トピッククラスター戦略とは?作り方、メリット、注意点を紹介
トピッククラスターとは
トピッククラスターとは「本来バラバラになっているトピック同士を、内容に従ってまとめたもの」です。
適切にトピッククラスター戦略を実施していくことで、記事ごとのSEO評価の大幅な向上が見込めます。
- トピッククラスター:バラバラのコンテンツを話題ごとに、階層構造でまとめたもの。
- トピッククラスターモデル:トピッククラスターをサイト全体で用いた構造のこと。
- トピッククラスター戦略:トピッククラスターモデルを使用していく戦略のこと。
トピッククラスターは「メイントピック」(ピラートピックとも)とそれを捕捉する「サブトピック」によって構成されます。
- 犬 (メイントピック)
- 犬の種類 (サブトピック)
- チワワ (サブトピックのサブトピック)
- ダックスフンド
- etc.
- しつけ方・飼い方 (サブトピック)
- トイレトレーニング
- 食事
- etc.
- 費用 (サブトピック)
- 最初にかかる費用
- 毎月かかる費用
- etc.
- 犬の種類 (サブトピック)
このように、トピッククラスターモデルは常に階層構造になります。
例えば「犬」をメイントピックとした場合、その1つ下の階層には「犬の種類」「しつけ方・飼い方」「費用」などのサブトピックがあるでしょう。場合によっては、「しつけ方・飼い方」の1つ下にはさらに「トイレトレーニング」「食事のルール」などのトピックが入る可能性もあるでしょう。
トピッククラスター戦略の3つのメリット
メリット1. ビッグキーワードで上位表示を狙いやすくなる
トピッククラスターモデルでは、下のトピック(サブトピック)から上のトピック(ピラートピック)に向かってリンクを設置していきます。
例えば「トイレトレーニング」という記事の中には「犬の飼い方にまとめた記事はこちら」のように1つ上の「しつけ方・飼い方」に対してリンクを設置していきます。
同様に、「食事のルール」という記事の中にも同じように「犬のしつけ方・飼い方」に対してリンクを設置します。これを続けていくと、「犬のしつけ方・飼い方」にはサブトピックからのリンクが集中していくことになります。
通常、リンクを獲得している記事は「リンクを向けられるほどの価値がある」と検索エンジンから判断されます。そのため、サブトピックからリンクを向けられた側である「犬のしつけ方・飼い方」の記事に対するSEO評価が上昇していきます。
このように、ピラートピックコンテンツにリンクが集中していくことによって、ビックキーワードで検索上位を取ることが容易になっていきます。
メリット2. トピックの記事群全体のSEO評価を上げられる
また、トピッククラスター戦略を使うことで、メイントピックだけでなくサブトピックの記事に対するSEO評価もあげられます。
通常、ユーザーの検索意図は1つの記事だけではカバーしきれないほど多様です。(1つの記事でカバーしようとすると、文字数が多すぎてユーザーは困ってしまいます。)
トピッククラスターモデルを使用すると、ユーザーのさまざまな検索意図を満たしつつ、1つ1つの記事は適切な長さに収めることができます。
具体的には、適切な文脈で同じクラスター内の別記事へリンクを設置することで、その情報を満たしているユーザーだけがそのページへ飛べるように設計します。例として、「犬のトイレトレーニングについて説明している記事」を取り上げてみましょう。
トイレのしつけは、犬を飼い始めた当日から行いましょう。
ポイントとしては「厳しく叱らない」こと。厳しく叱ってしまうと、犬の中で「排せつする→叱られる」という認識ができてしまいます。
関連記事:ペットの正しい叱り方・しつけ方とは?
トイレを設置する前に、トイレシーツにその子の排せつ物の匂いをつけておきましょう。
このように、文脈に従って関連記事としてリンクを設置することで、「ペットを正しくしつけるにはどうすれば良いんだろう?」と思ったユーザーを満足させることができます。
そのため、ユーザーのさまざまな検索意図をカバーしつつも、1つ1つの記事が不必要に長くなりすぎることを防げ、結果的にそれぞれの記事に対するSEO評価が上がっていくのです。
メリット3. ロングテールキーワード戦略がさらに効果的になる
トピッククラスター戦略は、ロングテールキーワード戦略と掛け合わせることで、さらに強力な戦略になります。
上位表示ができたロングテールキーワードに関する記事に、コンバージョンしやすいが上位表示が難しいページへのリンクを設置することで、ユーザーがコンバージョンに至る手助けをすることができます。
例えば「チワワ トイレ 覚えない なぜ」というキーワードに関する記事の中に「正しいトイレトレーニングのやり方」という記事へのリンクを貼ることで、たとえ「正しいトイレトレーニングのやり方」の記事が検索上位ではなくとも、ユーザーを送り込むことができます。
送った先の記事で「トイレトレーニングのコーチングを行います」のようなコンバージョンポイントを設置すれば、送り込まれたユーザーの数%はコンバージョンに至ってくれるでしょう。
トピッククラスター戦略の実施方法
では、トピッククラスター戦略はどうすれば実施できるのでしょうか?ここからは、トピッククラスター戦略を実際に行なっていくステップについて解説していきます。
- キーワードをトピックに分類する
- トピックを主従関係に従って階層化し、トピッククラスターモデルを作る
- 内部リンク構造を定める
- トピックごとで記事を更新する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. キーワードをトピックに分類する
ここで登場する重要な概念は「キーワードとトピックは違う」ということです。そして、トピックは複数のキーワードを含みます。
- キーワード:「犬 トイレトレーニング やり方」「犬 トイレトレーニング 基本」などの実際の検索フレーズ。
- トピック:「犬のトイレトレーニング」という話題。「犬 トイレトレーニング やり方」「犬 トイレトレーニング 基本」などのキーワードが包含されます。
例えば「犬のトイレトレーニング」というトピックには、「犬 トイレトレーニング やり方」「犬 トイレトレーニング 基本」「犬 トイレトレーニング 初めて」などの複数のキーワードが含まれます。
それぞれのキーワードに対して記事を更新していく古典的なやり方だと、違うキーワードにはそれぞれ違う記事を更新することになります。例えば「犬 トイレトレーニング やり方」「犬 トイレトレーニング 基本」「犬 トイレトレーニング 初めて」をそれぞれ別の記事で対策することになります。
しかし、トピッククラスター戦略では、それらを「犬のトイレトレーニング」というトピックでまとめた上で、例えば「初めての犬のトレーニングのやり方!基本、オススメペットシーツなどを解説」のような1つの記事で対策します。
そのため、トピッククラスター戦略では、まず別々のキーワードをトピックごとにまとめて分類する必要があります。
トピックに分類するには、普通はSEOツールを使う
キーワードをトピックに分類する際は、通常はSemrushのKeyword Magic ToolやAhrefsなどのSEOツールなどを使用します。
SemrushやAhrefsは有料であるため、もし無料のツールを使いたい方はOMUSUBIというツールがオススメです。ただ、大規模サイトの場合かなり手間がかかるため、Semrushなどを使うことをオススメします。
ちなみに、ツールの力を使わずに自分の能力だけで分類することはオススメしません。キーワードカニバリゼーションなどの良くない現象が起きてしまうためです。
# これはテクニカルな話なので、読み飛ばして構いません。
SemrushやAhrefsが内部でどのようにキーワードをトピックに分類しているかは明らかになっていませんが、neural optのデータサイエンスチームは「検索結果(SERPs)の類似度が高いキーワード同士を、同じトピックに分類している」と推測しています。
例えば、「犬 トイレトレーニング やり方」と「犬 トイレトレーニング 基本」という2つの検索キーワードは、検索結果がある程度類似するはずです。
それらの検索結果のURLを上位から20位程度までまとめて一連の文字列として扱い、それぞれの文字列の類似度を計算します。類似度の計算方法は、DNAの類似度(例えば人と猫のDNAは90%類似していると言われます)を計算するのと似た方法です。
そして、一定の閾値α(例えば40%)を設け、類似度がαを超えたキーワード同士は同じトピックに分類することで、キーワードが話題ごとにトピックにまとめられます。
2. トピックを主従関係に従って階層化し、トピッククラスターモデルを作る
キーワードがトピックごとにまとめられたら、次はトピックの主従関係に従って、トピッククラスターモデルを構築していきましょう。
例えば、「犬 飼い方」の下には「犬 トイレトレーニング」「犬 食事」などのより細かいトピックが入ります。
ここは「どちらの方が大きい話題か?」と問いを繰り返すことで自然にできるので、そこまで難しくはありません。以下のようなツリー状の階層構造を作れば良いだけです。
- 犬 (メイントピック/親トピック)
- 犬の種類 (サブトピック/子トピック)
- チワワ (サブトピックのサブトピック/孫トピック)
- ダックスフンド
- etc.
- しつけ方・飼い方 (サブトピック)
- トイレトレーニング
- 食事
- etc.
- 費用 (サブトピック)
- 最初にかかる費用
- 毎月かかる費用
- etc.
- 犬の種類 (サブトピック/子トピック)
通常、トピッククラスターモデルのツリーは複雑になってしまうため、miroなどのマインドマップの作成に対応したツールを使うことを推奨します。
3. 内部リンク構造を定める
トピッククラスターモデルが完成したら、次は内部リンク構造を定めましょう。
具体的には、以下の2つのルールに従ってリンク構造を定めていきます。
- 子トピックから親トピックへは必ずリンクを設置する。(例:「犬のトイレトレーニング」の記事内には必ず「犬のしつけ方・飼い方」に対してリンクを設置する)
- 同じトピッククラスター内の記事間では、文脈に応じてリンクを設置する。(例:「犬のしつけ方・飼い方」の記事内でトイレトレーニングの話題が出た場合、「トイレトレーニングについて詳しくはこちら」のように「犬のトイレトレーニング」の記事に対してリンクを設置する)
2つ目のルールに関しては後からいくらでも修正が可能です。まずは1つ目のルールだけ守りましょう。(まあ、最初のうちはここにそこまでこだわらなくても大丈夫。)
4. トピックごとで記事を更新していく
内部リンク構造も定まったら、トピッククラスターモデル自体は完成です。
最後は、記事を更新するだけ。更新する順番に関しては諸説ありますが、私は「最も小さい子トピックから更新していき、その親トピックへ順番に遡っていく」をオススメします。
- 子トピックの方がキーワードボリュームが少なく、検索上位を獲得しやすいキーワード。なので、ドメインパワーが弱いサイトの場合、子トピックで徐々にアクセスを積み上げていき、最後に親トピックを更新するアプローチの方が合理的です。
それぞれのトピックの記事には、そのトピックに含まれる主要なキーワードを含めましょう。例えば「犬のしつけ・飼い方」についての記事には、「しつけの目的」「しつけの注意点」「トイレトレーニング」「社会化トレーニング」などの話題を含めましょう。
トピッククラスター戦略実施の注意点3つ
ここからは、トピッククラスター戦略実施において、まず気をつけるべき注意点を説明していきます。
ここで説明する注意点は以下の3つです。
- 原則、違うトピッククラスター同士ではリンクを飛ばさない
- サブトピックからメイントピックへのリンクは、なるべく記事の冒頭部分に設置する
- トピックとキーワードを混同しない
1. 原則、違うトピッククラスター同士ではリンクを飛ばさない
原則として、違うトピッククラスター同士ではリンクを飛ばすことは避けましょう。
例えば、犬に関するトピッククラスターの記事から、家具に関するトピッククラスターの記事にリンクを飛ばすのは好ましくありません。これは「不要なページへ発リンクしない」という原則に従っています。(ちなみに、犬に関する記事から猫に関する記事にリンクを設置するのは、犬から家具へリンクを設置することよりもマシです。というのは、犬と猫の関連性は、犬と家具との関連性よりもずっと高いからです)
2. サブトピックからメイントピックへのリンクは、なるべく記事の冒頭部分に設置する
2つ目の注意点としては、サブトピックからメイントピックへのリンクは、なるべく記事の冒頭部分に設置することです。
その理由はGoogleが重要だと判断したリンクに対して多くのPageRank(要するにページの評価スコア)を渡すアルゴリズムである「リーズナブルサーファーモデル」という考え方に基づきますが、ここで取り上げる話題ではないため、一旦別記事に解説を譲ります。
3. トピックとキーワードを混同しない
冒頭でも述べましたが、ここは大切なポイントなのでもう一度。
トピックとキーワードは全くの別物です。
- キーワード:「犬 トイレトレーニング やり方」「犬 トイレトレーニング 基本」などの実際の検索フレーズ。
- トピック:「犬のトイレトレーニング」という話題。「犬 トイレトレーニング やり方」「犬 トイレトレーニング 基本」などのキーワードが包含されます。
チームでSEO記事を更新している場合は、チームメンバーの全員がその違いを理解できている状態でプロジェクトを進めましょう。
トピッククラスターについてよくある質問
- トピッククラスター戦略では「関係のないリンクを設置するのはNG」とのことですが、ヘッダーやフッターにもリンクを設置してはいけませんか?
いいえ。関係のないリンクを設置してはいけないのは「メインコンテンツ」(htmlだとbodyの内部)であり、ヘッダーやフッターは関係ありません。
- トピッククラスター戦略は、サイト構築の途中から取り入れることはできますか?
はい。ただ、既存の内部リンク関係を全て削除し、トピッククラスターモデルに基づいたリンクを設置し直す必要があります。また、キーワードのカニバリゼーションを防ぐため、これまで別のキーワードとして対策していたが、実は同じトピックに属していた記事群は1つの記事にまとめてしまいましょう。