海外Webマーケティングの特徴と手法|まずやるべき施策を紹介!
海外Webマーケティングは、日本よりも遥かに大きな市場を持つ海外をターゲットにできるマーケティング方法。インターネットの不急・流通手段の発達・国際決済の充実などでもはや国際ビジネスが普通となった現代では、避けることのできないマーケティング手法です。
本記事では、JOBs Japan株式会社やFluid Touch Pvt. Ltd.など海外向けWebマーケティングを中心に支援するニューラルオプト代表の鈴木が、海外向けWebマーケティングについて解説していきます。
- 海外Webマーケティングを行うべき企業
- 長期・短期別の施策一覧
- 海外Webマーケティングの王道展開パターン3選
- 海外Webマーケティングを展開する5ステップ
- 成果を出すためのポイント
【結論:ある】海外Webマーケティングは行う価値があるのか?
海外Webマーケティングは、多くの業界や企業にとって大きな価値があります。特に、以下のような状況にある企業は、海外Webマーケティングに取り組むべきでしょう。
- 国内市場が縮小している
- 海外に販路を拡大したい
- 自社の製品・サービスの専門性が高い
- 日本の高品質な製品・サービスを海外に提供したい
海外市場に目を向け商圏を拡大させれば、国内だけでは得られない成長の機会を手にすることができます。
また、日本政府観光局(JNTO)が公開している「国籍/月別 訪日外客数(2003年~2024年)」によると、訪日外国人数は2023年に2,500万人を超え、過去最高だった2019年の約8割まで回復。2024年は1~7月までの間でも2000万人以上となっているので、例年を超えるペースで訪日外国人が増えています。
このようなインバウンド需要の取り込みも、海外Webマーケティングの大きな目的の一つと言えるでしょう。
海外Webマーケティングをやるべき業界
海外進出をサポートするWebマーケティングが向いているのは、主に以下のような業界・商材の場合です。
- 海外を顧客にしているあらゆる業界
- 製造業|販路拡大に
- 観光業|訪日外国人の集客に
- ニッチな業界や商材などの越境EC
海外を顧客にしているあらゆる業界
外に顧客を持つ、またはこれから開拓したいと考えている企業は、業界を問わず海外Webマーケティングに取り組むべきです。
特に、海外からの引き合いを増やしたい、または海外の販売代理店を開拓したいBtoB企業にとって、海外Webマーケティングは効果的な手段となります。
製造業|販路拡大に
日本の製造業は高い技術力と品質で知られています。海外の企業や消費者に日本製品の魅力を伝え、販路を拡大するために、海外Webマーケティングは欠かせません。
実際に、多くの製造業企業が海外進出を加速させています。外務省の統計によると、日本の製造業企業の海外拠点数は、どの地域でも増加傾向にあります。特にアジアでは全体の約6割を占めています。(参照:統計表一覧(令和2年(2020年)以前)|外務省)
観光業|訪日外国人の集客に
観光庁の調査によると、訪日外国人の79.5%が「観光・レジャー」を目的に日本を訪れています。(参照:訪日外国人消費動向調査)日本の観光地の魅力を海外に発信し、訪日意欲を高めることが重要です。
そのために、旅マエ(訪日前)、旅ナカ(旅行中)、旅アト(帰国後)の各段階で、外国人旅行者の行動に合わせた情報提供を行うべきです。位置情報データを活用したインバウンドターゲティング広告などが有効な手段として注目されています。
ニッチな業界や商材などの越境EC
日本国内だけでは市場規模が限られるような専門性の高い製品・サービスも、世界に目を向ければ十分なニーズが見込める可能性があります。日本企業の高い技術力や品質は、海外でこそ真価を発揮すると言えます。
したがって、国内では専門性が高すぎて広く受け入れられない製品・サービスでも、海外Webマーケティングによって新たな顧客を獲得できる可能性が高いのです。
海外Webマーケティングの特徴と違い
海外Webマーケティングには、国内のWebマーケティングとは異なるいくつかの特徴があります。市場サイズ、言語、文化、商習慣、税制の違いなどに注意が必要です。
市場サイズが大きい
海外Webマーケティングの最大の特徴は、ターゲットとする市場が大きいこと。例えば英語サイトを使って全世界に向けてWebマーケティングを行う場合、英語話者は日本語話者の10倍以上存在するため、潜在顧客を発掘できる可能性が高まります。
ただし、競合企業も多く競争が激しいというデメリットもあります。対象市場の規模に比例して、競争に勝ち抜く難易度も高くなります。
「英語圏」かつ「他国でも出せる商材・サービス」は競争が激しい傾向です。
逆に「日本語レッスン」のような海外企業が出しにくい商材は英語圏でも競争は激しくありません。
言語と文化が違う
海外Webマーケティングは外国語でのWebサイト活用が前提となるため、言語が異なります。Webサイトの表記はもちろん、競合企業の調査、顧客とのやり取り、貿易実務など、全てが外国語での対応が必要です。
また、対象地域の文化的な違いにも注意が必要です。例えば海外のWebサイトデザインは、配色や画像と文章の配置、顧客への訴求方法などで、日本企業のWebサイトとは異なる特徴を持つことが多いのです。
商習慣が違う
海外Webマーケティングでは、対象国・地域の商習慣の違いを理解しておく必要があります。例えば製品の使用シーンや使用方法の説明は、日本の常識が通用しない可能性があります。
また、製品カラーやWebサイトのデザインなども、ターゲット地域のユーザーの好みに合わせて再検討することが重要です。
税制が違う
海外への製品発送には関税がかかる場合があり、国や品目、輸出目的によって税率は異なります。海外Webマーケティングで製品を販売する際は、関税や輸送コストを適切に見積もり、価格設定や収益計画に組み込む必要があります。
中小企業基盤整備機構の調査では、「関税、為替リスクなど貿易実務の負担が大きい」ことが、中小企業の輸出における課題の上位に挙げられています。(参照:平成 28 年度中小企業海外事業 活動実態調査報告書)
以上のように、海外Webマーケティングには国内とは異なる特徴や注意点が多くあります。言語や商習慣のハードルを乗り越え、戦略的に海外Webマーケティングに取り組むことが、日本企業の成長には不可欠だと言えるでしょう。
海外Webマーケティング手法一覧
海外Webマーケティングには様々な手法があります。短期的に成果を出したい場合と、中長期的に問い合わせを獲得する仕組みを作りたい場合とで、適した施策は異なります。
短期的に成果が出る施策
海外の顧客からすぐに反響を得たい場合は、以下のような施策が有効です。
多言語サイトの用意
いかなるWebマーケティングを展開するにしろ、まずやるべきは多言語サイトの用意です。現地のターゲット向けのサイトが無いと、リスティング広告などのWeb広告も回せず、顕在層が商品名・サービス名を検索したときの受け皿となる公式サイトも無くなってしまいます。
ただ、多言語サイト作成にあたり「日本向けサイトの内容を翻訳会社に依頼して翻訳すれば良い」というわけでは決してありません。翻訳する以上に、次のようなポイントに留意する必要があります。
分類 | 注意点 |
---|---|
インフラ | 言語ごとにURLを分ける |
hreflangタグを設定する | |
適切なドメインを使用する | |
翻訳 | サイト全体でイギリス英語・アメリカ英語のいずれかに統一 |
文化的・宗教的に問題のある表現を避ける | |
ネイティブによる監修を行う | |
翻訳機能のあるWeb制作会社に依頼する | |
国際化(i18n)対応 | 文字コードUTF-8を設定する |
“◯✕△”という表記を避ける | |
タイムゾーンを表記する | |
地域化(l10n)対応 | 文化的・宗教的に問題のある表現を避ける |
読点や句点、スラッシュなどを適切に使用する | |
フォーム・購入関連 | 電話番号に国コードを記載できるフォームに |
郵便番号は1つの入力欄にまとめ、 最大9桁・任意入力にする | |
現地向けの決済方法を使用する | |
自国通貨に換算したときの価格を表示する |
これはあくまで一例です。多言語サイト制作は無数に落とし穴があるので、知見のある人が十分注意を払い行う必要があります。
なお、多言語サイトについては以下の記事で詳細に解説しています。
リスティング広告などのWeb広告
多言語サイトができた後、まず積極的に行うべきはWeb広告です。Web広告には以下のように複数の種類があります。
広告名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
リスティング広告 | 検索結果に表示する広告 | 顕在層へアプローチできる 低予算で始められる |
ディスプレイ広告 (バナー広告) | テキストに加え画像や動画を組み合わせたバナーを表示する広告 | 潜在層へアプローチできる ビジュアルの表現が広く、自由に訴求できる |
リターゲティング広告 | 一度自社サイトに訪れたユーザーに対して配信する広告 | 顕在層へアプローチできる 高単価・BtoB商材と相性が良い |
まず始めるべきはリスティング広告。「顕在キーワード」と呼ばれるキーワードに対して出稿することで、比較的短期的に成果を出すことが可能です。
ただし国によって主要な検索エンジンが異なるため注意が必要です。基本的にはGoogleですが、例えば中国ではBaiduのシェアが84.27%と圧倒的に高くなっているなど例外も存在します。
また、クリック率を高めるために現地語でのコピーライティングを行う必要があるため、効率的に運用するには高い言語習熟レベルが求められます。
正しい商材に対し正しく運用すれば、Web広告は費用対効果が良い手法なので積極的に行うべきです。
SNS広告|検索ボリュームが無い商材に
SNS広告とは、FacebookやInstagramなどのSNS上でターゲットの属性に合わせて広告を配信する手法。ユーザーの興味関心や行動履歴などを元にターゲティングできるため、効率的にリーチできます。
ただ基本的にSNSは潜在層にリーチするもの。「顕在層からアプローチする」がマーケティングの定石なので、基本的にはリスティング広告を優先すべきです。SNS広告を選ぶのは検索ボリュームが乏しくリスティング広告がやりにくいような真新しい商材の場合におすすめです。
なおSNSの利用率は国によって異なります。基本的にはInstagramとFacebookの二強ですが、中国では規制があるためRedなどになります。
SNS広告は潜在層にリーチします。つまり「育成(ナーチャリング)が必要で購入までに時間がかかる」と同義なので、体力がある企業にはオススメです。
インフルエンサーマーケティング|消費者からの信頼獲得に
インフルエンサーマーケティングとは、SNSで影響力のあるインフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらい手法。インフルエンサーの投稿は、フォロワーから高い信頼を得ているため、広告よりも自然に興味を引き出せます。
特に効くのは「使わないと良さが分からない商材」や「初回購入ハードルが高い商材」。また、中東や東南アジアなどWeb系の詐欺が多く、消費者が潜在的に「ネットで商品を買う」という行為に対して不信感を持っている地域にも有効です。
越境ECなどのWebサイトで「〇〇さんに紹介してもらいました」と投稿を埋め込むことで、購入完了率を上げるなどの効果もあります。
ただし、インフルエンサーの選定は慎重に行う必要があります。フェイクフォロワーが多かったり、イメージが合わなかったりすると、逆効果になるおそれがあるため。きちんとノウハウがあるところに依頼するのがベターです。
長期的に成果が出る施策
海外Webマーケティングで中長期的に問い合わせを獲得する仕組みを作るには、以下のような施策が有効です。
SEO|まずやるべき長期施策
SEOは、検索エンジンで自社のWebサイトを上位表示させることで、検索エンジン経由の流入を増やす手法です。
- 検索需要を取り込み、長期的かつ安定的な集客が見込める
- 一度上位表示されると、広告費用をかけずに流入が継続する
- オーガニックな流入は、ユーザーからの信頼度が高い
- 製品・サービスの情報を探すユーザーが多い業種
- 長期的な顧客獲得や、ブランド構築をやっていきたい企業
ただし、SEOは継続的な改善の積み重ねが必要で、結果が出るまでに数ヶ月から数年かかることがあります。キーワード選定や海外の検索エンジンへの最適化など、専門的な知見も求められます。
SEOが広告と大きく違うのは「費用をかけるのを辞めても効果が出る」というところ。資産になるので、長期的に投資していくのがおすすめです。
YouTube|他の施策と組み合わせやすい
YouTubeも費用対効果の高いマーケティング施策です。自社のチャンネルを開設し、製品・サービスの魅力を動画で伝えることで、海外の顧客獲得につなげられます。
実はYouTubeは他の施策と組み合わせたときのメリットが大きいです。メルマガに埋め込めば潜在顧客の育成に使えますし、ECに埋め込めば信頼獲得、SEOメディアに埋め込めば順位向上にも貢献します。
なお企業がYouTube運営を行うときの最大の注意点はKPIの設定です。なんとなく「登録者・再生回数を増やそう!」と考えがちですが、企業YouTubeで登録者をKPIにするのは危険です。
企業のYouTube運営の目的は広告収入ではありません。なのに登録者・再生回数をKPIにし、マス向けに最大公約数的なコンテンツを発信するのはズレていると言えます。
SNS運用|+αの施策として
FacebookやInstagramなどのSNSは、海外マーケティングにも活用可能です。ただ基本的には潜在層へのリーチになるので、SEOや広告をやらずSNSだけというのは「購入のハードルが低い商材」「飲食など実店舗ビジネス」でない限りはオススメできません。
そのため、ある程度の施策をやりきってから手を付ける+αの施策と考えておくと良いでしょう。
ただ自分でSNSアカウントを育てるわけでなく、先述したインフルエンサーマーケティングの場合は「見込み顧客からの信頼獲得」「一気に認知獲得」などのメリットがあるためむしろ初期から行うのがオススメです。
メールマーケティング(メルマガ)|顧客育成に
メールマーケティング(メルマガ)は、見込み客のメールアドレスを獲得し、製品・サービスの情報を定期的に配信する手法です。基本的には「見込み顧客を育成するための手法」と考えておくとよいでしょう。
- アドレスを獲得した見込み客に、継続的にアプローチできる
- メールの開封率などの指標から、見込み客の反応を測定できる
- BtoBや高単価商材など購入サイクルが長いビジネス
- 見込み客の育成に時間をかけられる体力がある企業
ただメールマーケティングを始めるためには、メールアドレスを収集する仕組みが必要です。自社サイトでの会員登録やニュースレター登録などを促進する施策と組み合わせましょう。
海外Webマーケティングの王道手法3選
海外Webマーケティングで効果を上げるには、自社の目的や予算、商材の特性などに合わせて、適切な手法を選択することが重要です。ここでは、短期的な成果から長期的な顧客獲得まで、幅広く活用できる王道の手法を3つ紹介します。
1. Web広告|短期的成果を出す
リスティング広告やディスプレイ広告などのWeb広告は、海外マーケティングで即効性のある手法として広く活用されています。
まずやるべきは顕在層に効果的にリーチできるリスティング広告です。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで特定のキーワードに連動して表示される広告です。ユーザーが能動的に検索したキーワードに合わせて広告を配信できるため、高い効果が期待できます。
注意点としては、広告を回す前にまずはバケツの穴を塞ぐ必要があるということ。広告を始める前に、LPや営業資料などの受け皿をしっかり作り込んでおかないと、コンバージョン率が下がり広告費を無駄にすることになります。
また、Web広告は比較的短期的に成果が出る手法ではありますが、機械学習を進めて広告効果を最大化するためには数カ月時間がかかるとあらかじめ認識しておきましょう。
2. SEO|1年以上かけて育てる
広告と並び長期的に展開していくべきはSEOです。SEOは、自社のWebサイトを検索エンジンの上位に表示させ、オーガニックな流入を増やす手法です。
海外のユーザーが検索エンジンで情報を探す際に、自社のWebサイトが上位に表示されれば、クリックを得られる可能性が高まります。クリックした内の一部のユーザーが「商品・サービスの購入」「メルマガの登録」などのコンバージョンに至ってくれる、というわけです。
ただし、SEOは一朝一夕には結果が出ません。具体的には1~2年はかかると考えておきましょう。ただ、SEOへの投資は広告と違い資産性が高いので、積極的に展開していくべきです。
3. インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングは、SNSで影響力を持つインフルエンサーを活用し、商品やサービスの認知拡大を図る手法。インフルエンサーが発信する情報は、フォロワーから高い信頼を得ているため、広告よりも自然に商品の魅力を伝えることができます。
インフルエンサーマーケティングのメリットは、インフルエンサーの持つ「信頼」と「共感」を商品に転嫁できる点にあります。単なる宣伝ではなく、「友人のおすすめ」のような形で商品を紹介してもらえるため、ユーザーの心理的ハードルを下げられます。
そのため、導入事例やお客様の声など「信頼」を担保するコンテンツが乏しい初期の段階でインフルエンサーマーケティングに投資しておくのはおすすめです。
ターゲット国ごとに、潜在顧客の間で認知度が高いインフルエンサーに紹介してもらえれば、「この人に紹介されたんだ。じゃあ大丈夫かな」と信頼を獲得することができます。
海外Webマーケティングのステップ
海外Webマーケティングを成功させるためには、戦略的なステップを踏む必要があります。ここでは、市場調査から顕在層へのアプローチまで、5つのステップを解説します。
ステップ1. 市場調査
海外Webマーケティングの第一歩は、進出先の国や地域の市場を徹底的に調査することです。具体的には以下のような観点から調査します。
調査項目 | 目的 | 調べ方 |
---|---|---|
人口・首都などの概況 | 概要を把握する | JETROの「概況・基本統計」 |
年齢別人口 | 市場規模を把握する | World Population Prospects |
GDP(国内総生産) GNI(国民総所得) PPP(購買力平価) など経済指標 | 市場規模・購買力を把握する | World Bank Open Data IMF DataMapper |
貿易投資動向 | ジェトロ世界貿易投資報告 | |
現地の競合の売上 | 市場規模を把握する | “社名 revenue”などで検索 |
現地の市場規模 | 市場規模を把握する | “国 業界 market share”や”国 商品 market share”などで検索 |
市場規模を調べておくと「そもそも進出する価値があるのか」「期待する売上が立てられそうか」が分かります。
ステップ2. 現状分析
次のステップは、自社の現状を分析することです。海外の市場と自社の製品・サービスを照らし合わせ、強みと弱みを洗い出します。
具体的には、以下のような点を分析します。
項目 | 詳細 |
---|---|
製品・サービスの特徴 | 現地の顧客ニーズに照らして、自社の製品・サービスの強みと弱みは何か。 |
価格競争力 | 現地の競合他社と比べて、自社の価格設定は適切か。 |
ブランド力 | 現地での自社ブランドの認知度や評価はどの程度か。 |
販売チャネル | 現地の顧客が利用するチャネルに適した販売体制が整っているか。 |
これらの分析を通じて、自社の強みを生かした差別化ポイントを明確にします。また、弱みについては、改善策を講じる必要があります。
現状分析は、海外Webマーケティングの戦略立案に欠かせないステップ。自社の立ち位置を正しく把握することで、適切な戦略を選択できます。
ステップ3. コンバージョンの設計をする
海外Webマーケティングで成果を上げるためには、コンバージョンの設計が重要です。特にBtoBのマーケティングでは、問い合わせ以外にもメルマガ登録やホワイトペーパーのダウンロード、セミナー参加など、様々なコンバージョンを用意する必要があります。
コンバージョンを設計する際は、以下の点に留意します。
- 顧客の関心や課題に合わせて、様々なコンバージョンを用意する。
- 初めての顧客でも気軽に行動できるよう、ハードルが低いコンバージョンを用意する。
- 最終的な問い合わせに至るまでに、段階的なステップを用意する。
例えば、まずはメルマガ登録から始まり、次にホワイトペーパーをダウンロードしてもらい、最後にセミナーに参加してもらうといった具合です。商材がサブスクなどの場合であれば無料トライアルや1ヶ月返金保証なども検討すると良いでしょう。
とりわけ潜在層向けにアプローチする場合(SNS広告やSEOのノウハウ系コラムなど)は、コンバージョンのハードルを徹底的に下げて顧客リストを獲得したうえで、長期的に顧客育成を行っていくのが良いでしょう。
ただ、まずは顕在層向けからアプローチしていくのが定石です。
ステップ4. バケツの穴を塞いでいく
海外Webマーケティングで集客を行う前に、「バケツの穴」を塞ぐ必要があります。バケツの穴とは、Webサイトにおけるコンバージョンの障壁や、問い合わせ後の営業プロセスの不備などのこと。
具体的には、以下のような点を改善します。
- LPの最適化(LPO)
- お問合せフォームの改善(EFO)
- 営業資料の充実
- インサイドセールス強化:お問い合わせから5分以内の架電体制など
BtoBの場合、営業資料が受注獲得に直結するのを忘れてはいけません。「4つの不(不信、不適、不急、不用)」を解消するような資料を用意し、インサイドセールスのレベルを一定以上に保つことが重要です。
まずはバケツの穴を塞いでから、始めて広告などで流入を獲得(水を流す)していくのが定石です。
ステップ5. 顕在層からアプローチする
バケツの穴を塞いだら、いよいよ集客に乗り出します。海外マーケティングに限った話ではありませんが、まずは顕在層にアプローチするのが効果的です。
顕在層とは、すでに製品・サービスへの興味や購買意欲を持っている層のこと。顕在層からアプローチするべき理由は以下のとおりです。
- コンバージョンから購入までのリードタイムが短い→短期的に売上を立てやすい
- 考えなければいけない変数の数が潜在層より少ない→やることが少なくて済む&費用対効果が計算しやすい
具体的には、以下のようなチャネルから顕在層にアプローチします。
- リスティング広告
- リターゲティング広告
- メルマガ
このような方法で、顕在層を確実に抑えていきましょう。
ただし、顕在層だけでは市場が限られてしまうため、潜在層へのアプローチも
海外Webマーケティングで成果を出すためのポイント
海外Webマーケティングで成果を出すためには、戦略的なポイントを押さえる必要があります。ここでは、6つの重要なポイントを解説します。
目的に対して適切な市場を選ぶ
目的を明確にし、その目的に適した市場を選ぶことが重要です。例えば、新規顧客の獲得を目的とする場合は、自社製品・サービスの需要が見込める市場を選びます。一方、ブランド認知度の向上が目的であれば、自社のブランドイメージに合った市場を選ぶことが有効です。
市場選定の際は、市場規模や成長性だけでなく、競合状況や法規制なども考慮する必要があります。綿密なリサーチを行い、自社の強みを生かせる市場を見極めましょう。
売上拡大を目的とするときは、期待する売上がターゲット国の市場規模として実現可能かをきちんとリサーチしましょう。
まずは最優先でバケツの穴を塞ぐ
広告などを展開する前に、まずは受け皿となるWebサイトを磨き切り「訪問したら購入などのゴールに至ってくれる確率」であるコンバージョン率を上げておく必要があります。具体的には、LP(ランディングページ)の最適化、問い合わせフォームの改善、多言語対応などが挙げられます。
特に、海外の顧客は言語や文化の違いから、日本の顧客以上に不安を感じやすいものです。サイトの信頼性を高め、コンバージョンに導きやすい導線を設計することが重要です。
顕在層→潜在層の順番にアプローチする
海外Webマーケティングでは、まずは顕在層にアプローチし、徐々に潜在層へとターゲットを広げていくのが効果的です。顕在層とは、すでに製品・サービスへの興味や購買意欲を持っている層のことです。検索連動型広告やリターゲティング広告を活用し、積極的に顕在層を取り込みましょう。
顕在層から得た知見を生かしながら、徐々に潜在層へのアプローチを強化していきます。潜在層には、コンテンツマーケティングやSNS広告などを活用し、ブランド認知度の向上を図ることが有効です。
コンバージョンの設計に注意する
Webマーケティングではコンバージョンの設計が成果を大きく左右します。特にBtoBのマーケティングでは、問い合わせ以外にもメルマガ登録やホワイトペーパーのダウンロード、セミナー参加など、多様なコンバージョンを用意する必要があります。
主観ですが「コンバージョン設計のインパクトはずば抜けて大きい」と考えています。
コンバージョンを設計する際は、顧客の関心や課題に合わせ、段階的なステップを踏ませるようにしましょう。最終的な問い合わせに至るまでに、複数のコンバージョンポイントを用意することで、見込み客を効果的に育成できます。
短期施策と長期施策を同時に展開する
短期的な施策と長期的な施策の両方を同時展開する必要があります。
ありがちなのは「SEOなどの長期施策にしか手を出していない」などのケースです。
短期施策としては、リスティング広告やディスプレイ広告などが挙げられます。これらの施策は、即効性が高く、短期間で成果を出すことができます。
一方、長期施策としては、SEOやコンテンツマーケティング、ブランディングなどが挙げられます。これらの施策は、時間はかかるものの、長期的な顧客獲得やブランド構築に貢献します。
短期施策と長期施策をバランスよく組み合わせ、継続的に成果が出せる構造を作っていきましょう。
初回購入のハードルを乗り越える施策を行う
海外Webマーケティング、特に越境ECにおいては、初回購入のハードルが大きな課題となります。特に、「使ってみないと良さが分からない商品」の場合、顧客の不安や懸念を払拭する必要があります。
海外の顧客は、日本企業に対する信頼度が低い場合もあります。特に、中東や東南アジアでは、詐欺的なビジネスも多いため、消費者が潜在的にECサイトに対して疑念を抱きがちです。
この課題を乗り越えるためには、現地の代理店やインフルエンサーとの連携が有効です。現地の商習慣に精通した代理店と組むことで、顧客の信頼を獲得しやすくなります。また、現地のインフルエンサーに製品を紹介してもらい、その投稿をサイトに埋め込むことでも、信頼性を高めることが可能です。
海外Webマーケティングで事業拡大を
海外Webマーケティングは比較低コストから海外進出できる魅力的な手法である一方、「施策が多すぎて何から手を付ければ良いか分からない」というお悩みを持つ方も多いでしょう。
多国籍チームで構成されるニューラルオプトでは、あらゆるマーケティング手法を熟知したディレクター、それぞれの専門領域に精通したコンサルタント、現地のローカライズを助ける翻訳者などを1つにまとめ、総合的に海外のマーケティング支援を行っています。
もし海外進出にあたりお悩みの方がいらっしゃれば、ぜひご相談ください。