楽天のスクレイピングは規約違反?取得できる情報や自動化の例を紹介
楽天市場は国内最大級のオンラインショッピングモールです。出品店舗数は5万店以上、商品数は2億8000万点以上と非常に規模が大きく、消費者にとってもショップにとっても欠かせない存在となっています。
一方、このように膨大な量の商品情報がある楽天市場をプログラムを使って自動的に収集したい、いわゆる「スクレイピング」を試みる方もいるでしょう。しかし、実は楽天市場の利用規約では、スクレイピングは禁止されているのです。
本記事では、楽天市場のスクレイピングについて解説します。規約で何が禁止されているのか、一方でどのような情報収集の手段が認められているのかを見ていきましょう。
なおスクレイピングの概要は以下の記事でも解説しています。

楽天のスクレイピングは規約で禁止されている
利用規約第7条 第7項
楽天市場の利用規約では、第7条(禁止事項)の第7項において、以下のように定められています。
第7条(禁止事項) 1. お客様は、本サービスの利用において以下の各号に定める行為をしてはならないものとします。 (7) 当社の事前の許可を得ることなく、自動化された手段(自動購入ツール・ロボットなどこれらに準ずる手段)を用いて商品を購入すること(商品ページ上の情報取得等を含む)
つまり、楽天の許可なく自動化されたツールやプログラムを使って、商品ページの情報を取得することは明確に禁止されているわけです。
APIを使えば情報が取得できる
一方で、楽天では外部のシステムから情報を取得できるAPIを提供しています。主なAPIは以下の通りです。
API名 | 説明 | Affiliate対応 | API認可方式 | テストフォーム |
---|---|---|---|---|
楽天市場商品検索API | 楽天市場の商品情報を取得可能 | 対応 | アプリID認可方式 | テストフォームあり |
楽天市場ジャンル検索API | 楽天市場のジャンル名・構造を返却 | – | アプリID認可方式 | テストフォームあり |
楽天市場タグ検索API | 楽天市場のタグ名・構造を返却 | – | アプリID認可方式 | テストフォームあり |
楽天市場ランキングAPI | 「ランキング市場」の情報を取得 | 対応 | アプリID認可方式 | テストフォームあり |
商品価格ナビ製品検索API | 商品コードから商品情報を取得 | 対応 | アプリID認可方式 | テストフォームあり |
これらのAPIを利用すれば、プログラムから楽天市場の情報を適切に取得することができます。利用にはアプリIDの取得が必要で、審査もあります。無秩序なデータ収集とは異なり、一定のルールの下で利用が認められているわけです。
受注や出荷、在庫関連の自動は難しい
楽天の公式サイトには、受注や出荷、在庫関連のAPIについて以下のような記載があります。
「楽天ウェブサービスで提供しておりますAPIは、楽天市場会員様がアフィリエイト目的で利用するために無償で提供されているAPIです。 そのため、受注や出荷、在庫関連などのAPIはございません。」
つまり、ショップ運営に直結するこれらの情報は、APIでは提供されていないのです。 受注管理や在庫管理は、楽天が用意する管理画面上で行う必要があります。
楽天ブックスや楽天トラベルなどのAPIも存在
楽天市場以外にも、楽天グループが運営する各種サービスでAPIが提供されています。 楽天ブックス、楽天トラベル、楽天レシピ、楽天Koboなどが代表例です。 これらのAPIを活用すれば、各サービスの情報を自動で取得し、アフィリエイトに役立てることができるでしょう。
楽天から自動で取得できる情報例(APIあり)
楽天が提供するAPIを利用すれば、以下のような情報を自動で取得することができます。
商品名や価格、URLなどの基本情報
楽天市場商品検索APIを使えば、楽天市場に出品されている通常の商品(共同購入商品、オークション商品、フリマ商品等は除く)の基本情報を取得できます。商品名、価格、商品URL、商品画像のURLなどが含まれます。
キーワードの検索結果
楽天市場商品検索APIでは、キーワードによる商品検索も可能です。特定のキーワードで検索した結果の商品情報を取得できるほか、商品コードを指定しての検索もできます。
ショップ別・ジャンル別の検索
以下の情報を取得できます。
- 楽天市場のジャンル名、ジャンル構造(階層情報): 楽天市場ジャンル検索API
- 指定したジャンルIDに対応するジャンル情報: 楽天市場ジャンル検索API
これにより、ショップ別やジャンル別に商品情報を絞り込んで取得することができます。
商品のランキングデータ
楽天市場ランキングAPIを使えば、楽天市場の「ランキング市場」コーナーに掲載されているランキングデータを取得できます。
- ジャンル別、性別、年代別などの各種ランキング
- 最大1000位までのランキング順位
- ランクイン商品の画像URL(最大3枚)
などのデータが取得可能です。
商品コードからの商品情報
商品価格ナビ製品検索APIを利用すると、楽天市場の商品コードから該当商品の詳細情報を取得できます(共同購入商品、オークション商品等は除く)。
以上のように、楽天の提供するAPIを適切に利用することで、スクレイピングによる無秩序なデータ収集をせずとも、必要な商品情報を自動で取得することができるのです。ただし、これらのAPIを利用するには事前に楽天の審査を受ける必要があります。
楽天からの自動取得は難しい情報
楽天が提供するAPIを利用しても、自動で取得が難しい情報があります。主なものを見ていきましょう。
購入履歴など非公開情報
利用者の購入履歴や閲覧履歴など、プライバシーに関わる非公開情報はAPIでは提供されていません。これらはあくまで楽天と利用者との間の機密情報であり、外部からのアクセスは許可されていないためです。
ショップごとの販売データ
各ショップの売上げや販売個数などの詳細な販売データもAPIでは取得できません。このような情報は、出店者のビジネスに直結するセンシティブなデータであるため、楽天は厳重に管理しています。ショップオーナーは管理画面からのみ自店舗のデータを確認できる仕組みになっています。
口コミ・レビュー
商品ページに表示される購入者からの口コミやレビューも、APIの対象外となっています。これは、テキストマイニングなどによる無断での情報分析を防ぐためと考えられます。楽天は利用者が安心して本音の感想を投稿できるよう、外部からのアクセスを制限しているのでしょう。
このように、利用者のプライバシーや出店者の利益に関わるデータは、たとえAPIが提供されていても対象から除外されています。機密性の高い情報ほど、慎重に管理されているといえます。
楽天のスクレイピング・APIでできる自動化例
適切な方法で情報を取得できれば、ビジネスの効率化や拡大に役立てることができます。ここでは、楽天のAPIを活用した自動化の例をいくつか紹介しましょう。
特定ジャンル・キーワードの最新商品情報の取得
楽天市場商品検索APIやジャンル検索APIを使えば、特定のジャンルやキーワードに合致する商品情報を自動で収集できます。
定期的にAPIを呼び出すようにしておけば、常に最新の商品情報を取得し続けることが可能です。
新商品のチェックや売れ筋商品の把握などに活用できるでしょう。
他ECサイトとの価格比較
楽天市場の商品価格を、他のECサイトと自動で比較することもできます。
楽天の商品検索APIで得た商品情報を、他サイトのAPIや公開されているデータと突き合わせるのです。
価格差を自動でモニタリングできれば、適切な価格設定やセール時期の判断などに役立ちます。
アフィリエイトURLの自動生成
アフィリエイターにとって、URLの生成や管理は手間のかかる作業です。
しかし、楽天の商品検索APIなどで得た商品情報を基に、アフィリエイトリンクを自動生成するツールを作れば、この作業を大幅に効率化できます。
商品データベースと連携させることで、膨大な数の商品リンクでも漏れなく対応可能です。
このように、APIを活用すれば、情報収集からプロモーションまで、幅広い業務の自動化が実現します。
単純作業から解放され、戦略的な施策に注力できるようになるでしょう。
ただし、くれぐれも利用規約の範囲内で行動することが大切です。
正しいやり方で効率化を図り、ビジネスを発展させていきましょう。
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