を生活者向けポータルとして、具体的なサービス提供を開始。共創プログラムにより事業化を促進し、データを起点とした新たなビジネスモデルの創出にも取り組んでいます。スマートシティの実装モデルとして、持続可能な街づくりのエコシステム構築を推進しています。
安田不動産が建物OS×エッジAI連携で人流可視化を実現した事例

新虎安田ビルにてスマートビル運営・地域連携DX実証実験を開始 | 企業情報 | 清水建設
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 安田不動産株式会社(対象ビル)・清水建設株式会社・Idein株式会社 |
| 業界 | 不動産(オフィス)・ゼネコン・エッジAI |
| ビフォー | 設備・人流などがサイロ化し、横断利活用や運用最適化が困難 |
| アフター | 建物OS×エッジAIで人流・属性・滞在を取得・統合可視化。運営判断や空調等連携の基盤に |
新虎安田ビルにおいて、清水建設の建物OS「DX-Core」とIdeinのエッジAI基盤「Actcast」を連携し、AIカメラ10台による人流・属性・滞在人数の取得・分析システムを構築。従来は個別管理されていた設備データと人流データを統合することで、運営判断の高度化と空調制御等の最適化を実現しました。
エッジAI技術により、プライバシーに配慮しながらリアルタイムでの人流分析が可能。マーケティングデータとしての活用や会議室混雑可視化など、多様な用途での展開を想定。将来的な都市OSへの拡張も見据えた設計により、スマートビル運営の新たな可能性を提示しています。
不動産DXの始め方

実際に不動産DXを導入する際の具体的なステップについて、以下の観点から解説します。
まずは現状診断とKPI設定から着手する
不動産DXの成功には、現在の業務プロセスを正確に把握することが不可欠です。まず社内の業務フローを可視化し、どこにボトルネックや非効率が存在するかを特定。同時に、デジタル化により達成したい具体的な目標をKPI(重要業績評価指標)として設定することが重要です。
例えば「契約締結時間を50%短縮」「顧客満足度を20%向上」といった数値目標を明確にすることで、投資対効果の測定も可能になります。
現状診断では、既存システムの連携状況やデータの品質、スタッフのITスキルレベルも併せて評価することが成功への第一歩となります。
不動産テック企業7社と全国賃貸住宅新聞の共同調査(2024年)では、「DXを推進すべき」との回答が99.0%と過去最高を記録した一方、DX経験者の34.1%が「DX疲れ」を感じており、その主因は「複数システムの使い分けの難しさ」や「システム間の非連携」でした。
参考:不動産業界のDX推進状況調査 2024/イタンジ株式会社ほか不動産テック企業7社・全国賃貸住宅新聞/2024年
現状診断の段階で、こうした「意識と実行のギャップ」を自社がどの位置にいるか把握することが重要です。
KPI設定の重要性はそのとおりですが、不動産業界でDXのKPIを設定する際に注意すべき点があります。不動産取引は成約までのリードタイムが長く、季節変動も大きいため、「DXの効果なのか、市場環境の変化なのか」が判別しにくいという特性があります。
弊社がDX支援を行う際は、売上や成約率のような最終成果ではなく、「書類作成時間」「問い合わせ対応件数」「内見調整にかかるリードタイム」など、デジタル化による直接的な変化を測れる中間指標をKPIに設定することを推奨しています。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
業務プロセスの優先順位を決めて段階的に進める
全ての業務を一度にデジタル化するのではなく、効果の高い領域から段階的に取り組むことが推奨されます。契約業務、顧客管理、物件管理、財務管理などの中から、最も改善効果が期待できる分野を選定。
投資額と期待効果のバランスを考慮し、ROI(投資収益率)の高い領域から着手することで、早期の成果実感と予算確保につながります。また、現場スタッフの受け入れやすさも重要な選定基準です。
PwC Japanグループの「日本企業のDX推進実態調査2024」によれば、DXで「十分な成果が出ている」と回答した企業は約9.2%にとどまっており、10年以上取り組んでいても十分な成果を上げられていない企業が約65%を占めています。
この調査は全業種対象ですが、不動産業界も例外ではなく、一度に全社展開するよりも、効果の見えやすい業務から段階的に成果を積み上げていくアプローチが成功確率を高めるといえます。
参考:日本企業のDX推進実態調査2024(速報版)~足踏みする日本のDXの実態~/PwC Japanグループ/2024年
業務への影響が少なく、操作が簡単なシステムから導入することで、組織全体のデジタル化への抵抗感を軽減できます。
データ連携を前提とした技術基盤を設計する
個別システムを単独で導入するのではなく、将来的なデータ連携を見据えた技術基盤の設計が重要です。API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)による連携機能や、共通データフォーマットの採用により、システム間の情報共有をスムーズに実現。
顧客データ、物件データ、契約データなどが一元管理できる環境を構築することで、総合的な業務効率化と新たなサービス創出の基盤となります。
国土交通省が策定した「不動産業ビジョン2030」でも、AI・IoT等の新技術活用を前提とした官民一体のDX推進が提言されており、個別システムの導入にとどまらず、将来的なデータ連携を見据えた基盤設計が不動産業界全体の方向性として位置づけられています。
個社の判断だけでなく、業界全体の潮流を踏まえた設計が、中長期的な投資効率を高める鍵となります。
参考:不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~/国土交通省/2019年
セキュリティ対策やバックアップ体制も設計段階から組み込み、安全で継続的な運用を確保することも必須要件です。
小規模な実証実験で効果を検証する
本格導入前にPoC(概念実証)として小規模な実証実験を実施し、想定した効果が得られるかを検証します。特定の店舗や部署に限定してシステムを試験導入し、業務効率化の度合いや操作性、技術的な課題などを洗い出し。実際の業務データを使った検証により、導入効果の定量的な測定も可能になります。
また、現場からのフィードバックを収集し、システムの改善やカスタマイズに反映することで、より実用的なソリューションへの最適化も図れます。
国土交通省が宅建業5団体の会員企業を対象に実施した調査(2024年)では、IT重説の実績がある企業は13%、導入済みまで含めても33%にとどまり、導入予定なしが66%という結果でした。電子契約が法的に解禁されても、実際の導入は段階的に進んでいるのが実態です。
PoCを「やって終わり」にせず、検証結果を本格導入にきちんと接続する運用設計が、成功と失敗を分ける分水嶺です。
参考:不動産分野におけるDXの推進について/国土交通省 不動産・建設経済局/2024年
この段階で発見された課題を解決してから全社展開することで、大きな失敗リスクを回避できます。
不動産DXならニューラルオプト
不動産DXの成功には、業界特有の課題を理解し、技術的な実装力と課題解決力を兼ね備えたパートナー選びが重要です。
合同会社ニューラルオプトは、世界的AI技術であるChatGPTの開発に携わる技術力を基盤に、課題解決コンサルティングから開発まで一貫して対応可能。データサイエンス領域での豊富な知見により、顧客データ分析や需要予測、AIを活用した査定システムなど、不動産業界の競争力向上に直結するソリューションを提供します。
「失敗リスクを最小化する」をコンセプトとし、課題の本質的な解決から組織への定着支援、継続的な改善まで総合的にサポート。
ECサイト「eBay」の価格自動設定AIや手書き文字認識システムなどの実績を活かし、不動産DXの確実な成功をお手伝いいたします。







