医療業界では、AI(人工知能)技術の導入が急速に進んでいます。診断支援から業務効率化、患者体験の向上まで、様々な場面でAIが活躍する時代となりました。しかし、導入を検討する医療機関にとって「どの会社を選べばよいのか」は重要な課題です。
本記事では、医療AI分野で実績を持つ日本企業15社を、5つの選択軸に分けて紹介します。各社の特徴や導入事例、費用感などを詳しく解説し、あなたの医療機関に最適なパートナー選びをサポートいたします。
診療品質・安全性の向上に強い会社
診療の精度向上や医療事故防止に重点を置く医療機関におすすめの3社をご紹介します。
- エルピクセル(LPIXEL)
- AIメディカルサービス(AIM)
- メドメイン(Medmain)
エルピクセル(LPIXEL)

エルピクセル株式会社 – 医療AIですべての人に健康な未来を
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | エルピクセル(LPIXEL) |
| 最大の特徴 | PMDA承認の医療画像AI「EIRL」シリーズ(脳動脈瘤など)。全国900超の医療施設に導入実績 |
| どんなケースにおすすめか | 脳ドックや放射線科での見落とし防止・精度向上と読影効率化を同時に進めたい施設 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 5 |
| 業務効率・人員逼迫 | 4 |
| 収益・集患・患者体験 | 3 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 3 |
| 研究開発・イノベーション | 4 |
エルピクセルは、国内で初めてPMDA(医薬品医療機器総合機構)の承認を受けた深層学習による脳MRI診断支援システムを開発した企業。脳動脈瘤の見落とし防止を目的とした「EIRL Brain Aneurysm」は、2019年の承認以来、全国900を超える医療施設で導入されています。
同社の強みは、単なる研究開発にとどまらず、実際の医療現場での運用を重視している点。PACS(医用画像管理システム)との連携やサブスクリプション形態での提供により、医療機関が導入しやすい環境を整備しています。総解析件数は1,200万件を超え、医師の診断精度向上に確実な効果を示しているのが特徴です。
頭部・胸部・大腸領域で計9品目を展開し、適応領域を継続的に拡大。医療現場のニーズに応える形で、診断支援AIの先駆者として地位を確立しています。導入を検討する医療機関にとって、豊富な実績と継続的なサポート体制は大きな安心材料となるでしょう。
AIメディカルサービス(AIM)

基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社AIメディカルサービス |
| 最大の特徴 | 内視鏡AI(胃がん鑑別等)の専門プレイヤー。日本で販売開始後、海外でも規制承認を拡大 |
| どんなケースにおすすめか | 消化器内視鏡の早期がん見逃し低減・教育/標準化を重視する病院・クリニック |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 5 |
| 業務効率・人員逼迫 | 3 |
| 収益・集患・患者体験 | 3 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 3 |
| 研究開発・イノベーション | 4 |
AIメディカルサービスは、消化器内視鏡AI分野の専門企業として注目を集める会社です。上部消化管病変の鑑別支援を行う「gastroAI」をはじめとする内視鏡AIシステムで、早期がんの見逃し防止に貢献しています。
同社の特筆すべき点は、専門医の監修によるリアルタイム解析技術。検査中にリアルタイムで病変候補を検出し、医師に情報を提供することで、診断精度の向上を実現しています。
2024年に日本での製造販売承認を取得し、本格的な販売を開始したばかりですが、すでにタイ食品薬品庁(Thai FDA)でも承認を受けるなど、海外展開も積極的に進めている状況です。
内視鏡検査の標準化や若手医師の教育支援にも効果が期待されており、特に消化器内視鏡を多く手がける医療機関にとって価値の高いソリューション。早期がんの発見率向上という明確な目標に向けて、着実に実績を積み重ねています。
メドメイン(Medmain)

業務効率化を実現/デジタル病理支援クラウドシステム|PidPort|メドメイン株式会社
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | メドメイン株式会社 |
| 最大の特徴 | デジタル病理クラウド「PidPort」(遠隔病理・教育・カンファレンス/AI解析の基盤)。大学・研究での活用が広い |
| どんなケースにおすすめか | 病理のデジタル化・遠隔診断・教育/連携基盤を速やかに構築したい施設 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 4 |
| 業務効率・人員逼迫 | 4 |
| 収益・集患・患者体験 | 3 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 3 |
| 研究開発・イノベーション | 4 |
メドメインは、デジタル病理の分野で革新的なソリューションを提供する企業です。同社が開発した「PidPort」は、病理診断のデジタル化を支援するクラウドベースのプラットフォームとして、多くの医療機関で導入が進んでいます。
PidPortの最大の特徴は、WSI(全スライド画像)ビューア、クラウド共有、遠隔病理診断、将来的なAI解析機能を統合したオールインワンソリューションであること。初期費用0円でインストール不要のクラウドサービスとして提供されており、導入のハードルが低い点も魅力です。
特に病理医不足が深刻化する中、遠隔診断や専門医とのコンサルテーション機能は大きな価値を持ちます。医学部設置大学の半数以上で導入されており、教育分野での実績も豊富。研究機関から臨床現場まで、病理診断の質向上と効率化を同時に実現する基盤として注目されています。
業務効率・人員逼迫の改善に強い会社
人手不足や業務負荷の軽減を重視する医療機関におすすめの3社をご紹介します。
- Ubie(ユビー)
- MICIN(curon)
- TXP Medical
- ニューラルオプト
Ubie(ユビー)

基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | Ubie株式会社 |
| 最大の特徴 | 「ユビーAI問診」「メディカルナビ生成AI」で外来の前処理を自動化し、待ち時間・看護師負担の削減事例が多数 |
| どんなケースにおすすめか | 問診効率化・トリアージ標準化・待ち時間短縮を狙う外来部門 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 3 |
| 業務効率・人員逼迫 | 5 |
| 収益・集患・患者体験 | 4 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 3 |
| 研究開発・イノベーション | 3 |
Ubieは、AI問診システムの分野で圧倒的な実績を誇る企業です。「ユビーAI問診」は、患者が事前にタブレット等で症状を入力することで、医師の問診時間を大幅に短縮し、看護師の負担軽減を実現しています。
同社のソリューションが多くの医療機関で支持される理由は、実際の現場で確実な効果を上げていること。刈谷豊田総合病院や加賀市医療センターなど、多様な医療機関での導入事例が公開されており、待ち時間短縮や業務効率化の具体的な成果が報告されています。
最近では生成AI技術を活用した「ユビーメディカルナビ」も提供開始。従来の問診システムに加えて、医療従事者向けの情報検索や記録作成支援まで手がけるようになりました。
外来業務の前処理から診療記録まで、一連の流れを効率化できるのが大きな特徴。人手不足に悩む医療機関にとって、実践的で導入効果の高いソリューションといえるでしょう。
MICIN(curon)

【医療機関向け】オンライン診療サービスcuron《クロン》 | 導入医療機関数トップクラス
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社MICIN |
| 最大の特徴 | オンライン診療「curon」と周辺のキャッシュレス等で外来の院内滞在・会計負担を減らす実装が進む |
| どんなケースにおすすめか | 慢性疾患の遠隔フォロー、感染対策、会計の省力化をまとめて推進したいクリニック・病院 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 3 |
| 業務効率・人員逼迫 | 4 |
| 収益・集患・患者体験 | 4 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 3 |
| 研究開発・イノベーション | 3 |
MICINは、オンライン診療システム「curon」を中核とした包括的な医療DXソリューションを提供する企業です。同社の特徴は、オンライン診療だけでなく、キャッシュレス決済「curonスマートパス」まで含めたワンストップサービスを展開していること。
curonの強みは、慢性疾患患者の継続的なフォローアップに最適化されている点。定期的な診察が必要な高血圧や糖尿病などの患者にとって、通院負担を大幅に軽減できます。また、コロナ禍では東京都医師会と連携し、自宅療養者のオンライン診療システムとして大規模運用された実績も持っています。
決済システムとの連携により、診療から会計まで一貫してデジタル化できるのも大きなメリット。curonスマートパスは導入費・月額・決済手数料が無料で提供されており、医療機関にとって導入しやすい料金体系となっています。多診療科での導入事例も豊富で、様々な医療機関のニーズに対応可能な柔軟性を備えています。
TXP Medical

基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | TXP Medical株式会社 |
| 最大の特徴 | 救急データ基盤「NEXT Stage ER(NSER)」&救急隊アプリで、現場〜搬送〜記録作成の負荷を大幅軽減 |
| どんなケースにおすすめか | ER/救急・消防で、音声→構造化や現場入力の省力化を重視する組織 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 3 |
| 業務効率・人員逼迫 | 5 |
| 収益・集患・患者体験 | 3 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 3 |
| 研究開発・イノベーション | 4 |
TXP Medicalは、救急医療分野に特化したAIソリューションを提供する企業です。同社が開発した「NEXT Stage ER(NSER)」と「NSER mobile」は、救急現場から病院搬送、記録作成まで一連の業務を効率化する画期的なシステムとして注目されています。
最大の特徴は、現場の音声をリアルタイムで解析し、構造化データに変換する技術。救急隊員が現場で話した内容が自動的に文字起こしされ、救急隊の業務記録として活用できます。これにより、従来の手書きや後からの入力作業が大幅に削減され、救急隊員の負担軽減を実現しています。
札幌市消防局での本格運用では、業務負担の大幅な軽減効果が確認されており、2025年2月には東京都で生成AIを活用した実証実験も開始。救急医療専門の用語辞書を用いることで、専門的な医療用語も高精度で認識できるのが強み。救急医療の現場で働く職員の働き方改革と、迅速な患者対応の両立を支援する革新的なソリューションです。
ニューラルオプト
手前味噌で恐縮ですが、弊社ニューラルオプトについてもご紹介させていただきます。

ニューラルオプト | AIシステム開発・導入支援・コンサルティング
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社ニューラルオプト |
| 最大の特徴 | 課題解決コンサルティングから依頼できるAI開発会社。失敗リスクを最小化した業務効率化を実現 |
| どんなケースにおすすめか | 失敗リスクを抑えて業務効率化を進めたい医療機関。課題の整理から相談したい組織 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 3 |
| 業務効率・人員逼迫 | 5 |
| 収益・集患・患者体験 | 3 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 3 |
| 研究開発・イノベーション | 4 |
ニューラルオプトは、世界的な生成AI「ChatGPT」の開発にも携わってきたAI開発企業です。単なる技術開発会社ではなく、コンサルティング機能を併せ持つ点が最大の特徴。医療機関が抱える課題の整理から解決策の提案、システム開発、そして組織への定着支援まで、一貫したサポートを提供しています。
「失敗リスクを最小化する」をコンセプトに掲げ、課題起点でのアプローチを重視。ECサイト「eBay」での価格自動設定AIや、手書き文字のAI認識・要約システムなど、実用性の高いAI開発実績を持っています。これらの技術は、医療機関での文書処理の自動化や業務フローの効率化に直接応用できるものです。
データサイエンスの知見も豊富で、データマイニングやテキストマイニングにも対応可能。医療機関に蓄積された様々なデータから有用な情報を抽出し、業務改善に活用する提案も行えます。
開発後の運用段階でも継続的な改善支援を行うため、導入したシステムが確実に現場に定着し、期待される効果を発揮できる体制が整っています。
■少しでもAI・システム開発やPoCに興味があれば、まずはお気軽にご相談ください。目的・課題を伺ったうえで、弊社から手堅く進める方法・お見積りをお伝えさせていただきます。
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相談だけで発注しなくても構いません。
収益・集患・患者体験の改善に強い会社
診療報酬の向上や患者満足度の向上を重視する医療機関におすすめの3社をご紹介します。
- CureApp
- PREVENT
- JMDC
CureApp

株式会社CureApp – ソフトウェアで「治療」を再創造する
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社CureApp |
| 最大の特徴 | 治療用アプリ(DTx)で保険適用を実現。禁煙(SC)に続き高血圧(HT)も算定可能 |
| どんなケースにおすすめか | 診療の付加価値創出(収益化)と患者セルフケアの強化を両立したい診療科 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 4 |
| 業務効率・人員逼迫 | 3 |
| 収益・集患・患者体験 | 5 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 4 |
| 研究開発・イノベーション | 4 |
CureAppは、「治療用アプリ」という新しい治療手段を実用化した革新的な企業です。同社が開発したアプリは、従来の薬や医療機器と同様に医師が「処方」し、患者の治療に活用できる点が画期的。保険適用も実現しており、医療機関にとって新たな収益源となっています。
現在、禁煙治療用の「CureApp SC」と高血圧治療用の「CureApp HT」が保険適用されており、特にCureApp HTでは特定保険医療材料として月額7,010円×6か月の算定が可能。指導管理料90点と導入期加算50点も併せて算定でき、医療機関にとって明確な収益増につながります。
患者にとっても大きなメリットがあり、日常生活の中で継続的な行動変容をサポートしてもらえるため、治療効果の向上が期待できます。アプリを通じた患者教育や生活習慣の改善は、従来の診療では難しかった部分をカバーしており、患者満足度の向上にも寄与。
薬事承認と保険収載の両方をクリアした実績は、医療機関が安心して導入できる大きな要素といえるでしょう。
PREVENT

PREVENT(プリベント)重症化予防で生活習慣病の医療費適正化
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社PREVENT |
| 最大の特徴 | レセプト・健診等から重症化リスクを機械学習で層別化し、行動変容支援まで接続(自治体・保険者で実装) |
| どんなケースにおすすめか | 医療費適正化や重症化予防をKPIに持つ自治体・保険者・企業健保 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 3 |
| 業務効率・人員逼迫 | 4 |
| 収益・集患・患者体験 | 4 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 3 |
| 研究開発・イノベーション | 3 |
PREVENTは、予防医療の分野で独自のポジションを確立している企業です。同社のソリューションは、レセプトデータや健診結果などの既存データを機械学習で分析し、将来の重症化リスクを予測。その後、リスクの高い住民に対して6か月間の行動変容支援プログラム「Mystar」を提供する一気通貫のサービスとなっています。
最も注目すべきは、浜松市で導入されたPFS(成果連動型支払い)モデル。医療費削減などの成果に応じて報酬が支払われる仕組みで、自治体にとってはリスクを抑えながら予防医療を推進できるメリットがあります。住友生命と鹿嶋市との協業事例でも、保険者・自治体・民間企業が連携した新しい予防医療の形を示しています。
従来の健診結果通知だけでは実現できなかった、個人に最適化された継続的な支援が可能。参加者の行動変容を促し、将来的な医療費抑制につながる予防効果を期待できます。自治体や企業健保にとって、住民・従業員の健康増進と医療費適正化を同時に実現できる実践的なソリューションといえるでしょう。
JMDC

基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | JMDC株式会社 |
| 最大の特徴 | 国内最大級のレセプト/検査値等RWDを用いた分析サービス。治療フローやレジメン分析など多数事例 |
| どんなケースにおすすめか | 患者ジャーニー把握・DPC/包括化戦略・集患施策のエビデンス設計 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 3 |
| 業務効率・人員逼迫 | 3 |
| 収益・集患・患者体験 | 4 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 4 |
| 研究開発・イノベーション | 3 |
JMDCは、国内最大級のリアルワールドデータ(RWD)を保有し、医療機関の戦略立案を支援する企業です。同社が蓄積してきたレセプトデータや検査値データは、患者の実際の治療経過や薬剤使用パターンを詳細に把握できる貴重な情報源となっています。
医療機関にとって特に価値が高いのは、患者数推計や治療フローの分析機能。例えば、乳がん術後のレジメン選択と腫瘍マーカーの推移、前立腺がんのPSA値に基づく実態分析など、疾患別の詳細な分析メニューが用意されています。これらの情報は、DPC係数の改善や新たな診療科の開設判断、集患戦略の立案に直接活用できます。
長年にわたるデータ蓄積と分析ノウハウにより、他社では提供困難な高精度な分析が可能。医療機関が自院のポジショニングを客観的に把握し、競合状況や市場動向を踏まえた戦略的な意思決定を行うためのエビデンスを提供します。収益向上や効率的な医療提供を目指す医療機関にとって、データに基づいた経営判断を支援する強力なツールといえるでしょう。
コンプライアンス・ガバナンス強化に強い会社
医療安全や法規制対応、説明責任を重視する医療機関におすすめの3社をご紹介します。
- FRONTEO
- NEC
- NTTデータ
FRONTEO

医薬品製造業向けソリューション | FRONTEO, Inc. | 自社開発のAIでビジネスソリューションを提供
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社FRONTEO |
| 最大の特徴 | 医療×言語AI(KIBIT等)でPVや安全性情報の抽出・早期検出を支援 |
| どんなケースにおすすめか | ファーマPV/医療安全で文献・自由記載の重要情報抽出を自動化したい組織 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 3 |
| 業務効率・人員逼迫 | 3 |
| 収益・集患・患者体験 | 3 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 5 |
| 研究開発・イノベーション | 4 |
FRONTEOは、言語AIとコンプライアンス分野で独自の強みを持つ企業です。同社の「KIBIT」や「Amanogawa」といったテキスト解析AIは、医薬品安全性監視(PV:ファーマコビジランス)や医療安全分野で重要な情報の早期検出を支援しています。
同社の最大の特徴は、電子証拠開示(eディスカバリー)分野で培った監査耐性のあるシステム構築ノウハウを医療分野に応用していること。医薬品の安全性情報や有害事象報告書の中から、規制当局への報告が必要な重要情報を自動的に抽出し、見落としリスクを大幅に削減します。
日本語の医療専門用語に特化した言語処理技術により、従来は人手に頼らざるを得なかった文献調査や自由記載欄の分析を自動化。製薬企業や医療機関のPV部門にとって、コンプライアンス体制の強化と業務効率化を同時に実現できる価値の高いソリューションです。
研究開発パートナーとの連携も厚く、最新の医療AI技術と法規制対応を両立した信頼性の高いシステムを提供しています。
NEC

基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 日本電気株式会社(NEC) |
| 最大の特徴 | 医療DX/生成AI活用プラットフォーム(月額3.5万円〜)+内視鏡AI「WISE VISION」。匿名化・セキュア接続を包含 |
| どんなケースにおすすめか | 生成AIの院内実装をガバナンス込みで早期に始めたい病院・自治体 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 4 |
| 業務効率・人員逼迫 | 4 |
| 収益・集患・患者体験 | 3 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 4 |
| 研究開発・イノベーション | 4 |
NECは、医療分野でのDX推進において、技術力とガバナンス体制の両面で優れたソリューションを提供する企業です。同社の「ヘルスケア生成AI活用プラットフォーム」は、月額35,000円(税別)からという明確な価格設定で、医療機関が生成AIを安全に導入できる基盤を提供しています。
最大の特徴は、生成AI機能だけでなく、匿名化処理とセキュアな接続環境を含む”運用基盤”をパッケージで提供していること。医療機関が最も懸念する個人情報保護やセキュリティ対策を、専門知識がなくても確実に実装できる点が大きなメリットです。初期費用を含めた総コストも明示されており、予算計画を立てやすい設計となっています。
また、大腸内視鏡AI「WISE VISION Endoscopy」では、マルチベンダー対応により既存の内視鏡システムとの接続が容易。国内外での実績を持ち、医療機器としての信頼性も確保されています。PoCから本格運用まで、段階的に導入を進められる柔軟性も備えており、AI導入に慎重な医療機関でも安心して取り組めるソリューションといえるでしょう。
NTTデータ

基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社NTTデータ |
| 最大の特徴 | 次世代医療基盤法に基づく匿名加工医療情報・医用画像データの提供/利活用を推進。RWDと画像の統合で精緻化 |
| どんなケースにおすすめか | データガバナンスを担保しつつAI/プログラム医療機器の開発やRWE創出を進めたい組織 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 3 |
| 業務効率・人員逼迫 | 4 |
| 収益・集患・患者体験 | 3 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 5 |
| 研究開発・イノベーション | 4 |
NTTデータは、医療データの利活用において最高水準のガバナンス体制を構築している企業です。同社が手がける匿名加工医療情報の提供サービスは、次世代医療基盤法に完全準拠した大規模データベースとして、AI開発や臨床研究に貴重なデータソースを提供しています。
特筆すべきは、日本で初めて次世代医療基盤法に基づく医用画像データの提供を開始したこと。「千年カルテ」をはじめとする豊富なデータセットは、法的要件をすべてクリアした状態で研究者や開発者に提供されており、コンプライアンス面での心配は一切ありません。
エクサウィザーズとの協業事例に見られるように、AIベンダーとの連携を通じて実装スピードを加速させる体制も整備。匿名化技術や合成データ生成といった最新技術も併せて提供しており、データ活用の技術的ハードルも解決できます。
医療AI開発やRWE(リアルワールドエビデンス)創出を目指す組織にとって、法規制対応と技術支援を同時に受けられる理想的なパートナーといえるでしょう。
研究開発・イノベーション加速に強い会社
先端技術の研究開発や新しい治療法の開発を重視する医療機関におすすめの2社をご紹介します。
- MOLCURE
- Craif
MOLCURE

MOLCURE Inc. | Accelerating drug discovery | MOLCURE
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社MOLCURE |
| 最大の特徴 | 抗体創薬のAIプラットフォーム。小野薬品・帝人ファーマ・ファーマフーズ等との共同研究実績 |
| どんなケースにおすすめか | 抗体・ペプチド創薬で候補最適化や難標的へのアプローチを短期に行いたい製薬・バイオ |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 3 |
| 業務効率・人員逼迫 | 3 |
| 収益・集患・患者体験 | 3 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 3 |
| 研究開発・イノベーション | 5 |
MOLCUREは、AI駆動による抗体創薬プラットフォームを提供する革新的な企業です。小野薬品工業、帝人ファーマ、ファーマフーズなど、国内外の製薬企業との共同研究実績を多数持ち、抗体医薬品の開発期間短縮と成功確率向上を実現しています。
同社の技術的優位性は、LLM(大規模言語モデル)ベースを含む最新のAI技術を抗体設計に応用していること。従来の実験主体のアプローチでは数年を要する候補最適化プロセスを、AI予測により大幅に短縮できるのが最大の特徴です。実際に複数の共同研究でマイルストーン達成の実績を上げており、AI創薬の実用性を証明しています。
海外CROとのゼロショット技術連携など、グローバルな創薬ネットワークも構築。難標的とされるタンパク質に対しても、AI技術を駆使したアプローチで新たな治療選択肢の創出を目指しています。
製薬企業やバイオベンチャーにとって、従来の創薬手法では困難な課題に対する革新的な解決策を提供する、日本発の実験×計算融合創薬基盤として高く評価されています。
Craif

Craif (クライフ) | 人々が天寿を全うする社会の実現
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | Craif株式会社 |
| 最大の特徴 | 尿中miRNA×AIでがんの早期発見(miSignal)。膵がん診断補助プログラムの多施設共同ピボタル試験を開始 |
| どんなケースにおすすめか | 非侵襲のスクリーニング開発・自治体の受診率向上施策・企業健診での先行導入 |
5軸評価(1〜5点)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 診療品質・安全性 | 4 |
| 業務効率・人員逼迫 | 3 |
| 収益・集患・患者体験 | 3 |
| コンプライアンス・ガバナンス | 3 |
| 研究開発・イノベーション | 4 |
Craifは、尿中miRNA解析によるがん早期発見技術で注目を集める研究開発型企業です。同社が開発した「miSignal」は、自宅で採取できる尿検体からがんの早期発見を可能にする画期的な検査システムとして、医療界に大きなインパクトを与えています。
最大の革新性は、従来の血液検査や画像検査と比較して、患者の身体的・心理的負担を大幅に軽減できること。自宅での尿採取という簡便な方法でありながら、高い感度で早期がんを検出できる技術は、がん検診の受診率向上に大きく貢献する可能性を秘めています。
北海道での実証実験では、実際にステージ0の早期肺がんの発見・完治に成功した事例も報告されており、臨床現場での実用性を証明しています。
非侵襲検査による早期発見は、患者のQOL向上と医療経済性の改善を同時に実現する理想的なソリューション。自治体の健診事業や企業の福利厚生、さらには個人の健康管理まで、幅広い場面での活用が期待される革新的な技術といえるでしょう。
医療AI導入で注意すべき規制・制度等のハードル
医療AIの導入を検討する企業・医療機関が最初に直面するのは、技術的な難易度ではなく「制度・インフラ・データ」という3層構造のハードルです。これらは独立した問題ではなく、相互に依存しながらプロジェクトの進行を阻害します。
具体的には、以下の3点です。
- 薬機法など厳格な法規制の壁がある
- 現場の既存システムとの連携が難しい
- 機密性の高い患者データの保護が必須
それぞれの壁の構造と、突破に必要な変数を整理します。
薬機法など厳格な法規制の壁がある
医療AIを製品として市場に出すには、まず「そのAIが薬機法上の医療機器に該当するか否か」を判断する必要があります。判断を誤ると、開発後に承認申請が必要と発覚し、数千万円規模の追加コストと1年以上のスケジュール遅延が発生するケースもあります。
この分類判断の軸となるのが、SaMD(Software as a Medical Device)、つまりプログラム医療機器という概念です。
2014年の薬機法改正に伴い、ソフトウェア単体であっても疾患の治療・診断・予防を目的とするものは医療機器として規制対象になりました。ここで見落とされがちなのは、「同じ機能のソフトウェアでも、開発企業が意図する使用目的によって医療機器に該当するか否かが変わる」という点です。
以下の表で、AIの用途別に適用される法規制の違いを整理します。
| AIの用途 | 適用法規制 | 承認プロセス | 開発側の負荷 |
|---|---|---|---|
| 診断・治療支援(SaMD) | 薬機法+医師法 | PMDA承認が必須 | 高(治験or性能評価試験) |
| カルテ作成支援・問診補助 | 生成AI利用ガイドライン | 自主的な遵守 | 中(ガイドライン準拠) |
| 院内業務効率化(経理・シフト等) | 一般的なAI利用指針 | 届出不要の場合あり | 低 |
2025年5月に成立した日本初のAI基本法(通称「AI推進法」)により、上記の規制体系がさらに多層化しています。
実務上のトレードオフとして、AI開発企業が直面するのは「規制クラスを上げて承認の確実性を高めるか、低クラスに留めて市場投入速度を優先するか」という判断です。クラスIのAI(リスクが低いもの)であれば届出のみで済みますが、クラスII以上になると認証・承認手続きが必要になります。
一方で、厚生労働省が推進する「DASH for SaMD」(プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略)により、審査プロセスの効率化が進んでいます。2023年9月には後継施策「DASH for SaMD2」が厚生労働省・経済産業省の共同で公表され、相談窓口の一元化を含むSaMD特性を踏まえた審査体制の確立が進められています。
ニューラルオプトの開発現場での実感として、規制対応で最もコストがかかるのは「承認申請そのもの」ではなく「申請に必要なデータセットの設計と品質管理」です。
既に医療機関にあるデータや診療情報を利用して性能評価を行う場合、治験を経ずに半年から1年程度、数百万円規模でAI医療機器の申請が可能とされています。この事実を知っているか否かで、プロジェクトの初期見積もりが桁単位で変わります。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
現場の既存システムとの連携が難しい
医療AIの性能がどれだけ高くても、現場の電子カルテやオーダリングシステムと接続できなければ、臨床の業務フローに組み込めません。ここが「PoC(概念実証)は成功したが本番導入できない」という典型的な失敗パターンの根本原因です。
連携が困難な構造的理由は、日本の電子カルテ市場の分断にあります。国内には40社を超える電子カルテメーカーが存在し、それぞれが独自のデータ構造で開発してきたため、システム間の情報共有が困難でした。厚生労働省の調査では、2023年時点で電子カルテの普及率は一般病院65.6%、診療所55%にとどまっています。
この課題に対する国家レベルの解として、政府は国際標準規格HL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)の採用を決定しました。FHIRはWeb開発で一般的なJSON・RESTを採用しており、既存の医療情報規格に比べて軽量で実装しやすい点が特長です。
以下の表で、医療AI連携における「現状」と「FHIR導入後の変化」を比較します。
| 項目 | 現状(FHIR未対応) | FHIR対応後 |
|---|---|---|
| データ形式 | ベンダーごとに独自仕様 | JSON/XMLの統一フォーマット |
| API連携 | 個別カスタマイズが必要 | REST APIで標準的にアクセス可能 |
| 導入コスト | ベンダーロックインで高額 | 標準モジュールにより軽減見込み |
| 施設間データ共有 | 原則不可(紙ベース) | 3文書6情報を電子的に共有 |
ただし、ここにも現場レベルのトレードオフが存在します。FHIRは自由度が高いため、JP Coreでプロファイルを厳格に指定しても、ローカル拡張が乱立すると互換性が損なわれるリスクがあります。標準規格を導入しても「方言」が増えれば本末転倒です。
政府は2030年までにすべての医療機関で標準型電子カルテまたは同等の規格準拠システムの導入完了を目指す国家計画を進行中です。
AI開発企業としてのスタンスは明確で、「現時点でFHIR対応のAPIレイヤーを設計に組み込んでおくこと」がリスク最小化の定石です。逆に、特定ベンダーの独自仕様に最適化した設計は、2〜3年後にリプレイスコストとして跳ね返る可能性が高いと見るべきでしょう。
機密性の高い患者データの保護が必須
医療AIの開発には大量の患者データが不可欠ですが、医療データは個人情報保護法上の「要配慮個人情報」に該当し、取得時に原則として本人の同意が必要です。この制約が、AI学習用データセットの構築を困難にしています。
データ保護と利活用のバランスを整理するうえで、まず押さえるべきは「3つの加工レベル」の違いです。
| 加工レベル | 定義 | AI開発での利用しやすさ | 本人同意 |
|---|---|---|---|
| 個人情報(生データ) | 特定個人を識別可能 | 情報量は最大だが法的制約が厳しい | 原則必要 |
| 仮名加工情報 | 氏名・ID等を削除、照合しない限り個人を特定不可 | 特異値・希少疾患名の削除不要で有用性が高い | 共同利用等で対応可 |
| 匿名加工情報 | 個人を特定不可かつ復元不可 | 加工により情報が欠落するリスクあり | 不要 |
2024年4月に施行された改正次世代医療基盤法では、新たに「仮名加工医療情報」の利活用が可能になりました。これが医療AI開発にとって重要な転機となっている理由は、従来の匿名加工では避けられなかった「加工しすぎることによる有用性の低下」を回避できる点にあります。
仮名加工医療情報は、氏名やID等の削除は必要ですが、匿名加工医療情報とは異なり、特異な値や希少疾患名等の削除は不要です。
たとえば、がん領域のAI開発では症例数が少ない希少がんのデータが極めて重要ですが、従来の匿名加工ではこうしたデータが加工過程で削除されるケースがありました。仮名加工情報であれば、この問題を回避しつつ、プライバシーを保護できます。
さらに、仮名加工医療情報では仮IDの再利用が可能で、差分データの提供ができるため、処理時間の短縮が見込めます。匿名加工情報では、たとえば5年分のデータに6年目を追加する場合、全データを加工し直す必要がありましたが、仮名加工ではその制約がありません。
ただし、仮名加工医療情報を利用するには、安全管理等の基準に基づいて国が認定した利活用者に限定されており、再識別および第三者提供は原則禁止されています。つまり、AI開発企業が仮名加工医療情報を使うには、自社で認定を取得するか、認定事業者が整備したVisiting環境(データを持ち出さず、事業者の環境内で分析する方式)を利用するかの二択となります。
医療AIが変える今後の医療現場
医療AIの導入効果を語る際、「業務が楽になる」「精度が上がる」といった漠然とした表現では意思決定の材料になりません。ここでは、医療AIがもたらす変化を「業務効率化」「画像診断」「個別化医療」の3軸で分解し、それぞれの具体的なインパクトとトレードオフを明らかにします。
具体的には、以下の3点です。
- 業務効率化により医師の負担が減る
- 画像診断の精度向上で見落としを防ぐ
- 個別化医療で最適な治療を提供できる
業務効率化により医師の負担が減る
2024年4月に施行された医師の働き方改革により、勤務医の時間外労働に年960時間の上限規制が適用されました。しかし、医師の業務量そのものが減ったわけではありません。規制に適合しつつ医療の質を維持するには、業務プロセス自体を再設計する必要があり、そこにAIが介入する余地があります。
医師の業務時間を圧迫している要因を分解すると、大きく「診療行為」と「非診療行為」に分けられます。厚生労働省の調査によれば、医師の勤務時間のうち、カルテ記載・書類作成・レセプト処理などの事務的業務が占める割合は無視できない水準です。AIによる効率化のインパクトが最も大きいのは、この非診療行為の領域です。
以下の表で、AIによる業務効率化の主要領域と、期待される時間削減効果を整理します。
| 対象業務 | AI活用の手法 | 効果の実績・見込み |
|---|---|---|
| 問診 | AI問診ツール(Ubie等)によるタブレット事前入力+カルテ自動連携 | 1回の診察あたり3分の作業時間短縮を達成した事例あり |
| カルテ記載 | 音声認識+生成AIによるSOAP形式の自動生成 | 慶應義塾大学病院のAIホスピタルでは、看護師の患者対面時間を1日あたり18分創出 |
| 医療文書作成 | 大規模言語モデルによる退院サマリー・紹介状の自動ドラフト | 東北大学病院の実証実験で、医療文書の作成時間を平均47%削減 |
| 診療報酬算定 | 電子カルテ情報と生成AIの組み合わせによる自動計算 | 従来数日かかっていた算定作業を数分に短縮する見込み |
ここで押さえるべきポイントがあります。AIによる効率化は「医師の仕事を奪う」のではなく、「医師の時間配分を変える」ものです。非診療行為の時間が圧縮されることで、患者との対話、治療方針の検討、チーム医療の調整といった「医師でなければできない業務」に時間を振り向けられるようになります。
ニューラルオプトがAI開発の現場で実感しているのは、「効率化の対象を間違えると逆効果になる」という点です。
たとえば、AI問診ツールを導入しても、入力結果を医師が再度確認・修正する手間が増えれば、トータルの負荷は変わりません。重要なのは、AIの出力を業務フローのどの時点でどう受け取るかという「接続設計」であり、ツール単体の精度だけでは効率化は実現しません。
画像診断の精度向上で見落としを防ぐ
日本はCTやMRIの人口あたり保有台数が世界トップクラスでありながら、それを読影する放射線科医は慢性的に不足しています。画像は撮れるが読む人が足りないという構造的なギャップが、AI画像診断の最大の存在意義です。
AI画像診断は、主に3つの運用パターンで臨床に組み込まれます。
| 運用パターン | 役割 | 代表的な製品例 |
|---|---|---|
| プレスクリーニング(前読み) | 医師が読影する前にAIが画像を解析し、異常の疑いがある箇所をマーキング | 脳MRI動脈瘤検出(EIRL aneurysm) |
| セカンドリーダー(後読み) | 医師が読影した後にAIが再チェックし、見落としを防止 | 内視鏡がん検出(gastroAI) |
| リアルタイムアシスト | 検査中にリアルタイムで病変の兆候を検出・表示 | 大腸ポリープ解析(EndoBRAIN) |
CT月400件の読影を行う病院の試算では、AI導入により年間約960時間の読影時間削減が見込まれています。
AI画像診断の導入において見落とされがちなリスクは「自動化バイアス」、つまり医師がAIの判定を過信し、自らの目で確認する注意力が低下するという問題です。AIの感度が高いほど、「AIが正常と判定したから大丈夫だろう」という心理が働きやすくなります。
この問題への対処は技術的な精度向上だけでは不十分です。運用設計として、AIの判定結果を表示するタイミング(医師の一次読影の前に出すか、後に出すか)や、AIが「異常なし」と判定した症例に対するランダムサンプリング再確認の仕組みなど、ヒューマンファクターを考慮したワークフロー設計が必要になります。
AI開発企業として医療AIについて言えることは、「AIは医師の代替ではなく、医師の認知負荷を最適化するツールである」ということです。これは単なるポジショントークではなく、薬機法上もAI画像診断は「診断支援」として位置づけられており、最終的な診断は医師が行うことが前提となります。
個別化医療で最適な治療を提供できる
従来の医療は「同じ病名には同じ治療」が基本でした。しかし、同じ病名であっても患者の遺伝子変異パターン、体質、生活環境は異なるため、治療効果や副作用の出方には大きな個人差があります。個別化医療(プレシジョンメディシン)は、この個人差をデータで捉え、最適な治療法を選択する医療の枠組みです。
個別化医療の実現には、膨大なデータの解析が不可欠であり、ここにAIが決定的な役割を果たします。
以下の表で、個別化医療におけるAIの介入ポイントを整理します。
| フェーズ | AIの役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| 診断 | 遺伝子パネル検査の結果解析、がんのサブタイプ分類 | 富士通が開発したマルチモーダルAI技術は、肺がんのサブタイプ分類で世界最高精度92.1%を達成 |
| 治療選択 | 遺伝子変異パターンから最適な分子標的薬を提案 | がんゲノム医療中核拠点病院では、遺伝子パネル検査の結果に基づきAIが治療薬の候補を提示する取り組みが保険適用で進行中 |
| 予後予測 | 治療後の経過をシミュレーションし、リスクを定量化 | デジタルツイン技術による腫瘍の治療反応予測 |
| 創薬支援 | AI解析で新たな治療標的遺伝子を発見、薬効予測 | ゲノム情報レポジトリーを活用した新薬候補の探索 |
遺伝子解析コストは大幅に低下しており、かつて数百万円かかっていた解析が数万円で実施可能になりました。コスト障壁の低下により、個別化医療は一部の先端医療機関だけのものから、段階的に一般臨床へと広がる条件が整いつつあります。
しかし、個別化医療にはデータ量の壁という根本的な課題が残ります。がんのゲノム解析を行っても、同じ変異パターンを持つ患者の症例データが十分に蓄積されていなければ、AIが統計的に有意な治療効果の予測を出すことは困難です。とりわけ希少がんや小児がんの領域では、症例数の少なさがボトルネックになっています。
この課題に対して、前述の改正次世代医療基盤法における仮名加工医療情報の制度が重要な解となります。従来の匿名加工では削除されていた希少疾患のデータも、仮名加工であれば保持できるため、AI学習に利用できるデータの質と量が向上します。
ニューラルオプトの開発知見として指摘しておきたいのは、個別化医療AIは「データ×アルゴリズム×臨床ワークフロー」の三位一体でしか機能しないという点です。いかに高精度なアルゴリズムを開発しても、学習データの多様性が不足していれば特定の患者集団にしか適用できません。
また、AIの出力が臨床現場のワークフローに統合されなければ、医師の意思決定に反映されることもありません。個別化医療AIの開発は、技術開発と同時に、データ収集の制度設計と臨床導入のオペレーション設計を並行して進める必要があります。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
参考:個別化医療とは? | よくわかる個別化医療 | バイオのはなし | 患者さん・一般の皆さま | 中外製薬株式会社
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「失敗リスクを最小化する」ことを最重要コンセプトに掲げ、課題の整理から解決策の提案、システム開発、そして組織への定着支援まで一貫してサポート。単なる技術開発ではなく、コンサルティング機能を併せ持つため、医療機関が抱える根本的な課題から対応することができます。
データサイエンスの知見も豊富で、データマイニングやテキストマイニングにも対応可能。手書き文字のAI認識システムや業務プロセス自動化など、実用性の高いソリューションの開発実績を持っています。費用対効果の高いサービス提供と、カスタマイズ性の高い柔軟な対応が弊社の強み。
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