近年、自然災害が激甚化・頻発化する中、デジタル技術を活用した防災対策(防災DX)への注目が高まっています。政府や自治体、民間企業が連携し、AIやIoT、クラウド技術などを駆使して災害への備えと対応力を向上させる取り組みが全国で展開されています。
本記事では、日本国内で実施されている防災DXの先進事例15件を、公式情報に基づいて詳しく紹介します。事例は「早期警戒・予測」「避難誘導・安否確認」「被害把握・復旧高速化」「官民連携・データ連携」「手続・支援のオンライン化」の5つの軸で分類し、それぞれの背景から成果まで具体的に解説していきます。
以下の記事であhDXの事例をより広く紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。

早期警戒・予測を高めた事例

災害による被害を最小限に抑えるためには、早期の警戒と精度の高い予測が不可欠です。ここでは、最新のデジタル技術を活用して予測精度の向上や情報発信の強化を実現した事例を紹介します。
- 東京都建設局による河川監視カメラのYouTubeライブ配信
- JR東日本のレーダ雨量を活用した運転規制高度化
- 国土交通省の危機管理型水位計全国整備
- 神戸市の富岳を活用したデジタルツインシミュレーション
東京都建設局がリアルタイム河川情報提供を強化した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 東京都建設局 |
| 業界 | 自治体(都)/水害対策 |
| ビフォー | 静止画や計測値中心の提供で、状況の臨場感や即時性に限界があった |
| アフター | 雨量・水位・監視映像をリアルタイム提供し、YouTubeライブ配信で河川状況を可視化。Xでも発信を強化 |
東京都建設局では、都市型水害への対応強化として水防災総合情報システムを大幅にアップグレードしました。短時間豪雨による水位急上昇に対し、従来の静止画や数値データだけでは住民の避難判断に十分な情報を提供できないという課題がありました。
この問題を解決するため、河川監視カメラの映像をYouTubeでライブ配信する仕組みを導入。5分ごとに自動更新される雨量・水位・警報情報と組み合わせることで、住民が直感的に河川の危険度を把握できる環境を整備しています。
さらに、X(旧Twitter)での情報発信も強化し、複数のチャネルで冗長性を確保。杉並区など区市町村との相互案内も実現し、地域全体での情報共有体制を構築しました。
JR東日本が局地豪雨対応で運転規制を高度化した事例

在来線におけるレーダ雨量を活用した新たな運転規制の導入について
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
| 業界 | 鉄道/輸送安全 |
| ビフォー | 雨量計中心の運転規制で、局地豪雨の補足や的確な規制に課題があった |
| アフター | 気象レーダの「速報版解析雨量」等を活用し新幹線・在来線の運転規制を高度化、落石・土砂崩壊検知装置等も整備 |
JR東日本では、局地的短時間豪雨の増加に対応するため、従来の点的な雨量計による運転規制から面的・高密度観測を活かした規制システムへと大幅に刷新しました。1kmメッシュの気象レーダ情報を活用することで、局地豪雨を的確に捉えることが可能になっています。
国土交通省の資料によると、東京100km圏での対策により運転中止回数が8割減、速度規制回数が4割減という大幅な改善効果を実現。降雨防災工事や検知装置などのハード対策と組み合わせることで、安全性を確保しながら運行への影響を最小限に抑える仕組みを構築しました。
この取り組みは、研究・技報でも規制指標の高度化として継続的に議論されており、技術的な蓄積も進んでいます。
国土交通省が水位観測網を全国展開した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 国土交通省(水管理・国土保全局) |
| 業界 | 国・河川管理/水害対策 |
| ビフォー | 従来型観測の空間/時間分解能に限界があり、局地的豪雨での迅速な把握が困難だった |
| アフター | 危機管理型水位計を各地に整備し、高頻度観測・リアルタイム提供で住民・自治体の判断材料を強化 |
国土交通省では、頻発・激甚化する出水に対応するため、「危機管理型水位計」の全国整備を推進しています。従来の観測では空間的・時間的な分解能に限界があり、局地的な豪雨による急激な水位変化を十分に把握できませんでした。
危機管理型水位計は、5~10分間隔での高頻度観測を実現し、電源(化学電池/太陽電池)や避雷・防護などの設置技術まで標準化。77ページに及ぶ「危機管理型水位計設置の手引き(案)」を公開することで、自治体での導入を加速させています。
観測データは「川の水位情報」サイトで住民向けに公開され、避難判断の支援に活用されています。機器・設置・電源まで体系的に整理された手引きにより、全国での面的な観測網拡充を実現しました。
神戸市が富岳で防災計画の高度化を推進した事例

神戸市:「都市計画や防災計画に資する、「富岳」を活用したデジタルツインシミュレーション」の社会実装に向けた取り組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 神戸市 |
| 業界 | 自治体/都市計画・防災 |
| ビフォー | 平面図や静的資料中心で、広域・高解像の災害影響を即時に可視化しづらかった |
| アフター | スーパーコンピュータ「富岳」を活用したデジタルツイン・シミュレーションで、都市計画・防災計画への活用を推進 |
神戸市では、想定外の被害に備えるため、スーパーコンピュータ「富岳」を活用したデジタルツインシミュレーションの社会実装に取り組んでいます。従来の平面図や静的資料では、広域かつ高解像度での災害影響を即座に可視化することが困難でした。
富岳の大規模計算資源を活用することで、高精度な被害予測と迅速な意思決定を可能にするシステムを構築。都市計画と災害対策を一体的に高度化し、平時からの計画見直しと実災害時の対応力向上を両立させています。
単なる技術実証にとどまらず、実際の都市計画・防災計画への定着を目指した社会実装アプローチが特徴的。シナリオ検証の精度向上により、より実効性の高い防災対策の立案が可能になりました。
避難誘導・安否確認を自動化した事例
災害時の避難行動を支援し、住民の安否確認を効率化することは、被害軽減の重要な要素です。ここでは、スマートフォンアプリや情報システムを活用して避難誘導の自動化や安否確認の迅速化を実現した事例を紹介します。
- 福岡市の防災アプリ「ツナガル+」による双方向情報共有
- 東京都防災アプリによる平時学習と非常時活用の統合
- 渋谷区防災アプリによる多機能統合とリアルタイム通知
- 横浜市避難ナビによるマイ・タイムライン作成支援
- 川崎市かわさき防災アプリによる防災行政無線の可視化
- 名古屋市による避難所開設状況のリアルタイム公開
福岡市が住民との双方向連携を実現した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 福岡市 |
| 業界 | 自治体(市)/防災情報提供 |
| ビフォー | 避難所位置・設備、避難経路等の平常時/災害時情報が分散していた |
| アフター | 近隣避難所の一覧/地図表示、設備情報、避難ルート案内、電子掲示板で住民↔市の情報共有に対応 |
福岡市では、分散しがちな避難関連情報を一元化し、住民と市が双方向で情報共有できる防災アプリ「ツナガル+」を開発しました。従来は避難所の場所、設備、経路、支援情報などが別々に提供されており、災害時の迅速な判断が困難でした。
このアプリでは、登録不要で基本機能を利用でき、平常時のハードルを下げています。避難所の設備情報まで詳細に可視化することで、個人の状況に応じた避難先選択を支援。さらに、指定外の場所に避難した場合でも市へ状況を発信できる機能を搭載し、公助と自助の連携を強化しました。
電子掲示板機能により、災害時に住民同士や住民と市の間で情報を共有できる仕組みも実現しています。
東京都が防災学習と実践を統合した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 東京都 |
| 業界 | 自治体/防災情報提供 |
| ビフォー | 防災ブックや各種情報がバラバラで、平時の学習〜災害時の活用が分断しがちだった |
| アフター | 公式アプリで「あそぶ」「まなぶ」「つかう」を統合。防災ブック閲覧、チェックリスト、地図・情報などを一体的に提供 |
東京都防災アプリは、平時の備えと非常時の行動を単一プラットフォームで支援する包括的なアプローチを採用しています。従来は防災ブックや各種情報が分散しており、学習から実践への導線が途切れがちでした。
アプリ内で「東京防災」「東京くらし防災」などの防災ブックを常時閲覧可能にし、災害時にはオフラインでも利用できる設計となっています。多言語対応(英・中・韓・やさしい日本語)に加え、キッズモードやシニアモードを搭載することで、幅広い利用者層に配慮。
平時の「あそぶ」「まなぶ」から災害時の「つかう」まで、一貫した防災行動を支援する仕組みを構築しました。
渋谷区が多機能統合で避難支援を強化した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 渋谷区 |
| 業界 | 自治体/防災情報提供 |
| ビフォー | 区からの情報・避難所情報・家族連絡が分散していた |
| アフター | 区の防災情報をリアルタイム通知。避難所・医療救護所の最新情報、コミュニティ共有、被害報告、避難所チェックイン(区民)などをアプリで統合 |
渋谷区防災アプリは、情報発信・受信・共有を統合することで初動の迅速化を実現しています。従来は区からの発信、避難所情報、家族との連絡手段がそれぞれ別のチャネルで提供されており、災害時の対応が後手に回りがちでした。
プッシュ通知機能により区からの緊急情報を確実に配信し、GPS・カメラ・音声を活用した被害報告機能で現場情報を収集。区民向けの避難所チェックイン機能により、避難者の把握も効率化しています。
オフライン防災マップを搭載し、通信が困難な状況でも基本機能を利用可能。区外からの来街者も利用できる設計により、昼間人口への対応も考慮した包括的なシステムとなっています。
横浜市がマイ・タイムラインで個別避難計画を支援した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 横浜市 |
| 業界 | 自治体/防災アプリ |
| ビフォー | 住民ごとの避難行動計画(マイ・タイムライン)作成や、避難所開設状況確認が煩雑だった |
| アフター | マイ・タイムライン作成、ARで浸水疑似体験、避難情報の通知と避難所開設状況の確認を一体化。60万DL超の普及を実現 |
横浜市避難ナビは、「いつ・どこへ・どう避難するか」を個人レベルで具体化する支援に特化したアプリです。従来は住民各自で避難行動計画を立てることが困難で、避難所の開設状況も把握しにくい状況でした。
ARを活用した浸水疑似体験機能により、自宅周辺のリスクを視覚的に理解できる仕組みを導入。マイ・タイムライン作成機能と避難情報の通知が連動することで、個人の計画に基づいた適切なタイミングでの避難行動を促しています。
60万ダウンロードを超える普及により、市民の防災意識向上と実際の避難行動力強化の両方を実現。横浜市外でも基本機能を利用できる広域対応も特徴的です。
川崎市が防災行政無線の課題を解決した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 川崎市 |
| 業界 | 自治体/防災アプリ |
| ビフォー | 防災行政無線の聞き漏れ、避難所開設/混雑の把握が困難だった |
| アフター | 緊急情報をプッシュ通知、防災行政無線の放送内容を文字/音声で確認、避難所開設・混雑情報を地図で確認、多言語対応を実現 |
川崎市のかわさき防災アプリは、防災行政無線の限界を補完することに焦点を当てた設計が特徴的です。屋内にいる際の聞き漏れや、避難所の開設・混雑状況の不透明さが課題となっていました。
防災行政無線の放送内容を文字と音声の両方で確認できる機能により、聞き取りにくい状況でも確実に情報を把握可能。避難所の開設状況と混雑度を地図上で可視化することで、分散避難を促進しています。
多言語対応(日・英・中・韓等)により外国人住民への配慮も実現。帰宅困難者一時滞在施設の情報も統合し、昼間人口を含めた包括的な避難支援体制を構築しました。
名古屋市が避難所の分散利用を促進した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 名古屋市 |
| 業界 | 自治体/避難所運営 |
| ビフォー | どの避難所が開いているか/混雑かが分かりづらく、特定施設への集中が生じがちだった |
| アフター | 「開設・未開設・満員」などの状況をWebで公開し、適切な分散避難を促進。平時から確認可能 |
名古屋市では、九州の台風等で発生した避難所の過集中を教訓に、避難所の状況を「開設・未開設・満員」で分類してリアルタイム公開する仕組みを導入しました。従来は避難所の開設状況や混雑度が分からず、特定の施設に避難者が集中する問題がありました。
ArcGISを活用した地図UIにより、閲覧導線を簡素化し、住民が直感的に避難所の状況を把握できる環境を整備。平時から避難所の場所と設備を確認できるため、発災時の迅速な行動につながります。
指定避難所と緊急避難場所の区別も明確化し、適切な避難先選択を支援。市公式サイトでの運用により信頼性を確保し、分散避難による避難所運営の効率化を実現しています。
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被害把握・復旧を高速化した事例
災害による被害の迅速な把握と復旧作業の効率化は、社会機能の早期回復に直結します。ここでは、ドローンや衛星通信などの先進技術を活用して、被害状況の把握と復旧プロセスを大幅に高速化した事例を紹介します。
- NEXCO東日本のドローンを活用した点検・災害状況把握の高度化
- NTTドコモのStarlinkを利用した基地局バックホール復旧
NEXCO東日本がドローンで点検・復旧を効率化した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 東日本高速道路(NEXCO東日本) |
| 業界 | 高速道路/インフラ維持管理 |
| ビフォー | 交通規制・ロープアクセス等が必要で、安全・効率・人員面の制約があった |
| アフター | ドローンで遠隔点検・赤外/サーマル撮影・3Dモデル化→迅速な状況把握と復旧方針決定を実現 |
NEXCO東日本では、高速道路の点検・災害対応においてドローン技術を本格導入し、安全性とスピードの両立を実現しています。従来の狭隘・高所での近接目視は危険を伴い、交通規制やロープアクセスが必要で効率面での課題がありました。
ドローンの導入により交通規制が不要になる場面が増加し、サーマル・赤外カメラを活用することで延焼・被災状況も詳細に把握可能となりました。3Dモデル化機能により復旧に必要な資材量の推定も高精度化し、復旧計画の策定時間を大幅短縮。
年次レポートでもドローン巡回・プローブ異常検知の活用が明記されており、継続的な技術革新により省人化・安全性向上・迅速化を同時に達成した先進事例となっています。
NTTドコモがStarlinkで通信復旧を革新した事例

Starlinkで変わる災害対策 迅速な復旧で被災地をつなげる | ドコモのネットワークの取組み | 通信・エリア | NTTドコモ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | NTTドコモ |
| 業界 | 通信/インフラ |
| ビフォー | 地震に伴う光回線断で基地局のバックホールが喪失、復旧に時間を要していた |
| アフター | LEO衛星(Starlink)を基地局のバックホールに活用する方式を確立。2024年5月の総合防災訓練で実用化まで短期で到達 |
NTTドコモでは、道路寸断等で有線の再敷設が困難な状況に対応するため、低軌道衛星(LEO衛星)Starlinkを基地局のバックホールとして活用する革新的な方式を開発しました。従来は光回線断によるバックホール喪失時の復旧に長時間を要していました。
この新方式により、物理的なインフラ復旧を待つことなく通信サービスの早期復旧が可能となります。2024年5月の大規模防災訓練で実用性を検証し、短期間でのPoC(概念実証)から実用化を達成。
低遅延・広帯域の衛星バックホールにより、被災地の通信レジリエンス強化に直結する成果を上げました。部門横断での迅速な実装体制も特徴的で、災害対応における技術革新の模範的な事例といえます。
官民連携・データ連携を拡張した事例
大規模災害への対応には、政府・自治体・民間企業が連携し、データや技術資源を共有することが不可欠です。ここでは、組織の垣根を超えたデジタル連携により、災害対応力を飛躍的に向上させた事例を紹介します。
- 通信各社と無線LANビジネス推進連絡会による災害用統一SSID「00000JAPAN」
- デジタル庁・防災DX官民共創協議会・NTT東日本等による能登半島地震での官民連携デジタル支援
通信各社が統一SSIDで被災地支援を実現した事例

ドコモからのお知らせ : 令和6年能登半島地震の影響に伴う公衆無線LANサービス「00000JAPAN」の開設について | お知らせ | NTTドコモ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | NTTドコモ(携帯各社・無線LANビジネス推進連絡会と連携) |
| 業界 | 通信/インフラ |
| ビフォー | 発災直後は音声・データ通信が混雑/不通になりやすかった |
| アフター | 災害用統一SSID「00000JAPAN」を4県全域(石川・新潟・富山・福井)のd Wi-Fi設置エリアで開放(2024/1/1〜順次、4/22から順次終了) |
令和6年能登半島地震において、通信各社が連携して災害用統一SSID「00000JAPAN」を開設し、被災者の通信手段確保に大きく貢献しました。発災直後は通常の音声・データ通信が混雑や設備被災により利用困難になる状況が発生していました。
誰でも無料で接続できる統一SSIDにより、現地での接続導線を大幅に簡素化。石川・新潟・富山・福井の4県全域で開設され、2024年1月1日から順次開始し、4月22日から順次終了するまで長期間の支援を継続しました。
無線LANビジネス推進連絡会のガイドラインに基づく運用により、セキュリティ面での注意点も適切に案内。通信各社の枠を超えた協調により、被災者の安否連絡・情報収集を強力に支援した官民連携の典型例です。
デジタル庁が官民連携で現場課題を即時解決した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | デジタル庁/防災DX官民共創協議会/NTT東日本 ほか |
| 業界 | 政府・通信・民間IT(官民連携) |
| ビフォー | 広域災害でのシステム連携・避難者把握・通信確保が困難だった |
| アフター | ISUT(情報統合・現地派遣)、広域被災者DB検討、Suica等IC利用の避難者把握の緊急構築、ドローン・360°で遠隔判定支援を実施 |
令和6年能登半島地震では、デジタル庁を中核とした官民連携により、現場のニーズに応じた即応的なデジタル支援を展開しました。広域災害において、従来のシステム連携・避難者把握・通信確保の枠組みでは対応が困難な状況が発生していました。
ISUT-SITEによる現場での即時システム構築、ICカードを活用した避難者把握システムの緊急開発、ドローンと360度カメラを活用した住家被害認定支援など、多岐にわたるデジタル技術を統合的に展開。
民間のデジタル人材を現地に派遣し、被災自治体の業務を直接支援することで、通信・避難所・被災者データベースなどの現場課題をリアルタイムで解決しました。この取り組みは制度化に向けた検討も進展しており、官民横断の災害対応モデルとして今後の展開が期待されています。
手続・支援のオンライン化
災害時の各種手続きをデジタル化することで、被災者の負担軽減と行政サービスの効率化を同時に実現できます。ここでは、罹災証明書のオンライン申請システムを中心に、被災者支援手続きのデジタル化事例を紹介します。
- デジタル庁と自治体による罹災証明書のオンライン申請システム(金沢市での実装事例)
デジタル庁と金沢市が被災者支援手続きを効率化した事例

【令和6年能登半島地震】罹災証明書(り災証明書)のオンライン申請について|デジタル庁
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 金沢市(デジタル庁の案内に基づく運用) |
| 業界 | 自治体/被災者支援 |
| ビフォー | 役所に出向く窓口申請中心で、待ち時間・往復負担が大きかった |
| アフター | マイナポータルや自治体の電子申請で24時間オンライン申請が可能に(り災・被災証明)。締切等の運用も明示 |
令和6年能登半島地震を受けて、デジタル庁の指導のもと金沢市では罹災証明書のオンライン申請システムを導入し、被災者支援の迅速化を実現しました。従来は役所窓口での申請が中心で、広域災害時には窓口の混雑により長時間の待機が発生し、被災者に大きな負担となっていました。
マイナポータル経由での申請システムにより、24時間いつでも申請が可能となり、窓口混雑の大幅な緩和を実現。電子署名や本人確認の要件も適切に整備し、セキュリティを確保しながら利便性を向上させました。
金沢市独自の電子申請ページも並行して運用し、申請者の選択肢を拡大。デジタル庁による自治体横断での案内整備により、他の被災自治体でも同様の仕組みを迅速に導入できる体制が構築されています。申請処理時間の短縮、窓口混雑緩和、オンライン申請比率の向上など、定量的な効果も期待できるシステムとなっています。
防災DXを計画するポイント

防災DXの導入を成功させるためには、技術導入前の計画段階が極めて重要です。ここでは、効果的な防災DX計画を策定するための5つの重要なポイントを解説します。
現状の防災体制とデジタル資産を正確に把握する
防災DXの第一歩は、組織が現在保有している防災関連の資産を体系的に整理することです。設備面では既存の警報システム、監視カメラ、通信機器の配置と性能を詳細に調査します。
連絡網については、緊急時の情報伝達ルートや手段、各部署・外部機関との連携体制を可視化。防災訓練の実施状況や参加率、訓練で発見された課題も重要な情報となります。
組織内に蓄積されているデータ(過去の災害記録、被害統計、対応ログなど)の所在と活用可能性を確認することで、DX導入の基盤となる情報資産を明確化できます。
リスクを数値化して優先順位を明確にする
効果的な防災DX計画には、対象とするリスクの定量的な評価が不可欠です。ハザード(災害の種類・規模)、影響度(人的・物的・事業への損害)、発生確率の3つの軸で各リスクを数値化し、総合的な危険度を算出します。
。例えば、発生確率は低いものの影響度が極めて大きいリスクには早期警戒システムを、発生確率が高く中程度の影響があるリスクには自動化された対応システムを配置するといった戦略的な判断が可能となります。
この評価により、限られた予算とリソースをどのリスクに優先的に投入すべきかが明確になります
事業継続計画を最新のデジタル技術に対応させる
既存のBCP(事業継続計画)をデジタル技術の活用を前提として見直すことが重要です。RTO(目標復旧時間)とRPO(目標復旧地点)を再設定し、デジタル技術による迅速化効果を反映させます。
優先業務の選定では、デジタル化により継続可能となる業務と、物理的な制約で停止せざるを得ない業務を明確に区分。代替プロセスの設計では、クラウドサービスやリモートワーク技術の活用を織り込み、従来よりも柔軟で復旧性の高い計画を策定します。
この更新により、防災DXの導入効果を最大化できる体制が整います。
多様なステークホルダーとの連携基盤を構築する
防災DXの効果を最大化するには、組織単独ではなく関係者全体での連携が不可欠です。自治体との情報共有体制、インフラ事業者との協調メカニズム、サプライヤーとの緊急時連絡網、住民や利用者への情報提供チャネルを体系的に設計します。
定期的な合同訓練を通じて連携体制の実効性を検証し、継続的な改善を図ることで、災害時の協調行動を確実に実現できる基盤を構築します。
各ステークホルダーとの連携においては、データ形式の標準化、通信プロトコルの統一、権限管理の明確化が重要なポイントです。
段階的な導入で失敗リスクを最小化する
防災DXの導入は、PoC(概念実証)、本格導入、運用改善の3段階で進めることが成功の鍵となります。PoC段階では小規模な実証実験により技術的な有効性と運用上の課題を把握。
本格導入では実証結果を踏まえたシステム設計により、現場での実用性を重視した展開を実施します。運用改善段階では、実際の運用データを分析して継続的な最適化を図り、組織の成長に合わせてシステムを発展させる体制を整備しましょう。
段階的アプローチにより、大規模な失敗リスクを回避しながら確実な効果を積み上げることができます。
防災DXならニューラルオプト
防災DXの導入を検討されている組織にとって、技術的な実装だけでなく課題の本質を見極めた解決策の提案が重要です。株式会社ニューラルオプトは、世界的生成AIであるChatGPTの開発に携わるAI開発企業として、単なるシステム開発にとどまらない包括的な支援を提供いたします。
当社の最大の特徴は、課題解決コンサルティングから依頼できる開発会社である点です。「失敗リスクを最小化する」をコンセプトに、お客様の現状分析から始まり、最適な解決策の提案、組織への定着支援、運用しながらの主体的改善まで、トータルでサポートします。
データサイエンスの知見を活かしたデータマイニングやテキストマイニングにより、災害時の情報分析や予測精度向上にも対応可能です。
ECサイト「eBay」の価格自動設定AIや手書き文字のAI認識・要約システムなど、実践的なAI活用の豊富な実績を防災分野にも応用し、確実な効果創出を実現します。防災DXで失敗リスクを抑えたい、課題解決の段階から相談したいとお考えの方は、ぜひニューラルオプトにご相談ください。







