デジタル化の波が経理業務にも大きな変革をもたらしています。従来の紙ベースの作業や手動処理から脱却し、クラウドサービスやAIを活用した業務自動化により、多くの企業が劇的な効率化を実現しました。
日本商工会議所・東京商工会議所が2024年に実施した実態調査によれば、インボイス制度導入により約8割(82.2%)の事業者が事務負担の増加を感じており、電子帳簿保存法の電子取引データ保存義務化についても規模が小さい企業ほど未対応率が高い状況です。
出典: 中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査/日本商工会議所・東京商工会議所/2024年
こうした制度対応の負荷を契機に経理DXに踏み切る企業が増えており、本記事で紹介する各社の取り組みは、この課題に対する具体的な解決策を示すものです。
本記事では、日本企業の経理DX成功事例を20社厳選してご紹介します。決算早期化、請求書処理の自動化、経費精算の電子化、会計基盤の刷新、法制度対応まで、5つの軸に分けて具体的な成果とともに解説。各社の取り組みから、あなたの会社でも実践できるヒントを見つけてください。
- 経理DXは「決算早期化」「入金消込」「経費精算」「請求書受領」「基盤刷新」の5領域で成果が出ており、まず自社のボトルネックがどの領域かを特定することが、投資対効果を最大化する第一歩。
- 成功事例に共通するのは「スモールスタート→グループ横展開」の型。花王の30名先行、立教大の63科目試行と同様に、現場の納得を醸成してから全社展開することが定着率と導入速度の両立につながる。
- ツール導入だけでは効果は半減する。西友や日本通運のように「基幹刷新と並走」「Fit to Standard原則で個別開発を最小化」する設計思想がなければ、保守コストと属人化が再燃しやすい点に注意が必要。
以下の記事ではDX事例をより広く取り扱っています。ぜひ合わせてご覧ください。

決算早期化・可視化・統制強化

決算業務のスピードアップと品質向上を実現した企業事例をご紹介します。
- ニューラルグループがマネーフォワード クラウド連結会計で3営業日短縮を実現した事例
- ビースタイルホールディングスがfreee会計で8営業日締めを達成した事例
- セゾンテクノロジーがBlackLineで勘定照合53%自動化を実現した事例
- 花王がBlackLineで在宅決算と統制強化を両立した事例
ニューラルグループがマネーフォワード クラウド連結会計で3営業日短縮を実現した事例

連結決算を3営業日短縮!連結未経験者でも対応できるUI/UXも魅力 – 「マネーフォワード クラウド連結会計」導入事例
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | ニューラルグループ株式会社 |
| 業界 | IT・メディア(AI解析) |
| ビフォー | 表計算での連結作業が属人化・版管理困難・レビュー負荷大 |
| アフター | クラウド連結会計で同時編集/履歴管理/チェック容易化、3営業日短縮を実現 |
ニューラルグループは、初の連結決算を機に経理業務のデジタル化に着手。従来はExcelでの連結作業で属人化が深刻化し、関数依存やバージョン管理の限界が顕在化していました。
マネーフォワード クラウド連結会計を導入することで、同時編集機能と履歴管理により作業効率が大幅に向上。連結決算期間を6営業日から約3営業日へと半減させることに成功しました。
特に注目すべきは、未経験者でも扱えるUI/UXにより人依存を低減し、将来の子会社増加にも対応できる標準オペレーションを確立した点です。チェックリストとシステムの組み合わせでレビュー工数も削減され、品質とスピードの両立を実現しています。
この事例が短期間で成立した背景には、「初の連結決算」というタイミングで導入できたことが大きいです。既存のExcel運用が長く続いた組織では、担当者が独自のシート設計に慣れ切っており、ツール移行時の抵抗が強くなりがちです。当社がDX支援に携わった経験上、「属人化が10年以上続いた経理業務」ほど、ツール導入前の業務棚卸しに最低1〜2か月を費やすのが実態です。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
ビースタイルホールディングスがfreee会計で8営業日締めを達成した事例

ホールディングス化前に導入したfreeeがもたらした、早期決算の現実化とグループ全社の業務省力化 | freee
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社ビースタイル ホールディングス |
| 業界 | サービス(人材・BPO等) |
| ビフォー | 組織拡大・HD化を控えつつ紙・Excel依存/承認ルート設定も煩雑、専門人材不足 |
| アフター | freee会計+ワークフローで完全クラウド化、8営業日締めへ。経営分析の時間を捻出 |
ビースタイルホールディングスは、ホールディングス化とIPO体制構築に向けて短期間での決算早期化が必須課題でした。従来の紙・Excel依存の運用では承認ルートの設定が煩雑で、専門人材不足も相まって決算業務が非効率な状態でした。
freee会計とワークフローの一体導入により、約3か月で連結月次を8営業日体制に移行することを実現しました。特筆すべきは、会計・経費・ワークフローの連携により入力から会計反映まで自動化を図り、転記作業を排除したこと。
これにより経営分析に1〜2日を充当できるようになり、ガバナンス強化(承認なければ支払不可の設計)も同時に達成しています。
セゾンテクノロジーがBlackLineで勘定照合53%自動化を実現した事例

株式会社セゾンテクノロジー|導入事例|BlackLine(ブラックライン)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社セゾンテクノロジー(旧:セゾン情報システムズ) |
| 業界 | コンピュータ・ソフトウェア・サービス |
| ビフォー | 決算業務が多システム分散・工数過多・紙と押印運用。属人化・監査対応の手戻りが多い |
| アフター | タスク管理+勘定照合をBlackLineで一元管理。約53%の照合自動化、ペーパレス、リモート決算へ |
セゾンテクノロジーは、管理会計強化とガバナンス確保の要求が高まる中、決算関連データが複数システムに分散している課題に直面していました。
深夜残業など生産性の低下も問題となっていた状況で、BlackLineを2019年8月に導入し、わずか3か月後の12月には本格稼働を開始。勘定照合の約53%を自動化することで、人的工数を大幅に削減しました。
また、6400枚相当の紙削減と電子承認により統制を強化し、リモート環境でも月次決算を遂行できる体制を構築。Tableauや各業務システムとの連携により、監査対応の効率化も実現しています。短期導入と段階的な展開により、現場への負担を最小化しながらDXを推進した成功例です。
花王がBlackLineで在宅決算と統制強化を両立した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 花王株式会社 |
| 業界 | 消費財(製造) |
| ビフォー | 現場レベルに残る手作業が在宅環境と統制のボトルネック |
| アフター | BlackLineでタスク管理・勘定照合を導入、在宅決算を実現しながら標準化・統制を強化 |
花王は経理DXの一環として、現場担当レベルでの可視化・統制強化と標準化・自動化を推進しました。従来は決算・請求書処理に手作業が残存し、テレワークや統制面で限界が生じていた状況でした。
BlackLineをスモールスタート(30名規模)で導入し、タスク管理と勘定照合から段階的に展開。2020年10〜12月のフェーズ1導入を経て、現場の納得を醸成しながら早期に成果を実現しました。
特に注目すべきは、在宅勤務率80〜90%と整合する決算プロセスを確立し、働き方改革と業務品質向上を同時に達成した点。グローバル展開を見据えた業務基盤としても機能し、海外実績を踏まえた国内展開により、統制とスピードの両立を実現しています。
IPAの「DX動向2024」によれば、従業員1,001人以上の企業では96.6%がDXに取り組んでいる一方、全社戦略に基づくDX推進企業はその中でも一部にとどまります。花王の事例のように、スモールスタートから段階展開し、グローバル視点で統制基盤を構築するアプローチは、大企業DXにおける実効性の高い推進モデルといえます。
出典: DX動向2024 ─ 日本企業が直面するDXの2つの崖壁と課題(IPA 調査分析ディスカッション・ペーパー2024-01)/独立行政法人情報処理推進機構(IPA)/2024年
請求・債権業務の自動化(発行・受領・入金消込)
請求書の発行から入金消込まで、債権業務全体の自動化により大幅な工数削減を実現した企業事例です。
- 西友がV-ONEクラウドで入金消込80%削減を実現した事例
- エムオーテックスがinvoiceAgent TransPrintで請求発行工数半減を達成した事例
- 伊藤忠エネクスがVictory-ONEで入金消込を数十秒に短縮した事例
- カカクコムがV-ONEクラウドで債権レポート作成を大幅効率化した事例
西友がV-ONEクラウドで入金消込80%削減を実現した事例

導入事例 | 株式会社西友 様 | RPAからV-ONEクラウドへリプレイスして75%削減‼約1,500件/月・610時間の膨大な消込作業が140時間に!! | R&AC
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社西友 |
| 業界 | 卸売・小売 |
| ビフォー | Excel+RPAでの消込は610時間/月、おまとめ入金・分割入金などの複雑ケースが属人化 |
| アフター | V-ONEクラウド導入で140時間/月まで削減、自動照合率20%UP、帳票作成負荷も軽減 |
西友は基幹刷新(2023-24)の中で、テナント取引の入金消込が月610時間のボトルネックとなっていました。RPAでは複雑な照合に限界があり、おまとめ入金や分割入金などの処理が属人化していた状況。
V-ONEクラウドの導入により、月610時間から140時間へと80%の工数削減を実現しました。月約1,500件の消込対象に対し、機械学習による自動照合で複雑な照合パターンにも対応。自動照合率を20%向上させ、帳票作成の省力化も同時に達成しています。
基幹刷新と併走しながら消込自動化を確立し、標準化と耐スケール性を両立した点が特徴的です。上流変更への柔軟対応も評価され、管理のスピード向上にも寄与しています。
エムオーテックスがinvoiceAgent TransPrintで請求発行工数半減を達成した事例

エムオーテックス株式会社 | 導入事例|ウイングアーク1st
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | エムオーテックス株式会社 |
| 業界 | 情報・通信(セキュリティソフト) |
| ビフォー | 紙の発行/封入・郵送で2名×40時間/月。コロナ禍でPDFメール送付に移行もチェック負荷増 |
| アフター | TransPrintで自動振分・Web配信。チェック工数は半減、紙原本要望先には代理郵送で両立、在宅でも運用可 |
エムオーテックスは事業拡大に伴い請求件数が増加し、紙運用による手戻り・工数・誤送付リスクが顕在化していました。コロナ禍でPDFメール送付に移行したものの、二重チェックの負荷が膨張していた状況。
SVF Cloud for SalesforceとinvoiceAgent TransPrintの連携により、自動振分とWeb配信を実現しました。従来2名で月40時間かかっていた作業のチェック工数を約半減し、取引先ごとの自動振分により手作業の根を断つことに成功。
紙原本を求める取引先には代理郵送サービスを活用し、デジタル化と取引先ニーズの両立を図っています。在宅でも運用可能な体制により、BCP対応と働き方改革も同時に実現した好例です。
伊藤忠エネクスがVictory-ONEで入金消込を数十秒に短縮した事例

導入事例 | 伊藤忠エネクス株式会社 様 | 30時間以上かかっていた消込作業がほんの数十秒で完了! 営業効率の向上も達成できた「Victory-ONE/G4」の導入事例 | R&AC
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 伊藤忠エネクス株式会社 |
| 業界 | 卸売・小売(エネルギー) |
| ビフォー | 基幹システムの消込は1件1分以上、数千件の処理がボトルネック。営業も消込対応で本業阻害 |
| アフター | 合致分は一括自動消込、500件が約10秒。未消込の可視化、Salesforce連携で情報共有 |
伊藤忠エネクスは電力販売事業の拡大により大量少額の消込が急増し、従来の基幹システムでは対応が困難な状況でした。少数顧客・複雑消込前提の基幹システムにフィットせず、工数過多と営業効率低下が顕著に。
Victory-ONE/G4(カスタマイズパッケージ)の導入により、30時間以上かかっていた消込作業が数十秒で完了するまでに劇的改善。500件の処理が約10秒、数千件でも「一瞬」で処理できるレベルの効率化を実現しました。
Salesforceと基幹システムの橋渡し機能により、現場と管理の情報連携もスムーズに。約1年の導入期間で3社への順次展開を完了し、請求グルーピング学習や自然学習機能により業務の高度化も図っています。
カカクコムがV-ONEクラウドで債権レポート作成を大幅効率化した事例

導入事例 | 株式会社カカクコム 様 | 月次債権レポートの作成時間を大幅に削減! | R&AC
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社カカクコム(食べログ) |
| 業界 | サービス(Webプラットフォーム) |
| ビフォー | Excelで煩雑な債権管理。月次レポート作成に最長2週間、特定作業は丸1日要する |
| アフター | 丸1日→1時間、関連資料作成は2週間→数十分に短縮。データ更新の月次工数も約3時間削減 |
カカクコムは食べログの店舗会員数増加に伴い、Excel主体の債権管理が煩雑化していました。ステータス更新や調整に丸一日かかるケースが常態化し、月次レポート作成には最長2週間を要する状況。
V-ONEクラウドを約3か月・3名体制で導入し、劇的な効率化を実現しました。特定作業の処理時間を丸1日から1時間へ、関連資料作成を2週間から数十分へと大幅短縮。残高年齢表や滞留一覧の活用により、報告・エスカレーションも迅速化しています。
債権・入金データの保持とステータス登録機能が採用の決め手となり、月間利用者規模の増大に起因する債権量増加にも対応。少人数・短期間の導入で早期に効果を実現した成功例です。
■少しでもAI・システム開発やPoCに興味があれば、まずはお気軽にご相談ください。目的・課題を伺ったうえで、弊社から手堅く進める方法・お見積りをお伝えさせていただきます。
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申請・承認の電子化(経費・旅費・稟議等)
経費精算や承認ワークフローの電子化により、業務効率化と統制強化を同時に実現した企業事例をご紹介します。
- サイバーエージェントがSAP Concurで年1,200時間削減を達成した事例
- 武蔵精密工業がSAP Concurで月次処理322時間短縮を実現した事例
- 沖縄JTBがマネーフォワード クラウド経費で毎月120時間短縮した事例
- 大創産業がSAP Concurで2万人展開を実現した事例
- 村田製作所がSAP Concurで国内30社標準化を達成した事例
サイバーエージェントがSAP Concurで年1,200時間削減を達成した事例

経費精算プロセスを一元化 株式会社サイバーエージェント – ケーススタディ – コンカー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社サイバーエージェント |
| 業界 | 情報サービス |
| ビフォー | 領収書と入力情報の突合、マスタ保守、承認処理など人手作業が散在し、スピードと生産性に課題 |
| アフター | Concur Expense導入でカード連携・ルールチェックを自動化し、迅速化と省力化を実現。月100h/年1,200h削減を見込む |
サイバーエージェントは紙・Excel起点の経費精算プロセスが非効率で、領収書と入力情報の突合や承認処理に多大な時間を要していました。保守・マスタ更新の負担も大きく、全社的な生産性向上が課題に。
SAP Concur Expenseの導入により、2015年8月から全社展開(1,700名)を開始し、カード連携とルールチェックの自動化を実現しました。入力段階でのルールチェックにより手戻りを抑制し、コーポレートカード連携により記帳までの自動化を強化。
月100時間・年間1,200時間の関連作業時間削減を見込んでいます。BI分析の容易化により管理の可視化も進み、ユーザビリティとガバナンス(規程チェック)の両立を実現。経費精算プロセスの一元化により、業務負荷の大幅軽減を達成した事例です。
武蔵精密工業がSAP Concurで月次処理322時間短縮を実現した事例

経営資源の迅速な見える化で Concur Expense を導入 武蔵精密工業株式会社 – ケーススタディ – コンカー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 武蔵精密工業株式会社 |
| 業界 | 製造(自動車部品) |
| ビフォー | 紙の伝票運用・手作業が多く、属人的で処理が遅延。承認・保管も紙中心 |
| アフター | Concur Expenseによりキャッシュレス&ペーパーレス化、月次処理322時間短縮、毎月約700枚の伝票削減 |
武蔵精密工業は経費精算が紙・現金ベースで属人化し、承認や保管、会計転記に多大な時間を要していました。
月次処理の非効率性が課題となる中、Concur Expenseを導入してキャッシュレス&ペーパーレス化を推進。月次処理時間を322時間短縮し、毎月約700枚の伝票削減を実現しています。
モバイル入力と電帳法対応により、いつでもどこでも申請可能な環境を構築。コーポレートカード連携により入力負荷を軽減し、Intelligenceによる分析レポート活用で規程遵守とガバナンスを両立しています。
締め前後の業務負荷を大幅に削減することで、経理部門の働き方改革と業務品質向上を同時に実現。製造業における経費精算DXの成功例として注目される事例です。
沖縄JTBがマネーフォワード クラウド経費で毎月120時間短縮した事例

毎月80時間かかっていた小口現金管理を大幅見直し!営業・経理部門で毎月120時間の業務短縮を実現。内部統制強化も – 「マネーフォワード クラウド経費」導入事例
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 沖縄JTB株式会社 |
| 業界 | サービス(旅行・MICE等) |
| ビフォー | 現金出納と紙申請が負荷・リスク。承認滞留、申請紛失、立替負担が発生 |
| アフター | マネーフォワード クラウド経費導入で毎月120時間短縮、モバイル承認・ペーパーレスに移行 |
沖縄JTBはグループ統合で従業員が増加する中、紙・現金ベースの経費運用がスケールしない課題を抱えていました。出社依存・承認滞留・立替負担が顕在化し、特に毎月80時間かかっていた小口現金管理が大きな負担に。
マネーフォワード クラウド経費を2018年2月にトライアル導入し、5月の本番稼働を経て大幅な効率化を実現しました。小口現金運用の見直しにより、営業部門と経理部門合わせて毎月120時間の業務短縮を達成。モバイル承認機能により出社不要の承認フローを確立し、電帳法準拠の証跡管理で統制とスピードを両立しています。
経理だけでなく営業部門の時間創出も確認できる好例として、経費処理のリアルタイム化を実現した成功事例です。
大創産業がSAP Concurで2万人展開を実現した事例

経費精算業務効率化と決算早期化を実現【お客様事例】株式会社大創産業 – コンカー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社大創産業(DAISO) |
| 業界 | 小売 |
| ビフォー | 紙の精算書(手書き)+複数様式、運用フローが8つに分岐し手間とミスの温床 |
| アフター | Concurで申請~承認~集計をデジタル統合。全店舗スタッフまで適用し、業務効率化・コスト削減・決算早期化を実現 |
大創産業は多店舗・海外展開の進展により、紙ベースの経費精算が限界に達していました。申請書が多種多様で運用フローが8つに増殖し、属人化と煩雑化が深刻な状況でした。
2016年10月から調査を開始し、候補5社比較の上でConcur(Expense/Request/Intelligence)を選定しました。国内全店舗スタッフ約2万人までの大規模展開により、申請から承認、集計までをデジタル統合。電帳法対応ノウハウと車移動(小売特有)への対応が採用理由となり、業務効率化・コスト削減・決算早期化を同時に実現しています。
紙からデータへの移行により経費適正化(BI活用)にも波及し、大規模多拠点への横展開とデータ化による可視化推進を実現。小売業における包括的な経費精算DXの成功例です。
村田製作所がSAP Concurで国内30社標準化を達成した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社村田製作所 |
| 業界 | 製造(総合電子部品) |
| ビフォー | 国内グループで経費処理の適正と効率・安全性を両立させたいという要請。紙・分散オペレーション由来の非効率が課題 |
| アフター | 2024年導入。1月に本社、4月に国内29社まで展開し、国内30社でExpense/Invoice/Travelを標準化して集約 |
村田製作所はDX推進の一環で、適正な経費処理と効率・安全性の両立を重視し、グループ横断での標準化に取り組みました。
紙や分散オペレーションによる非効率が課題となる中、SAP Concurによる統合基盤の構築を決定。2024年1月に本社で開始し、4月には国内29社まで展開を完了し、計30社でプロセス標準化を実現しています。
Concur Expense、Invoice、Travelを同一基盤に統合し、経費・請求・出張管理を一元化。購買コントロールの実装により統制と効率の両立を図り、TripLinkやWalkMeも併用して利用者の利便性を向上させています。国内グループ全体での標準化により、業務品質の均質化と管理効率の向上を同時に達成した大規模展開の成功例です。
ERP・会計基盤刷新(標準化)
従来の会計システムから最新のERPや統合会計基盤への刷新により、業務標準化と効率化を実現した企業事例です。
- 日本通運がSAP S/4HANAで決算早期化基盤を構築した事例
日本通運がSAP S/4HANAで決算早期化基盤を構築した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 日本通運(NXグループ) |
| 業界 | 物流(グローバル) |
| ビフォー | 会計基準・プロセス・システムがバラバラで可視化・統制に難。旧システムはブラックボックス化 |
| アフター | SAP S/4HANAでFit to Standardを徹底し統一/標準化。BLACKLINEでタスク管理・勘定照合を自動化し決算短期化 |
日本通運はグローバルで会計処理・システムが非統一となり、法対応や可視化に課題を抱えていました。IFRS移行・12月決算統一で早期化ニーズが顕在化する中、旧システムのブラックボックス化も問題となっていた状況でした。
SAP S/4HANAによる経理統一基盤とBLACKLINEによるタスク管理・勘定照合の組み合わせで、包括的な会計基盤を構築しました。Fit to Standard原則により個別開発を最小化し、SSCの全社展開を可能にする統一基盤を確立。四半期リハーサルで早期化に耐える運用を確立し、BLACKLINEの導入で可視化・勘定照合自動化を実現しています。
IFRS×連結納税×SSC×ERP統一を一体で推進し、全社データ活用の基盤として機能。グローバル物流企業における大規模基盤刷新の成功例として、統制とスピードの両立を実現した事例です。
経済産業省・IPAによる「DX調査2025の分析」でも、DX銘柄に選ばれた先進企業の大半がビジネスモデルの変革を経営方針に直結させ、全社戦略に基づくDX推進を行っていることが確認されています。
日本通運の事例のように、IFRS移行・SSC展開・ERP統一を一体的に推進する取り組みは、まさにこの「全社戦略に基づくDX」の実践例であり、経理基盤刷新がDX成功の核となることを裏付けるものです。
出典: デジタルトランスフォーメーション調査2025の分析/経済産業省・IPA/2025年
法対応・電子受領(電帳法・インボイス)
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を機に、請求書受領業務の全面電子化を実現した企業事例をご紹介します。
- 西武ホールディングスがinvoiceAgentでグループ23社展開を実現した事例
- JR九州グループがBill Oneで8.4万件デジタル化を達成した事例
- フルサト・マルカHDがBill Oneで月間1,960時間削減を実現した事例
- カルビーがBill Oneで紙90%削減を達成した事例
- ボディワークHDがBill Oneで年間3,000時間削減を実現した事例
- 生長会・悠人会がBill Oneで30拠点標準化を達成した事例
西武ホールディングスがinvoiceAgentでグループ23社展開を実現した事例

株式会社西武ホールディングス | 導入事例|ウイングアーク1st
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社西武ホールディングス |
| 業界 | サービス(持株会社/グループ横断) |
| ビフォー | 紙中心の請求書受領でテレワーク困難、法対応との両立が課題 |
| アフター | ERP「Biz∫」×invoiceAgent TransPrintで請求書電子受領を社内標準化、23社に展開 |
西武ホールディングスは中期計画(2021-2023)で「デジタル経営」を掲げる中、紙起点の請求書処理がテレワーク・生産性・法対応のボトルネックとなっていました。
2019年の電帳法要件の高さで一度は見送ったものの、2022年1月の電帳法改正や働き方の要請を受けて方針転換。既存ERP「Biz∫」とinvoiceAgent TransPrintを連携し、アドオンなしで電子受領を実装しました。
グループ23社への展開により標準化と横展開の再現性を確保し、「システムに業務を合わせる」方針で運用コストを抑制。ESG視点(郵送削減・保管省スペース)と法対応を一体で推進し、取引先負担を抑えつつペーパーレスとデジタル経営を実現。グループ全体でのDX基盤化により、持続可能な業務運営を確立した成功例です。
JR九州グループがBill Oneで8.4万件デジタル化を達成した事例

JR九州グループ24社がBill Oneを活用し、月次決算を加速 | Sansan株式会社のプレスリリース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | JR九州グループ(運用主体:JR九州ビジネスパートナーズ) |
| 業界 | 交通・グループSSC |
| ビフォー | 郵送・回覧中心で紙作業が集中、グループ各社で非標準、月末月初に業務が逼迫 |
| アフター | Bill Oneでオンライン受領・一元化し、8.4万件をデジタル化、3,700h+削減、平準化・テレワークにも寄与 |
JR九州グループはインボイス制度(2023年10月)対応を控え、紙郵送・回覧による工数と平準化の阻害が課題となっていました。
SSCでの全社標準化が急務となる中、Bill Oneを24社に導入し、年間約8.4万件の請求書をデジタル化。3,700時間以上の削減を実現し、月次決算の加速と業務平準化を同時に達成しました。
99.9%精度(ベンダー条件下)のデータ化を活かし、シェアードサービス×グループ展開による標準化を推進。取引先アップロード機能の活用により、送付側の負担軽減も図っています。インボイス自動判定機能により法対応の内製負荷を低減し、繁閑差の平滑化でリソース活用を最適化。
交通業界におけるグループ全体でのDX推進と法対応を一体で実現した大規模展開の成功例です。
フルサト・マルカHDがBill Oneで月間1,960時間削減を実現した事例

フルサト・マルカホールディングスが「Bill One」を活用し、属人化していた経理業務をグループで標準化~月間1960時間を削減し、月次決算を加速〜 | Sansan株式会社
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | フルサト・マルカホールディングス株式会社 |
| 業界 | 産業機械・工具/建設資材等(持株会社) |
| ビフォー | 各社バラバラの紙中心運用。出社必須・紛失/計上漏れリスク、属人化が深刻 |
| アフター | Bill Oneで一元管理し紙8割→1割、月間1,960時間削減、8,500件/月の請求書を管理、月次決算を加速 |
フルサト・マルカホールディングスはグループ統合後も会社間で運用・ツールが不統一で、紙運用に起因するリードタイム・統制・ガバナンスの課題が顕在化していました。各社バラバラの運用により出社必須、紛失や計上漏れリスクが深刻な状況。
Bill Oneの複数テナントオプションを活用し、グループ6社で月間8,500件の請求書を一元管理する体制を構築しました。紙比率を8割から1割へと大幅削減し、月間1,960時間の業務時間削減を実現。
月次決算の加速とテレワーク環境整備を同時に達成し、2024年から段階展開で今後の拡大も予定しています。グループ横断管理・標準化により、複数企業を束ねる持株会社における請求書受領DXの成功モデルを確立。統制強化と業務効率化を両立した包括的な改革事例です。
カルビーがBill Oneで紙90%削減を達成した事例

カルビーが国内全拠点でBill Oneを導入し、年間6万2000件の請求書をデジタル化~経理業務における紙使用量を90%削減し、生産性向上を実現〜 | Sansan株式会社
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | カルビー株式会社 |
| 業界 | 食品(製造) |
| ビフォー | 形式混在(紙/電子)でフローが分断。郵送・保管に時間とコスト |
| アフター | Bill Oneでオンライン一元管理。紙の請求書の9割を電子化し、検索・承認もオンラインで完結 |
カルビーは紙と電子が混在し、回覧・保管フローが分断している課題を抱えていました。紙は本社郵送・保管が必要で、出社前提の業務が負担となっていた状況。
Bill Oneを全拠点に導入し、年間約6万2,000件の請求書をオンライン一元管理する体制を構築しました。500名以上が関与する業務において、紙の請求書の9割を電子化し、開封・回覧・郵送・保管の作業を解消。検索・承認もオンライン化により、働き方の柔軟性を大幅に向上させています。
2025年4月の本格稼働に向け、データ化精度と処理速度を重視した製品選定により、承認・確認業務のオンライン化を実現。食品製造業における大規模な請求書受領DXの成功例として、業務平準化とペーパーレス化を同時に達成した事例です。
ボディワークHDがBill Oneで年間3,000時間削減を実現した事例

「ラフィネ」運営のボディワークHD、請求書受領を電子化、グループ8社で年3000時間削減 | IT Leaders
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社ボディワークホールディングス |
| 業界 | サービス(リラクゼーション・温浴施設運営) |
| ビフォー | 年間約1.5万件の請求書の大半が紙。開封・振分・スキャンの出社前残業も常態化 |
| アフター | Bill One導入(2021年8月~順次→グループ8社へ展開)。年間約3,000時間削減、テレワーク時間が月44→84時間に増加、月次決算の加速 |
ボディワークホールディングスは多拠点・多取引の紙中心業務がボトルネックとなり、リモートワーク推進の障壁となっていました。年間約1.5万件の請求書処理で出社前残業が常態化し、開封・振分・スキャン作業が大きな負担に。
2021年8月からBill Oneを順次導入し、約1年でグループ8社への展開を完了しました。一括受領・データ化により年間約3,000時間の請求関連工数を削減し、テレワーク時間を月44時間から84時間へと倍増。グループ8社一元管理により進捗把握と差し戻しの効率化も実現し、月次決算の加速を達成しています。
インボイス・電帳法に対応するBill Oneの活用により、法制度対応と生産性向上を両立。サービス業における働き方改革と業務効率化を同時に実現した成功例です。
生長会・悠人会がBill Oneで30拠点標準化を達成した事例

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 社会医療法人 生長会/社会福祉法人 悠人会 |
| 業界 | 医療・福祉 |
| ビフォー | 年間約1.2万件の請求書を紙で処理。帳票も紙作成で手間が大きく、受領形式ごとの保管など電帳法対応も煩雑 |
| アフター | 約30拠点にBill One請求書受領を導入。1.2万件の請求書をオンライン化し、ガバナンス体制を強化 |
生長会・悠人会は病院・福祉施設の運営において、施設側で紙処理→社内便で本部提出というアナログな分断が非効率となっていました。電帳法の保管要件も紙と電子で分離管理が必要で、年間約1.2万件の請求書処理が大きな負担に。
そこで約30拠点にBill One請求書受領を導入し、全拠点の請求フローを統一・可視化しました。1.2万件の請求書をオンライン化し、仕訳・費用按分のCSV紐付けやインターネットバンキング連携で支払入力も省力化。決裁・支払までのデジタル接続により、電帳法に沿った保管・運用と支払までの電子連携を実現しています。
医療・福祉の人手不足下において、30拠点への横展開で請求受領の一元化を達成し、年間1.2万件の処理オンライン化で生産性向上と統制強化を両立。医療・福祉業界における包括的なDX推進の成功例です。
経理DXの全体像
経理DXを成功させるためには、業務全体を俯瞰した戦略的な取り組みが重要です。以下のポイントを押さえることで、効率的なデジタル化を実現できます。

売掛から税務まで7つの業務領域をカバー
経理業務は大きく7つの領域に分けられます。売掛債権管理では請求書発行から入金消込まで、買掛債務管理では支払承認から資金管理まで。経費精算は申請から精算処理、固定資産管理は取得から減価償却計算が含まれます。
連結会計では子会社の財務データ統合、税務申告は法人税から消費税まで対応。最後に開示業務で決算書作成と監査対応を行います。
これらの業務領域を横断的に効率化することで、経理部門全体のDXを実現できます。
ERPから専門ツールまで9種類のソリューション
経理DXを支えるソリューションは大きく9つのカテゴリに分類されます。ERP・会計システムが基幹となり、経費精算システムで申請業務を効率化。請求管理システムで発行業務、消込システムで入金処理を自動化します。
ワークフローシステムで承認プロセスを電子化し、AI-OCRで紙文書のデジタル化を推進。RPAで定型作業を自動実行し、ETL(データ抽出・変換・格納)ツールでシステム間連携を実現。最終的にBIツールでデータを可視化・分析します。
実務上、ETLがなぜ必要になるかというと、「販売管理システムと会計システムのデータ形式が違いすぎて、そのままでは連携できない」という状況がほとんどの企業で発生するからです。ここを見落として「各システムを別々に導入したら、最終的に手作業でデータを結合する作業が新たに生まれた」というケースは珍しくありません。ツール選定の段階で「既存システムとどうつなぐか」を必ず確認することを強く推奨します。


株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
起票から開示まで6段階のデータフロー
経理業務のデジタル化では、データの流れを体系的に設計することが重要です。まず各部門で経費や購買の起票を行い、ワークフローシステムで承認処理を実施。
承認済みデータは自動的に会計システムで仕訳として取り込まれ、月次・年次での集計処理が実行されます。集計データはBIツールで可視化され、最終的に決算書などの開示資料として出力。
この6段階の流れを自動化することで、手作業によるミスを削減し、リアルタイムでの経営情報把握が可能になります。
5つのKPI指標で成果を測定
経理DXの効果測定には、定量的な指標設定が欠かせません。決算締め日数は従来の15日から5日への短縮を目標とし、未処理の滞留件数は月末時点でゼロを目指します。
入力エラー率は1%未満への改善、承認後の手戻り率は0.5%以下に設定。業務処理単価は人件費と外注費を含めた完全コストで算出し、DX前後で比較評価を行います。
経済産業省のDXレポートでは、レガシーシステムが温存された場合、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じると試算されています(いわゆる「2025年の崖」)。経理業務のKPI測定を通じたDX成果の定量化は、こうした全社的なシステム刷新の必要性を経営層に提示する際にも有効な根拠となります。
出典: DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~/経済産業省/2018年
これらのKPI指標を定期的にモニタリングすることで、改善効果の可視化と継続的な業務最適化を実現できます。
4つの部門が連携する推進体制
経理DX成功の鍵は、適切な体制構築にあります。経理部門がビジネス要件を定義し、情報システム部門が技術要件とセキュリティを担当。各事業部門はユーザーとしてテスト・フィードバックを提供し、外部パートナーが専門知識と導入支援を提供します。
プロジェクト責任者は経理部門から選出し、システムの要件定義から運用まで一貫して関与。定期的な進捗レビューと課題解決により、全社一丸となったDX推進を実現します。
経済産業省が2024年9月に改訂した「デジタルガバナンス・コード3.0」でも、DX推進のためには組織上位置づけられた専門組織が事業部門と連携・対話しながら全社的な推進を行う体制の構築が求められており、経理部門・IT部門・事業部門・外部パートナーの4者連携は、この国の指針にも合致した推進モデルです。
出典: デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~/経済産業省/2024年9月改訂
この4部門連携により、技術的な実現性とビジネス要件の両立が可能となります。
経理DX投資の回収効果を正確に見積もる方法
経理DXへの投資判断を行う際は、明確なROI(投資回収率)の算出が重要です。感覚的な判断ではなく、データに基づいた投資効果の見積もりを行いましょう。


業務別に時間×頻度×人数で現状を数値化
ROI算出の第一歩は、現状業務の正確な工数把握です。請求書処理なら「1件あたり15分×月500件×担当者2名」といった形で、業務別に処理時間・発生頻度・関与人数を詳細に記録します。
経費精算では申請者の入力時間、承認者のチェック時間、経理の確認時間をそれぞれ測定。月次決算では各工程の所要日数と担当者数を把握し、年間での総工数を算出します。
この現状把握により、どの業務にどれだけのコストがかかっているかが明確になり、改善効果の試算基盤が構築されます。
完全負担率と間接費を含む真のコスト算出
人件費の算出では、基本給だけでなく社会保険料や賞与、退職金引当などを含めた完全負担率での計算が必要です。一般的に基本給の1.3〜1.5倍が実際の人件費となります。
外注費についても、業務委託料に加えて管理コストや品質チェック工数を加味。さらに、システム利用料や事務用品費、オフィス賃料按分などの間接費も考慮します。例えば月給30万円の担当者なら、完全負担率1.4倍と間接費を加えて月45万円程度が実際のコストになります。
真のコストベースで効果算出を行うことで、より精度の高いROI評価が可能となります。
初期費用と運用費用を5年間で総合評価
経理DXのTCO(総所有コスト)は、初期費用と継続的な運用費用の両方を考慮して算出します。初期費用にはソフトウェアライセンス、導入コンサルティング、データ移行、ユーザー研修が含まれます。
運用費用では月額利用料、保守費用、ユーザー数増加に伴う追加ライセンス、機能改修費用を計上。一般的に5年間での総費用で評価し、初期費用は導入年、運用費用は年次で発生と想定します。クラウドサービスの場合、ユーザー数×月額×12か月×5年が基本となり、システム改修やカスタマイズが必要な場合は別途計上です。
5年間TCOと効果を比較することで、投資判断の根拠が明確になります。
自動化率とミス削減効果を金額換算
DX効果の試算では、自動化による工数削減とミス削減による品質向上を金額換算します。請求書処理が月500件で1件15分から3分に短縮されれば、月100時間の削減効果。これに人件費単価を乗じて月次効果を算出します。
入力ミスの削減では、従来の修正工数(1件あたり30分×月10件)と取引先対応工数を削減効果として計上。決算早期化による資金効果では、支払サイト短縮による金利コスト削減や、早期の経営判断による機会利益も考慮します。
これらの効果を年間・5年間で累計し、割引現在価値で評価することで、投資対効果の妥当性を判断できます。
導入遅延とユーザー定着率を考慮したリスク分析
ROI試算では、理想的なケースだけでなくリスクシナリオも検討が重要です。システム導入が3か月遅延した場合の効果減少、ユーザーの利用率が想定の70%にとどまった場合の影響を分析。人員体制の変更により前提条件が変わるリスクも考慮します。
感度分析により「導入効果が50%の場合でも投資回収可能か」「利用率が60%に低下しても2年以内に回収できるか」を検証。悲観・標準・楽観の3シナリオで試算し、悲観シナリオでも投資回収が可能な案件を優先的に実行します。
普段DX導入に携わっている身としては、「悲観シナリオ」の設定が甘いプロジェクトをよく見かけます。特に経理DXでは、ユーザー定着率が初年度に想定の50〜60%にとどまることは珍しくなく、利用率を押し下げる原因の多くは「入力ルールの浸透不足」と「承認者の使い方が統一されていないこと」です。ROI試算の段階で初年度の効果は計画値の60%程度と前提を置いておくのが、実態に即した安全な見積もり方だと考えています。


株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
経理DXならニューラルオプト
経理DXの成功には、技術導入だけでなく業務課題の本質的な解決が不可欠です。株式会社ニューラルオプトは、ChatGPTの開発に携わるAI開発企業として、課題解決コンサルティングから実装・定着支援まで一貫したサポートを提供しています。
単なるシステム導入ではなく、現状業務の詳細分析から始まり、貴社固有の課題に最適化されたAIソリューションを設計。手書き領収書のAI認識システムやeBayでの価格自動設定AIなど、実績豊富なデータサイエンス技術により、請求書処理の自動化や経費精算の効率化を実現します。
「失敗リスクを最小化する」をコンセプトに、段階的な導入計画と継続的な改善支援により、確実な成果創出を保証。経理DXで失敗したくない、課題の根本解決から相談したいとお考えの企業様に最適です。ChatGPT開発で培った最先端AI技術と豊富なコンサルティング経験により、貴社の経理業務変革を成功に導きます。







