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金融業界でのDX事例15選!不正防止や効率化、リスクの抑制など

金融業界では、デジタル技術を活用した業務変革(DX)が急速に進んでいます。従来の紙ベースや対面中心の業務から、AI・クラウド・アプリを活用した効率的なサービスへの転換により、多くの金融機関が顧客体験の向上やコスト削減を実現しています。

金融庁の「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート」(2022年)では、金融機関のDX進展を第1世代(始動段階)から第4世代まで分類しており、メガバンクやDX先進地銀は第3世代(DXサービス化段階)に到達しつつあると報告されています。

出典: 金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート/金融庁/2022年

本記事では、実際に成果を上げている日本の金融機関のDX事例を5つの観点から分析。各社の公式発表を基に、具体的な取り組み内容と効果をご紹介します。

この記事でわかること
  1. 金融DXは「売上拡大」「業務効率化」「不正防止」「UX改善」「基盤刷新」の5領域で成果が出ており、自社の優先課題から着手点を絞ることが投資対効果を最大化する近道。
  2. 「非金融の顧客接点を金融チャネルに転換する」発想。住信SBIのBaaSや三井住友のOliveに共通するのは既存サービスに金融機能を組み込むことで、獲得コストを抑えながら利用頻度を同時に伸ばせる。
  3. 基盤刷新と業務改善を並走させる設計が成功の条件。eKYCやAI査定など個別施策の効果は大きいが、レガシー基盤・モデルリスク管理・規制対応を後回しにすると拡張時に頓挫しやすい。

なお、以下の記事ではDX事例をより網羅的に取り上げています。

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目次

売上・契約を伸ばした事例

この分野では、以下の企業の取り組みをご紹介します。

  • 住友生命の健康増進型保険「Vitality」
  • 住信SBIネット銀行のBaaS事業「NEOBANK」
  • 三井住友銀行・三井住友カードの統合サービス「Olive」

住友生命が健康増進型保険で顧客との継続的な関係を構築した事例

未来を変えていく、健康増進型保険 住友生命 「Vitality」 | 住友生命

項目名内容
企業名住友生命
業界生命保険
ビフォー伝統的な「備える」中心の価値提供(加入後の接点は限定的)
アフターアプリを介した”健康増進を促す”提供価値(行動データ×リワード×保険料連動)。顧客との常時接続を実装

住友生命の「Vitality」は、従来の保険の概念を大きく変える革新的な取り組みです。これまでの生命保険は契約後の顧客接点が限定的でしたが、Vitalityではアプリを通じて健康活動をポイント化し、継続的な利用を促進しています。

顧客は日々の運動や健康管理をアプリで記録すると、その行動データに基づいてリワードを獲得。さらに保険料の割引やステータス制度も運用されており、健康になるほどメリットが大きくなる仕組みを構築しました。

この取り組みにより、保険会社と顧客の関係が「リスクに備える」から「リスクを減らす」という新たな価値提供へと転換。プラットフォーム志向で保険に閉じない周辺サービス連携も進めており、継続的な施策アップデートを通じて顧客エンゲージメントの向上を実現しています。

住信SBIネット銀行がBaaSで獲得チャネルを拡張した事例

おかげさまでNEOBANK(フルバンキングBaaS)5周年! | プレスリリース | NEOBANK 住信SBIネット銀行

項目名内容
企業名住信SBIネット銀行
業界ネット銀行/BaaS
ビフォー銀行の顧客獲得は自社チャネル中心
アフター企業アプリ/会員基盤に銀行機能をAPIで提供。提携22社・200万人超まで拡大、新規口座の約7割がNEOBANK経由

住信SBIネット銀行の「NEOBANK」は、BaaS(Banking as a Service)という仕組みを活用した画期的な事例です。BaaSとは、銀行の機能をAPIを通じて外部企業に提供するサービスのこと。同行では航空会社や小売業、エンターテインメント企業など大型パートナーの自社アプリや会員基盤内に、フルバンキング機能を埋め込んでいます。

2020年にJAL NEOBANKからスタートしたこの取り組みは、2025年5月時点で提携22社・利用者200万人超という規模まで拡大。特筆すべきは、新規口座開設の約7割がNEOBANK経由という実績で、銀行単体での獲得効率の限界を大きく超える成果を上げています。

BtoB向けBaaSにも展開しており、非金融の顧客接点を銀行チャネルへ転換することで、獲得と利用頻度の両方を同時に伸ばす戦略を成功させています。

ただしこの成功の背景には、JALという「ブランド力のある大型パートナー」がいたことが大きいでしょう。当社がAPI連携を含む開発支援に携わった経験からいうと、BaaS型の展開は「パートナー企業のユーザー基盤の質と量」に成果が依存しやすいです。知名度の低いパートナーからスタートした場合、口座数の伸びが期待を大きく下回るケースも少なくありません。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝

東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。

三井住友銀行・三井住友カードがスーパーアプリで500万件の開設を達成した事例

個人のお客さま向け総合金融サービス「Olive」 サービス開始から2年で500万アカウントを突破 | 株式会社三井住友銀行のプレスリリース

項目名内容
企業名三井住友銀行/三井住友カード
業界銀行・カード
ビフォー口座・決済・投資・保険が分断し、顧客接点が点在
アフターOliveで主要金融機能をアプリに一体化。500万件のアカウント獲得に到達

三井住友銀行と三井住友カードが共同で展開する「Olive」は、スーパーアプリ戦略の成功事例として注目されています。従来は口座、決済、投資、保険といった金融サービスが縦割りで分断されており、顧客との接点も点在していました。

Oliveでは、これらの主要金融機能をひとつのアプリに統合。他行口座の自動入金機能や支払いモード追加など、継続的なアップデートを重ねています。2025年3月時点でアカウント開設数は500万件に到達し、サービス開始から2年という短期間での急速な拡大を実現しました。

証券・保険連携を含む横断設計により、顧客との常時接続型の関係を構築し、獲得・利用頻度の両輪で成果を上げています。グループ横断のプロダクト推進体制が、この統合サービスの成功を支えています。

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業務コスト・時間を削減した事例

この分野では、以下の企業の取り組みをご紹介します。

  • 東京海上日動のAI査定システム
  • みずほ銀行の生成AI活用コンタクトセンター

東京海上日動がAI査定で修理見積書の点検を効率化した事例

事故車の最適な修理方法や見積書の妥当性をAIが判定 東京海上日動がトライアル | レスポンス(Response.jp)

項目名内容
企業名東京海上日動火災保険
業界損害保険
ビフォー人手の見積点検に依存、時間と品質のばらつきが課題
アフターAIによる見積点検支援を導入し、査定の迅速化・平準化を推進

東京海上日動では、自動車事故の査定業務においてAI技術を活用した革新的な取り組みを実施しています。従来の査定では、修理見積書の点検を人手で行っており、熟練者への依存度が高く、処理時間や品質にばらつきが生じていました。

同社が導入したシステムでは、損傷画像と見積情報をAIで解析し、修理見積書の妥当性を自動で点検。画像認識AIと構造化データの複合処理により、査定プロセスの効率化を実現しました。

この取り組みにより、顧客の待ち時間短縮と査定品質の標準化を同時に達成。事故対応のスピードと公平性が顧客満足の要となる損保業界において、AIを活用したセンター業務のDXモデルを確立しています。

みずほ銀行が生成AIで次世代コンタクトセンターを構築した事例

次世代コンタクトセンターシステムをリリース(MIZUHO DX) | みずほフィナンシャルグループ

項目名内容
企業名みずほ銀行
業界銀行(コンタクトセンター)
ビフォーチャネル分断・手作業多・FAQ検索や事後入力に時間が掛かる
アフター生成AIで応対支援・要約、CRMとAIの連携で一元管理。2024年8月に「次世代コンタクトセンター」をリリース

みずほ銀行では、2024年8月に生成AIを活用した次世代コンタクトセンターシステムをリリースし、大幅な業務効率化を実現しています。従来のセンター運営では、応対中の知識検索や応対後の記録作業がボトルネックとなっていました。

新システムでは、日本語生成AIとSalesforceベースのCRMを連携させ、通話の自動文字起こし・要約機能を実装。FAQ検索の最適化や後処理時間の短縮を実現しています。さらに、電話・チャット・LINEといったマルチチャネルを一元管理することで、顧客体験と運営効率を同時に改善しました。

IBM・PKSHAとの協働により拡張性も確保しており、オペレータースキル向上のための自動評価・教育機能も内蔵。センター運営における非価値作業時間の大幅削減を達成しています。

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リスク抑制・不正防止の事例

AI・データ活用によるリスク抑制は世界的に成果が実証されています。米国財務省は2024年10月、機械学習AIを含む不正検知の強化により、2024会計年度中に40億ドル以上の不正・不適切支払いを防止・回収したと発表しました。

出典: Treasury Announces Enhanced Fraud Detection Processes, Including Machine Learning AI, Prevented and Recovered Over $4 Billion in Fiscal Year 2024/U.S. Department of the Treasury/2024年

この分野では、以下の企業の取り組みをご紹介します。

この分野では、以下の企業の取り組みをご紹介します。

  • 三井住友カードのAI不正検知システム
  • 三井住友海上のドラレコAI事故状況説明システム
  • あいおいニッセイ同和損保のテレマティクス自動車保険

三井住友カードがVisaのAIで不正検知を多層化した事例

三井住友カード、VisaのAIリスクソリューションを不正検知システムとして導入|ニュースリリース一覧|会社案内|クレジットカードの三井住友カード株式会社

項目名内容
企業名三井住友カード
業界クレジットカード
ビフォー既存の不正検知はあったが、高度化する手口に対し前段のモニタリング強化が必要
アフターVisaのAIリスクソリューション(VRM/VAA等)を不正検知の前段に追加導入し、多層防御を構築

三井住友カードでは、キャッシュレス決済の普及に伴う不正手口の巧妙化に対応するため、VisaのAIリスクソリューションを導入しています。従来の不正検知システムに加えて、国際ネットワークのAI技術を前段に配置することで、多層防御体制を構築しました。

このシステムでは、VisaNet上で蓄積される膨大なグローバル取引データを活用し、リアルタイムでのリスク判定を実施。既存の自社システムとの多層化により、誤検知と見逃しのトレードオフを最適化しています。

24時間365日のモニタリング体制と外部AIの前段適用により、利便性を損なうことなくセキュリティレベルを向上。公式発表を通じてガバナンス体制も明確化し、業界全体でのAI不正検知採用拡大の流れをリードしています。

三井住友海上がドラレコAIで事故状況の再現性を向上させた事例

専門性の高い損害調査|個人のお客さま|三井住友海上

項目名内容
企業名三井住友海上
業界損害保険
ビフォー事故調査が物証・目撃情報中心で、再現の一貫性やスピードに課題
アフタードラレコ映像×AI(Ai’s)で事故状況を自動生成し、調査の再現性・スピードを引き上げる

三井住友海上では、ドライブレコーダー映像を活用したAI事故状況説明システム「Ai’s(アイズ)」を導入し、損害調査の高度化を実現しています。従来の事故調査では、物証や目撃情報に依存するため、状況把握に時間がかかり、判断にばらつきが生じる課題がありました。

Ai’sでは、「見守るクルマの保険」の専用ドライブレコーダーで撮影された映像をAIが解析し、事故状況を自動生成。テレマティクス技術とAIの組み合わせにより、従来は困難だった客観的な状況再現を可能にしています。

専門スタッフの調査とAIの組み合わせにより、過失割合の判断精度向上や不正申告の抑止効果も期待されています。映像ベースの説明可能性向上により、顧客への説明がより明確になり、事故解決のスピードアップにも寄与しています。

あいおいニッセイ同和損保がテレマティクス保険で事故リスクを低減した事例

テレマティクスタウン

項目名内容
企業名あいおいニッセイ同和損害保険
業界損害保険
ビフォー事故対応/調査が申告・書面・電話中心で時間・ばらつきが大きい
アフタードラレコ映像×AI解析や走行データを活用し、迅速な事故対応・予防まで含むモデルへ

あいおいニッセイ同和損保では、テレマティクス自動車保険により、事故の予防から解決まで一貫したリスク管理体制を構築しています。通信機能付きドライブレコーダーやコネクテッド技術を活用し、走行データをリアルタイムで収集・分析しています。

このシステムでは、AI解析による安全運転アラートを提供し、事故リスクの事前低減を実現。事故発生時には、収集されたデータを活用して迅速な対応を行い、解決日数の短縮も図っています。

走行データの地域還元として交通安全マップの提供なども行い、社会全体の交通安全向上にも貢献。個人・法人向けに幅広い商品ラインアップを用意し、ドライブレコーダー型からコネクテッド型まで、顧客のニーズに応じた選択肢を提供しています。

ESGの観点からCO₂削減効果も期待されており、環境・社会・ガバナンスの観点からも価値を創出しています。

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オンボーディング・UX改善の事例

この分野では、以下の企業の取り組みをご紹介します。

  • みんなの銀行のJPKI口座開設
  • auじぶん銀行のマイナンバーカード活用
  • 楽天銀行のeKYC導入
  • セブン銀行の顔認証ATM

みんなの銀行がJPKI方式で最短5分の口座開設を実現した事例

スマホのみで入出金が可能な「ATM」|みんなの銀行

項目名内容
企業名みんなの銀行
業界銀行(デジタルバンク)
ビフォー口座開設や入出金に来店/紙手続きが必要、所要時間も長め
アフターJPKI×eKYCなどで即日/最短5分の開設。スマホATMで24/365入出金。勘定系はGoogle Cloud/Cloud Spannerを採用

みんなの銀行は、日本初のデジタルバンクとして、口座開設から取引まですべてをスマートフォンアプリで完結できる革新的なサービスを提供しています。従来の銀行サービスでは、来店や紙での手続きが必要で、口座開設にも時間がかかっていました。

同行では、公的個人認証(JPKI)方式を採用し、2025年7月から最短5分での口座開設を実現。マイナンバーカードのICチップを活用した本人確認により、セキュリティと利便性を両立しています。

さらに、セブン銀行ATMでのスマホATM機能により、キャッシュカードなしで24時間365日の入出金が可能。勘定系システムにはGoogle CloudのCloud Spannerを採用し、高い可用性と拡張性を確保しています。口座開設130万件を突破するなど、デジタルネイティブな顧客層を中心に急速な成長を遂げています。

auじぶん銀行がマイナンバーカードで最短当日開設を実現した事例

マイナンバーカードの利用で最短“当日”口座開設 | auじぶん銀行

項目名内容
企業名auじぶん銀行
業界ネット銀行
ビフォー本人確認で手入力・書類撮影が必要、開設〜利用まで数営業日
アフターJPKI方式で最短当日の開設を実現、偽造・なりすまし対策も強化

auじぶん銀行では、2025年3月からマイナンバーカードのICチップに格納された顔画像を活用したJPKI方式を導入し、最短当日での口座開設を実現しています。従来は手入力や書類撮影による本人確認が必要で、開設から利用開始まで数営業日を要していました。

新システムでは、ICチップ内の顔画像と撮影画像を直接照合することで、手続きの簡素化と不正口座開設の防止を同時に達成。公的個人認証の直接照合により、UXとセキュリティの両立を実現しています。

同行では2019年からNECのDigital KYCや顔認証技術を段階的に導入しており、継続的な本人確認高度化の取り組みの集大成として位置づけられています。平日午前の申し込みであれば当日開設が可能となり、顧客の利便性が大幅に向上しました。

楽天銀行がeKYCで翌営業日口座開設を実現した事例

eKYCを活用した個人向け預金口座の開設申込及びカードローン申込の取扱いを開始 | 2022年 | プレスリリース | 楽天銀行

項目名内容
企業名楽天銀行
業界ネット銀行
ビフォー申込後に郵便受取等の手続きが必要で、利用開始まで日数を要する
アフターeKYCで最短翌営業日に開設完了、すぐにサービス利用可能

楽天銀行では、eKYC(electronic Know Your Customer)を活用したスピード口座開設により、最短翌営業日での開設完了を実現しています。従来は申込後に郵送による書面のやり取りが必要で、利用開始まで相当の日数を要していました。

同行が導入したeKYCシステムでは、顔認証方式に加えて、マイナンバーカードや運転免許証のICチップ読み取り方式を採用。Polarify eKYCという技術を活用し、本人確認の確度向上と手続きの簡素化を両立しています。

顔認証とICチップ読み取りのハイブリッド方式により、なりすましや偽造による不正申込みの防止効果も期待されています。アプリでの提出フローを公式サイトで明確化し、顧客の手続き時の迷いを最小限に抑える工夫も施されています。

セブン銀行が顔認証ATMでカードレス取引を実現した事例

顔認証取引サービス FACE CASH | セブン銀行

項目名内容
企業名セブン銀行
業界銀行(ATM/チャネル)
ビフォーキャッシュカード依存、紛失や盗難リスク、手続きの煩雑さ
アフター顔認証取引(FACE CASH)でカードレス・安全性向上・利便性改善を両立

セブン銀行では、顔認証ATM「FACE CASH」により、従来のキャッシュカードに依存しない革新的な取引体験を提供しています。従来のATM取引では、カードの紛失や盗難リスク、手続きの煩雑さが課題となっていました。

FACE CASHでは、NECの世界最高水準の顔認証技術「Bio‑IDiom」を採用し、一度の顔情報登録で以降は”手ぶら”での入出金を可能にしています。顔認証に加えて、顔認証パスコードと暗証番号による多要素認証を実装し、高いセキュリティを確保。

さらに、ランダムな動作指示によるなりすまし防止機能や、24時間365日の有人監視体制により、安全性を多層的に担保しています。静岡銀行をはじめとする連携金融機関も拡大しており、カードレス取引の新たなスタンダードとして普及が期待されています。

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データ・AI・クラウド基盤刷新の事例

この分野では、以下の企業の取り組みをご紹介します。

  • 北國銀行のクラウド移行
  • GMOあおぞらネット銀行のAPI基盤
  • りそなHD・みなと銀行のAPI連携

北國銀行が国内初のフルバンキングクラウド移行を実現した事例

国内初、パブリッククラウドでのフルバンキングシステム 2021 年稼働に向けて、プロジェクトを開始 – News Center Japan

項目名内容
企業名北國銀行(北國フィナンシャルホールディングス)
業界銀行
ビフォーオンプレ/従来型勘定系(固定費・拡張性の制約)
アフターAzure上で勘定系(BankVision)を稼働。以降はマルチクラウド/クラウドネイティブ化も推進。コスト削減の実現を報告

北國銀行は、2021年5月に国内初となるフルバンキングシステムのパブリッククラウド稼働を実現し、金融業界のDXをリードしています。従来のオンプレミス環境では、システムの維持・更改コストや俊敏性の不足が課題となっていました。

同行では、Microsoft Azure上で勘定系システム「BankVision」を稼働させることで、堅牢性・規制対応を維持しながらコスト最適化と内製・アジャイル開発の推進を両立。2019年の発表から2年をかけて段階的移行を実施し、本番稼働を実現しました。

統合報告書でもコスト削減効果を明示しており、以降はマルチクラウド化やクラウドネイティブ化、BaaS基盤の整備まで踏み込んだ中期計画を推進。IT子会社「デジタルバリュー」の設立や人材戦略と合わせて、総合的なデジタル変革を実現しています。

GMOあおぞらネット銀行がAPI基盤で645社との接続を実現した事例

API接続サービス | BaaS byGMOあおぞら | GMOあおぞらネット銀行

項目名内容
企業名GMOあおぞらネット銀行
業界ネット銀行/BaaS
ビフォー個社ごとの個別接続・スクレイピング中心で、安定性や開発効率に制約
アフター公開銀行API(35種)を整備し、645社と接続拡大。最短1週間で連携開始できる体制により、外部エコシステムを高速拡大

GMOあおぞらネット銀行では、「BaaS by GMOあおぞら」として包括的なAPI基盤を構築し、2024年12月末時点で接続契約社数645社という大規模なエコシステムを形成しています。従来の銀行と外部サービスの接続は個別開発が中心で、安定性や開発効率に課題がありました。

同行では、35種類の公開REST銀行APIを整備し、パブリック/プライベートアクセスの2方式で外部企業との連携を可能にしています。最短1週間での契約完了という迅速なオンボーディングにより、会計・請求・ECなど多様な業務SaaSとの連携を実現。

API基盤の水平展開により、連携の初期コストと期間を大幅に短縮し、組み込み型金融サービスの普及加速に貢献しています。標準化されたAPI仕様により、接続企業の運用負荷も軽減され、Win-Winの関係を構築しています。

りそなHD・みなと銀行が異なる勘定系でもAPI連携を実現した事例

みなと銀行とのバンキングアプリ基盤におけるAPI連携の開始について|ニュースリリース|りそな銀行

項目名内容
企業名りそなホールディングス/みなと銀行
業界銀行
ビフォー勘定系が異なる銀行ではUXの統一や機能展開が難しい
アフターAPI連携により、勘定系を共通化せずにグループアプリのUI/機能を横展開

りそなホールディングスとみなと銀行の取り組みは、異なる勘定系システムを持つ銀行間でも、API連携によりUXの統一と機能展開を可能にした画期的な事例です。従来、勘定系システムの違いは、スピーディーな機能拡張やUX統一の大きな障壁となっていました。

2022年2月から開始されたこの取り組みでは、りそなグループのアプリ基盤とAPIを活用し、みなと銀行(勘定系が非共通)との接続を実現。「みなとdeグループアプリ」として、勘定系を共通化することなくプレゼンテーション層の統一を可能にしました。

この金融デジタルプラットフォーム戦略は、地域金融機関への展開も可能な汎用的なスキームとして注目されています。将来の勘定系統合とAPI時代の共存を見据えた設計により、システム投資の最適化と顧客体験向上を同時に実現しています。


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金融DXの全体像を理解する

金融DXを検討する際は、業界全体の動向や技術要素を体系的に把握することが重要です。以下の観点から全体像を整理します。

金融業界の主要領域とDX対象範囲

金融DXは、リテール(個人向け)、法人、市場業務、保険、証券、決済・カード、バックオフィスの7つの領域に大別されます。

リテール分野では、スマートフォンアプリを活用した口座開設の簡素化や、AIチャットボットによる顧客サポートの自動化が進んでいます。法人分野では、融資審査の自動化や取引先企業の与信管理システムが導入され、審査時間の短縮とリスク精度の向上を実現。

市場業務では、アルゴリズム取引やリスク管理の高度化が図られており、ミリ秒単位での取引判断が可能になっています。保険分野では、テレマティクス技術を活用した使用量ベース保険や、画像認識AIによる損害査定の自動化が普及。証券分野では、ロボアドバイザーによる投資提案の自動化が進んでいます。

ニューラルオプト編集部

バックオフィスでは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による事務作業の自動化や、OCR技術を活用した書類の電子化が標準的な取り組みとなっています。

成果測定に使われる代表的なKPI

金融DXの成果は、売上、コスト、リスク、顧客体験(CX)、基盤の5つの観点から測定されます。売上指標では、新規顧客獲得数、デジタルチャネル経由の契約率、顧客一人当たりの収益(ARPU)などが重視されています。コスト指標では、業務処理時間の短縮率、人的作業の削減効果、システム運用コストの最適化効果を定量的に評価。

リスク指標では、不正検知の精度向上、与信判定の正確性、オペレーショナルリスクの低減効果を測定します。顧客体験では、Net Promoter Score(NPS)、口座開設完了率、サービス利用頻度(MAU)などが主要な指標。基盤指標では、システムの可用性、セキュリティインシデント件数、データ品質スコアなどが監視されています。

ニューラルオプト編集部

これらのKPIを組み合わせることで、DXの投資対効果を多角的に評価できます。

遵守すべき規制・ガイドライン

金融DXを進める際は、複数の規制やガイドラインへの対応が必要です。モデルリスク管理では、AIや機械学習モデルの開発・運用において、金融庁の「機械学習等のAI技術の利用に関する検査・監督の視点と実務」に沿った体制整備が求められています。

個人情報保護では、改正個人情報保護法に基づく適切なデータ取り扱いと、顧客への説明責任が重要になります。

資金決済に関する法律では、電子マネーやプリペイドカードなどの決済サービスにおいて、適切な資金管理と利用者保護が義務付けられています。AML(アンチマネーロンダリング)・KYC(顧客確認)では、犯罪収益移転防止法に基づく顧客の本人確認や取引監視体制の構築が必須です。

ニューラルオプト編集部

これらの規制要件を満たしながらDXを推進するには、法務・リスク管理部門との密接な連携が不可欠です。

理解しておくべきテクノロジー用語

金融DXでは、eKYC、CDP、MLOps、ストリーミングデータウェアハウスなどの技術用語を理解しておくことが重要です。

eKYC(electronic Know Your Customer)は、オンラインでの本人確認手続きを指し、顔認証やマイナンバーカードの読み取り技術を活用します。CDP(Customer Data Platform)は、複数のチャネルから収集した顧客データを統合管理するプラットフォーム。

MLOps(Machine Learning Operations)は、機械学習モデルの開発から運用までを自動化・効率化する手法です。ストリーミングデータウェアハウスは、リアルタイムでデータを処理・分析できるデータ基盤を意味します。

実務上、金融機関でMLOpsが必要になる場面は「不正検知モデルを毎月再学習させながら本番運用し続ける」ような局面です。更新の仕組みがなければ、6か月後には精度が劣化して誤検知が増え、現場担当者の負担が逆に増すことになります。当社の開発経験上、「モデルを作ること」と「モデルを育て続けること」は別のプロジェクトと考えて予算設計するのが現実的です。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝

東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。

業界のベンチマーク指標

金融DXの推進状況を客観的に評価するには、業界のベンチマーク指標との比較が有効です。デジタルチャネルの利用率では、先進的な金融機関において口座開設の7割以上がオンライン経由となっています。AIを活用した自動化では、定型的な問い合わせの8割以上をチャットボットで対応している事例が増加。

セキュリティ面では、多要素認証の導入率や、不正検知システムの精度向上効果が重要な指標となります。システムの可用性では、99.9%以上の稼働率を維持している金融機関が標準的。コスト効率では、デジタル化により従来比30-50%の業務時間短縮を実現している事例が多く見られます。

日本銀行が2025年3月に公表した「2025年度の考査の実施方針等」においても、オープンAPI、クラウド、生成AIなどのDX活用による業務効率化と非対面サービス拡充の動きが広がっていることが確認されており、DX推進は監督当局の考査・モニタリングにおいても重要な評価項目として位置づけられています。

出典: 2025年度の考査の実施方針等について/日本銀行/2025年3月

ニューラルオプト編集部

これらのベンチマークを参考に、自社のDX推進状況を客観的に評価し、改善点を特定することが重要です。

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金融DXを進めるときの注意点

金融DXを推進する際は、業界特有のリスクや制約を十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。以下の注意点を押さえて進めましょう。

セキュリティ要件への対応

金融機関のDXでは、ゼロトラスト、暗号化、監査証跡の確保が必須要件となります。ゼロトラストとは「何も信頼しない」前提でセキュリティ対策を構築する考え方で、ネットワークの内外を問わず、すべてのアクセスに対して認証・認可を行います。具体的には、多要素認証の導入、デバイス認証、継続的な行動監視などを組み合わせて実装。

暗号化では、データの保存時(暗号化ストレージ)と通信時(SSL/TLS)の両方で適切な暗号化技術を適用します。監査証跡では、システムへのアクセス履歴、データの参照・更新履歴、管理者操作ログなどを改ざん不可能な形で記録・保管しましょう。

ニューラルオプト編集部

これらの記録は、規制当局への報告や内部監査、インシデント調査において重要な証拠となるため、長期間の保管体制も整備する必要があります。

モデルリスク管理の実施

AIや機械学習を活用する際は、モデルリスク管理が重要な課題となります。バリデーションでは、モデルの予測精度、安定性、解釈可能性を第三者が検証し、本番運用前の品質を保証。開発チームとは独立した検証チームを設置し、客観的な評価を実施することが重要です。

ドリフト監視では、時間の経過とともにモデルの予測精度が低下する現象を早期に検知し、再学習や修正のタイミングを判断。説明可能性では、AIの判断根拠を人間が理解できる形で提示し、顧客への説明責任を果たします。特に融資審査や保険引受などの重要な意思決定においては、AIの判断理由を明確に説明できる仕組みが不可欠です。

金融庁は2024年10月に「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」を公表し、AIを含むデジタル技術の活用が進む中で、金融機関のサイバーセキュリティ対策強化とモデルリスク管理の高度化を国の方針として明確化しています。

出典: 金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン/金融庁/2024年

「第三者検証チームの設置」はメガバンクや大手損保であれば現実的ですが、地域金融機関や中小の保険代理店では人員面で難しいのが実態です。そういった場合、外部のAI開発会社に検証を委託する形が現実解になりますが、委託先が開発元と利益相反にならないよう「開発ベンダーとは別会社に検証を依頼する」という条件を調達仕様に明記しておくことを推奨します。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝

東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。

レガシーシステムからの脱却

金融機関の多くが抱えるレガシーシステムからの脱却は、段階的なアプローチが効果的です。段階移行では、リスクの少ない機能から順次新システムに移行し、業務への影響を最小限に抑制。インターフェース分離では、既存システムと新システムを適切なAPIで接続し、データの整合性を保ちながら段階的な置き換えを実現します。

移行期間中は、新旧システムの並行運用が必要となるため、データ同期の仕組みや運用手順の標準化が重要。特に勘定系システムのような基幹システムでは、移行時のダウンタイムを最小化し、取引の継続性を確保する必要があります。

移行完了後の旧システム廃止では、データの完全性確認、バックアップの取得、関連する運用手順の更新なども忘れずに実施しましょう。

現場運用の設計

DXシステムの成功は、現場での実際の運用にかかっています。標準業務と例外処理の切り分けでは、自動化可能な定型業務と人間の判断が必要な例外ケースを明確に定義。例外処理のエスカレーション手順や、システムダウン時の代替手段も事前に準備しておくことが重要です。

教育体制では、システム利用者向けの操作研修だけでなく、DXの目的や効果を理解してもらう意識改革も重要。SOP(標準作業手順書)では、日常的な運用手順、トラブル対応手順、定期メンテナンス手順などを詳細に文書化し、担当者の異動にも対応できる体制を構築します。

ニューラルオプト編集部

現場からのフィードバックを継続的に収集し、システムの改善や運用手順の最適化に活用する仕組みも設けましょう。

ROI測定方法の確立

DXプロジェクトの投資対効果を正確に測定するには、利益貢献、コスト回避、リスク回避の3つの観点から効果を定量化することが重要です。利益貢献では、新規顧客獲得による収益増加や、業務効率化による生産性向上効果を金額換算。コスト回避では、人件費削減、システム運用コスト削減、紙や印刷費などの間接費削減効果を算出します。

リスク回避効果では、不正損失の防止効果、コンプライアンス違反リスクの低減効果、システム障害による機会損失の防止効果などを評価。これらの効果は定量化が困難な場合もありますが、過去の実績データや業界ベンチマークを参考に合理的な推定値を設定することが重要です。

金融庁のITガバナンスレポートでも、DXは単なる業務合理化にとどまらず、中長期のDX戦略に基づいて新ビジネスへの変革につなげることが重要であると指摘されています。

出典: 金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート/金融庁/2022年

本記事でご紹介した15の事例が示すとおり、売上拡大・コスト削減・リスク抑制・UX改善・基盤刷新のいずれの切り口においても、先行して取り組んだ金融機関が競争優位を確立しており、DXの投資対効果は多面的・長期的な視点で評価すべきものです。

ニューラルオプト編集部

ROIの測定は短期・中期・長期の時間軸で分けて評価し、投資回収期間や継続的な価値創造効果を総合的に判断しましょう。

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開発・支援事例

著者

鈴木 佑理のアバター 鈴木 佑理 代表取締役

株式会社ニューラルオプト代表。
東京外国語大学卒業後、大規模言語モデルBERTなどの機械学習を活用したマーケティングツールの研究開発を目的にニューラルオプトを創業。

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