観光業界では、デジタル技術を活用した変革(観光DX)が急速に進んでいます。従来の観光サービスにデジタル技術を組み合わせることで、売上向上、運営効率化、顧客満足度向上など、様々な課題解決を実現している事例が全国各地で生まれています。
観光庁「旅行・観光消費動向調査」の2024年確報によれば、日本人の国内旅行消費額は25兆1,536億円と2019年比で14.7%増加し、暦年として過去最高を記録しています。観光需要が拡大する中、その成長をさらに加速させる手段として観光DXへの注目が高まっています。
参考:観光庁「旅行・観光消費動向調査 2024年年間値(確報)」/観光庁/2025年
本記事では、観光DXの成功事例を5つの軸に分けて詳しく紹介します。各事例の具体的な取り組み内容や成果を通じて、観光業界におけるデジタル活用のヒントをお届けします。
- 観光DXは「売上向上」「省力化」「満足度改善」「データ活用」の4軸で成果が出ている 志賀高原のCRM活用による直販比率向上、恐竜博物館の日時指定制による人件費最適化など、目的別に15の実践事例を紹介。自社の課題に近い事例から導入の優先順位を判断できます。
- 成功事例に共通するのは「デジタル化で得たデータを次の施策に活かす設計」があること 単なるチケットの電子化や予約システム導入ではなく、JR東日本のように利用データを周遊ルート提案に転用するなど、データ活用までを一体で設計している事例ほど高い成果を出しています。
- 導入費用はIT導入補助金や観光庁の観光DX推進事業など複数制度の併用で大幅に軽減できる 国と自治体の補助金は重複申請が可能なケースも多く、補助率1/2〜4/5で活用できます。ただし年度ごとに採択率や要件が変動するため、前年度からの情報収集と早期申請が採択の鍵です。
以下の記事ではDXの事例をより広くまとめています。ぜひ合わせてご覧ください。

売上・客単価・直販比率を伸ばした事例

以下の3つの事例をご紹介します。
- 志賀高原観光協会が直販機能とCRMで収益改善した事例
- 奈良県・奈良DMOが県域直販プラットフォームで売上向上した事例
- 近畿日本鉄道がデジタル周遊パスで消費促進した事例
志賀高原観光協会が直販機能とCRMで収益改善した事例

| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 志賀高原観光協会 | 観光協会・地域観光振興 | 仲介サイト経由の予約が多く、手数料負担と顧客データ不足が課題 | 協会サイトでの直販比率向上、CRMによる顧客データ活用で再訪促進を実現 |
志賀高原観光協会では、観光協会の公式サイトに宿泊予約や体験プログラムの直接販売機能を実装しました。これまでは外部の予約サイトに依存していたため、手数料の負担が重く、お客様の詳細なデータも把握できない状況でした。
新システムでは、宿泊施設や体験事業者が直接予約を受け付けられるようになり、手数料コストを削減。さらに重要なのは、取引データをCRM(顧客管理システム)で一元管理できるようになったことです。お客様の宿泊履歴、体験参加状況、嗜好などのデータを分析し、個別にカスタマイズした情報発信や特別オファーを実施。
これにより誘客力を強化し、リピーター獲得にも成功しています。地域の観光事業者全体で顧客データを共有・活用する仕組みが、継続的な収益向上につながっています。
ただし、CRMによるデータ活用が機能するには「そもそも分析できるだけのデータ量が蓄積されている」ことが前提です。弊社がDX支援を行ってきた経験上、年間宿泊者数が数千件に満たない小規模事業者の場合、CRMを入れてもデータが薄すぎてパーソナライズ施策が空回りするケースが少なくありません。まずはGoogleフォームなどで顧客アンケートを3〜6ヶ月集めてデータの「下地」を作り、そのうえでCRM導入に進むほうが、投資対効果としては堅実だと考えています。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
奈良県・奈良DMOが県域直販プラットフォームで売上向上した事例

| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 奈良県・奈良DMO | 自治体・観光振興組織 | 県内観光事業者の販売チャネルが分散、地域への投資も限定的 | 統一された地域サイトで予約・決済完結、金融機関連携で事業者支援も強化 |
奈良県と奈良DMOでは、県全域をカバーする観光予約プラットフォーム「奈良観光DXPF」を構築しました。従来は各事業者が個別にサイトを運営していたため、観光客にとって情報収集や予約が煩雑でした。
新プラットフォームでは、宿泊・飲食・体験・交通など、奈良県内の観光サービスを一つのサイトで検索・予約・決済まで完結できるようになりました。観光客の利便性が大幅に向上し、県内での消費機会拡大を実現。
さらに特徴的なのは、地域金融機関との連携です。プラットフォームの利用データを基に、参画事業者への投融資支援や経営アドバイスを提供する仕組みを整備。観光事業者の事業拡大を金融面からもサポートし、地域経済全体の循環促進につなげています。
近畿日本鉄道がデジタル周遊パスで消費促進した事例

【特急券付き】伊勢・鳥羽・志摩スーパーパスポート“デジタルまわりゃんせ”|デジタルきっぷサービス|観光・おでかけ|近畿日本鉄道
| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 近畿日本鉄道 | 鉄道・交通事業 | 紙の周遊チケット販売、施設入場券は個別購入が必要 | スマホ購入のデジタルパスで4日間周遊と22施設入場をセット化、消費単価向上 |
近鉄では、伊勢志摩エリアでの観光消費を促進するため、デジタル周遊パス「まわりゃんせ」を導入しました。従来の紙ベースのフリーパスでは、観光施設の入場券は現地で個別に購入する必要があり、お客様にとって手間がかかる上、事前の消費予測も困難でした。
新しいデジタルパスでは、スマートフォンで簡単に購入でき、4日間の鉄道・バス乗り放題に加えて、伊勢神宮や鳥羽水族館など22の主要観光施設の入場券をセットにしています。お客様は事前にまとめて購入するため、現地での支払いの手間が省けるだけでなく、「せっかく買ったのだから色々回ろう」という心理が働き、実際の消費行動も活発化。
近鉄にとっては客単価の向上と、エリア内での滞在時間延長による地域全体の活性化を同時に実現しています。
インバウンド/新規需要を獲得・回遊を促進した事例
以下の3つの事例をご紹介します。
- 東武鉄道がNIKKO MaaSで外国人観光客の利便性向上を実現した事例
- しまなみジャパンが公式アプリでサイクリング回遊を促進した事例
- 箱根DMO・箱根町観光協会がデジタルマップで混雑解消と回遊最適化を達成した事例
東武鉄道がNIKKO MaaSで外国人観光客の利便性向上を実現した事例

| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 東武鉄道 | 鉄道・交通事業 | 外国人観光客は複数の交通手段・観光施設で個別に手続きが必要 | スマホ一つで鉄道・バス・観光体験を一括購入・利用可能、周遊がスムーズに |
東武鉄道では、日光・鬼怒川エリアを訪れる外国人観光客の利便性向上を目的として「NIKKO MaaS(日光マース)フリーパス」を導入しました。従来は、東武鉄道、路線バス、観光施設それぞれで個別にチケットを購入する必要があり、言語の壁もあって外国人観光客にとって非常に複雑でした。
新システムでは、スマートフォン一つで鉄道とバスのフリーパス、さらに日光東照宮や華厳の滝などの主要観光スポットの入場券、温泉入浴券まで事前購入できるようになりました。現地では専用アプリを提示するだけで利用でき、言語対応も充実しています。
結果として、外国人観光客の満足度が大幅に向上し、口コミやSNSでの評価も高まりました。また、事前購入により観光客の行動予測が可能になり、混雑緩和や受入体制の最適化にもつながっています。
なお、JNTO(日本政府観光局)の発表によれば、2024年の訪日外国人旅行者数は3,687万人と過去最高を更新しています。
こうしたインバウンド需要の拡大を確実に取り込むために、MaaSのような多言語対応のデジタルサービス整備がますます重要になっています。
参考:JNTO「訪日外客数(2024年12月および年間推計値)」/日本政府観光局(JNTO)/2025年
しまなみジャパンが公式アプリでサイクリング回遊を促進した事例

| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| しまなみジャパン | 観光振興組織 | サイクリング情報が分散、個人での旅程作成や現地案内に限界 | 統合アプリで情報検索・旅程作成・音声案内・記録まで一体化、回遊体験向上 |
しまなみ海道を管理するしまなみジャパンでは、サイクリング観光の魅力を最大化するため、公式アプリを開発・提供しています。これまでサイクリング観光客は、複数のWebサイトやパンフレットから情報を収集し、自分でルートを考える必要がありました。また、現地での道案内や見どころの説明も限定的でした。
新しい公式アプリでは、観光情報の検索から個人の体力や時間に合わせた旅程作成、走行中の音声案内、走行記録の保存まで、サイクリング観光に必要な機能を一つのアプリに集約しました。
GPS機能を活用した詳細なルート案内により、初心者でも安心してサイクリングを楽しめるようになり、立ち寄りスポットでの消費も増加。走行記録をSNSでシェアできる機能により、新たな観光客の獲得にもつながっています。アプリ利用者の平均滞在時間と消費額が従来比で大幅に向上しています。
箱根DMO・箱根町観光協会がデジタルマップで混雑解消と回遊最適化を達成した事例

「箱根観光デジタルマップ」が機能拡大されました|箱根町観光協会公式サイト 温泉・旅館・ホテル・観光情報満載!
| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 箱根DMO・箱根町観光協会 | 観光振興組織 | 休日の観光地で深刻な渋滞・混雑、観光体験の質低下 | リアルタイム混雑情報とAI予測で分散誘導、快適な観光環境を実現 |
箱根DMOと箱根町観光協会では、観光地の慢性的な混雑問題を解決するため「箱根観光デジタルマップ」を導入しました。従来は特に休日において道路渋滞や駐車場不足、観光スポットの混雑が深刻で、観光客の満足度低下や地域住民への影響が課題となっていました。
デジタルマップでは、リアルタイムの渋滞状況、駐車場の空き情報、公共交通の運行状況を地図上で可視化。さらにAIカメラによる人流解析と過去データを組み合わせた混雑予測機能により、観光客が混雑を避けて行動できるよう支援しています。
おすすめの迂回ルートや時差来訪の提案により、観光地全体への分散誘導を実現。結果として、混雑の緩和だけでなく、これまで注目されていなかった穴場スポットへの誘客も促進され、地域全体の観光収益向上につながっています。
■少しでもAI・システム開発やPoCに興味があれば、まずはお気軽にご相談ください。目的・課題を伺ったうえで、弊社から手堅く進める方法・お見積りをお伝えさせていただきます。
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人手不足を解消し現場の省力化・運営効率を高めた事例
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」によれば、「旅館・ホテル」で正社員が不足していると回答した企業は71.1%にのぼり、全業種平均の51.0%を大きく上回っています。
特に地方部の施設ほど人手不足の深刻度が高いことが示されています。こうした構造的な課題に対して、デジタル技術による省力化は即効性のある解決策として注目されています。
参考:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」/帝国データバンク/2024年
以下の3つの事例をご紹介します。
- 福井県立恐竜博物館が日時指定制で行列解消と運営効率化を実現した事例
- 松本城が電子チケットで待機時間短縮と業務負荷軽減を達成した事例
- JR東日本がデジタルフリーパスで窓口業務削減と周遊促進を両立した事例
福井県立恐竜博物館が日時指定制で行列解消と運営効率化を実現した事例

通常観覧券購入|観覧券販売|来館のご案内|FPDM: 福井県立恐竜博物館
| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 福井県立恐竜博物館 | 博物館・文化施設 | 休日の長時間待機列、スタッフの負荷集中、来館者の不満 | 日時指定の事前決済で入館者数平準化、スタッフ配置最適化と顧客満足度向上を実現 |
福井県立恐竜博物館では、人気施設ゆえの混雑問題と運営効率の課題を解決するため、日時指定による事前購入システムを導入しました。従来は特に休日において、開館前から長蛇の列ができ、入館まで数時間待つことも珍しくありませんでした。これにより来館者の満足度が低下し、現場スタッフの負荷も集中していました。
新システムでは、入館券の事前購入と入館時間の指定を原則化。オンラインで事前決済を完了できるため、当日の券売所での混雑が大幅に解消されました。入館者数が時間帯別に平準化されることで、展示スペースでの密集も緩和され、来館者はゆっくりと展示を楽しめるようになりました。
運営側としても、予想入館者数に基づいた適切なスタッフ配置が可能となり、人件費の最適化と職員の働きやすさ向上を同時に実現。来館者アンケートでは満足度が大幅に改善しています。
この事例がうまくいった背景には、恐竜博物館が「目的地型」の施設であり、来館者が事前予約の手間を許容しやすいという条件があります。一方で、ふらっと立ち寄る性質の観光施設や商業エリアに同じ仕組みをそのまま適用すると、予約の煩雑さが敬遠されて来場者数が減るリスクがあります。普段DX支援を行っている立場としては、日時指定制は「そこに行く目的が明確な施設」に向いた手法であり、立ち寄り型施設では混雑情報のリアルタイム配信など別のアプローチを検討すべきだと考えています。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
松本城が電子チケットで待機時間短縮と業務負荷軽減を達成した事例

便利な電子チケット販売中! /Timed Entry E-Tickets available! | 国宝 松本城
| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 松本城 | 文化財・観光施設 | 現地での券売業務負荷、観光シーズンの長時間待機 | 電子チケットによる3ヶ月先予約と日時指定で待機列改善、業務効率化を実現 |
国宝松本城では、年間約80万人が訪れる人気観光地として、入城券の販売業務と観光シーズンの混雑が大きな課題でした。特にゴールデンウィークや紅葉シーズンには、券売所での購入手続きに時間がかかり、城内見学まで長時間の待機が発生していました。
電子チケットシステムの導入により、最大3ヶ月先まで日時指定での事前予約が可能になりました。QRコードによる電子チケットで入城手続きがスムーズになり、券売所での現金取扱業務も大幅に削減。観光客は事前に滞在計画を立てやすくなり、待機時間のストレスも解消されました。
運営側では、予約データに基づく来城者数の予測が可能となり、適切な人員配置や設備管理を実現。特に外国人観光客にとって、言語の壁を感じることなく事前準備できる点も大きなメリットとなり、国際的な評価向上にもつながっています。
JR東日本がデジタルフリーパスで窓口業務削減と周遊促進を両立した事例

| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| JR東日本 | 鉄道・交通事業 | 紙のフリーパス販売で窓口業務負荷、利用状況把握も困難 | スマホ限定デジタルパスで窓口負荷削減、利用データ分析で周遊促進策も強化 |
JR東日本では、群馬県内の観光振興を目的とした「ぐんまワンデーローカルパス」をデジタル化し、GunMaaSプラットフォームで提供しています。従来の紙ベースのフリーパスでは、各駅での販売業務がスタッフの負荷となり、特に観光シーズンには窓口が混雑していました。また、実際の利用状況やルートの把握も困難でした。
デジタルフリーパスは、スマートフォン専用での販売・利用に限定することで、駅窓口での販売業務を大幅に削減。購入から利用まですべてアプリ内で完結するため、利用者の利便性も向上しました。
さらに重要なのは、デジタル化により利用者の行動データを収集・分析できるようになったことです。人気ルートや時間帯、乗降駅などの詳細なデータを基に、観光スポットとの連携強化や新たな周遊ルートの提案など、より効果的な観光促進策を展開。業務効率化と観光振興の両方を実現しています。
体験価値(CX)・満足度を改善した事例
以下の3つの事例をご紹介します。
- 京都市観光協会が快適度予測マップで混雑回避と満足度向上を実現した事例
- 鎌倉市がAI混雑予測で観光客の行動最適化を支援した事例
- 沖縄MaaSが統合プラットフォームで観光体験の利便性を大幅改善した事例
京都市観光協会が快適度予測マップで混雑回避と満足度向上を実現した事例

混雑回避に役立つ京都観光快適度マップ|【京都市公式】京都観光Navi
| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 京都市観光協会 | 観光振興組織 | 観光地の混雑で体験の質低下、観光客の不満とリピート率減少 | 時間帯別快適度予測とモデルコース提案で混雑回避と充実した滞在を両立 |
京都市観光協会では、世界的な観光都市として年々増加する観光客による混雑問題に対応するため「京都観光快適度マップ」を開発・提供しています。従来は清水寺や嵐山などの人気スポットで慢性的な混雑が発生し、観光客の体験の質が低下するとともに、地域住民の生活にも影響を与えていました。
快適度マップでは、主要観光地の時間帯別混雑予測を「快適」「やや混雑」「混雑」の3段階で表示し、リアルタイムの状況も併せて提供。さらに、混雑を避けながらも京都の魅力を存分に楽しめるモデルコースを複数提案しています。観光客は事前に計画を立てて混雑を回避でき、ゆったりとした時間で観光を楽しめるようになりました。
結果として、観光客の満足度が向上し、SNSでの好意的な投稿も増加。混雑分散により、これまで注目されていなかった穴場スポットへの誘客も実現しています。
鎌倉市がAI混雑予測で観光客の行動最適化を支援した事例

| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 鎌倉市 | 自治体 | 小町通りなど主要観光地の混雑で観光体験の質低下 | AI解析による1週間先の混雑予測で事前の行動計画支援、快適な観光環境を提供 |
鎌倉市では、コンパクトな観光エリアゆえの混雑問題を解決するため「鎌倉観光混雑マップ」を導入しました。特に小町通りや鶴岡八幡宮周辺では、休日を中心に歩行困難なほどの混雑が発生し、観光客の満足度低下や安全面での懸念が生じていました。
混雑マップでは、AI技術を活用して過去のデータと気象情報、イベント情報などを組み合わせ、最大1週間先までの時間帯別混雑予測を地図上で可視化しています。観光客は訪問前に混雑状況を確認し、比較的空いている時間帯や代替ルートを選択できるようになりました。
現地での混雑ストレスが軽減されることで、グルメやショッピング、写真撮影などにより多くの時間を割けるようになり、観光消費の増加にもつながっています。市としても、混雑の分散により交通渋滞や公共交通への負荷軽減を実現し、住民生活との調和も図られています。
沖縄MaaSが統合プラットフォームで観光体験の利便性を大幅改善した事例

| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 沖縄MaaS(TIS基盤・関係事業者) | 交通・観光プラットフォーム | 離島間移動や観光施設利用で個別手続きが煩雑、特に初回来訪者には複雑 | ゆいレール・船舶・バス・施設チケットの一括予約購入、セット割引で体験価値向上 |
沖縄県では、独特の地理的条件による交通の複雑さと観光施設の分散により、観光客の利便性向上が大きな課題でした。那覇市内のゆいレール、離島への船舶、路線バス、各観光施設のチケットをそれぞれ個別に手配する必要があり、特に初回訪問者や外国人観光客にとって非常に煩雑でした。
沖縄MaaSでは、これらすべての交通手段と観光施設のチケットを一つのプラットフォームで予約・購入できるシステムを構築。スマートフォンアプリで事前に必要なチケットをまとめて購入でき、現地では電子チケットを提示するだけで利用可能です。
さらに、複数のサービスを組み合わせることで割引が適用されるセット商品も提供し、観光客の消費促進も実現。利用者からは「沖縄旅行が格段に楽になった」という高い評価を得ており、リピーター率の向上にも貢献しています。
地域データ連携基盤を構築し意思決定を高度化した事例
以下の3つの事例をご紹介します。
- 奈良県が観光データポータルで施策の根拠となるデータ活用を実現した事例
- 北陸3県が広域データ連携で周遊・消費最適化を目指す事例
- 奈良県がETC2.0データで混雑予測と行動変容を促進した事例
奈良県が観光データポータルで施策の根拠となるデータ活用を実現した事例

奈良県観光データ ポータルサイト「みるなら」https://nara-tourism-data.pref.nara.jp/?utm_source=chatgpt.com
| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 奈良県 | 自治体 | 観光データが各所に分散、根拠に基づく施策立案が困難 | 統計・人流・決済データを一元化した「みるなら」で事業者・DMOの意思決定を高度化 |
奈良県では、観光振興施策をより効果的に推進するため、観光データポータルサイト「みるなら」を構築しました。
従来は観光統計、人流データ、決済データなどが各組織や事業者に分散して管理されており、観光の現状を総合的に把握することが困難でした。そのため、施策の立案や効果検証において、感覚的な判断に頼らざるを得ない状況が続いていました。
「みるなら」では、県内の観光統計データ、携帯電話の位置情報から分析した人流データ、クレジットカード等の決済データを一つのプラットフォームで可視化。月別・曜日別の入込客数、観光客の移動パターン、消費金額の分析などを、直感的に理解できるグラフや地図で表示しています。
県や市町村の観光担当者、DMO、観光事業者が同じデータを基に議論できるようになり、根拠に基づいた戦略的な観光振興が可能になりました。新たな観光ルートの開発や効果的なプロモーション展開により、観光消費額の向上を実現しています。
北陸3県が広域データ連携で周遊・消費最適化を目指す事例

| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 北陸3県(富山・石川・福井) | 自治体広域連携 | 各県個別のデータ管理、広域周遊の実態把握と連携施策が不十分 | 3県共通データの収集・可視化・オープン化で広域周遊と消費の最適化を推進 |
北陸3県(富山県・石川県・福井県)では、北陸新幹線開業効果を最大化するため「北陸インバウンド観光DX推進事業」として広域でのデータ連携基盤を構築しています。従来は各県が個別にデータを管理していたため、3県をまたがる観光客の周遊パターンや消費行動の実態を把握することが困難でした。
この事業では、3県共通フォーマットでの観光データ収集、統一された分析手法による可視化、そして他地域でも活用できるオープンデータ化を段階的に進めています。外国人観光客の県間移動パターン、滞在日数と消費額の関係、交通手段選択の傾向などを定量的に分析。
この分析結果を基に、3県が連携した周遊ルートの提案、交通アクセスの改善、受入環境の整備を実施しています。データドリブンな広域連携により、単独県では実現できない観光振興効果の創出を目指す先進的な取り組みとして、他地域からも注目を集めています。
奈良県がETC2.0データで混雑予測と行動変容を促進した事例

奈良公園周辺道路 混雑カレンダー | 奈良公園・平城宮跡アクセスナビ | 古都をスイーっと! らくらく奈良めぐり
| 企業名 | 業界 | ビフォー | アフター |
|---|---|---|---|
| 奈良県 | 自治体 | 奈良公園周辺の交通渋滞が慢性化、観光体験の質低下と環境負荷が課題 | ETC2.0と天候データによる混雑予測で公共交通利用と時差来訪を促進 |
奈良県では、世界遺産である奈良公園周辺の交通渋滞問題を解決するため、ETC2.0データを活用した「混雑カレンダー」を開発・提供しています。従来は特に春の桜シーズンや秋の紅葉シーズンにおいて、奈良公園周辺道路で深刻な渋滞が発生し、観光客の移動時間増加や環境負荷の増大が問題となっていました。
混雑カレンダーでは、高速道路のETC2.0から得られる交通データと天候情報、過去の観光客データを組み合わせて、向こう数日間の道路混雑状況を予測。「混雑」「やや混雑」「空いている」の3段階で表示し、観光客が事前に交通状況を把握できるようにしています。
さらに、混雑が予想される日には公共交通機関の利用や時差来訪を積極的に呼びかけ。その結果、マイカー利用から電車・バス利用への転換が進み、道路渋滞の緩和と観光客の満足度向上を同時に実現。持続可能な観光地運営のモデルケースとしても評価されています。
観光DX導入で活用できる補助金・制度

観光DXの導入には相応の費用がかかりますが、国や自治体、民間団体が提供する様々な補助金や支援制度を活用することで、導入コストを大幅に軽減できます。
2023年に閣議決定された第4次「観光立国推進基本計画」では、観光DXの推進が主要施策の一つに位置づけられ、「DX戦略を有する登録DMOを2027年度までに90団体」とする具体的な目標も掲げられています。
また、観光庁の「観光DX推進のあり方に関する検討会」最終取りまとめでは、2027年度をターゲットとしたKPIとロードマップが設定され、国としても観光DXへの投資を後押しする姿勢が明確です。
参考:観光立国推進基本計画(第4次)/内閣(閣議決定)/2023年|観光庁「観光DX推進のあり方に関する検討会 最終取りまとめ」に関する報道(トラベルボイス)/2023年
以下の5つのポイントを押さえて、効果的に制度を活用しましょう。
複数の補助金制度を組み合わせて最大限活用する
観光DX導入では、単一の補助金だけでなく複数の制度を組み合わせることで、より大きな支援を受けられます。国土交通省の観光庁による「観光DX推進事業」、経済産業省の「IT導入補助金」、各都道府県の観光振興補助金、さらに民間財団の助成金まで、様々な選択肢が存在。
それぞれ対象範囲や補助率が異なるため、プロジェクトの内容に応じて最適な組み合わせを検討することが重要です。国の補助金と地方自治体の補助金を重複して申請できる場合も多く、事前の情報収集が成功の鍵となります。
実際に補助金活用を支援してきた経験からいうと、観光事業者の多くは本業が忙しく、補助金の公募要領を読み込む時間すら確保できないのが実情です。特に従業員10名以下の小規模事業者の場合、申請書類の作成負荷だけで断念してしまうケースを多く見てきました。
そのため、当社では補助金申請に対応できる開発パートナーや、申請支援を行う認定支援機関と連携した進め方を推奨しています。「どの補助金を使うか」の前に、「申請業務を誰がやるか」を先に決めておくことが、活用成功の第一歩です。

株式会社ニューラルオプト 営業部部長 / DX事業部部長
古谷優輝
東京農工大学大学院 工学府 応用化学専攻 修士課程を修了後、外資系自動車会社にてエンジニアとして自動運転のAI開発などに従事。その後ニューラルオプトに参画し、クライアントのAI開発やSEOツールの開発、RAGなどベクトル検索を活用した検索エンジン開発なども行っています。
申請スケジュールを逆算して準備期間を確保する
補助金申請では、公募開始から採択決定、事業実施、実績報告まで長期間のスケジュール管理が必要です。多くの補助金は年度初めに公募要領が発表され、春頃に申請締切を迎えるパターンが一般的。採択後も事業期間内での実施完了と、その後の実績報告書提出が義務付けられています。
特に観光DXプロジェクトでは、システム開発に数ヶ月を要するケースが多いため、採択から事業完了までの期間を十分に考慮した計画立案が不可欠です。
申請前年度から情報収集を開始し、余裕をもったスケジュールで準備を進めることをお勧めします。
対象経費の範囲を正確に把握して予算計画を立てる
補助金ごとに対象となる経費の範囲が異なるため、事前の詳細確認が重要です。ハードウェア購入費、ソフトウェアライセンス費、システム開発委託費、プロジェクト管理人件費など、どの項目が補助対象になるかを正確に把握する必要があります。
例えば、2026年度(令和8年度)から従来の「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更され、生成AIを含むAIツールの導入支援が強化されています。通常枠では最大補助額450万円、補助率1/2〜4/5でPMSや予約システム等の導入が対象です。
2025年度に申請数が前年比で約2倍に増加し採択率が低下傾向にあった流れを受け、2026年度は審査でAI活用がより重視される見込みのため、早期の申請準備とAI活用を意識した事業計画の策定が採択の鍵を握ります。
参考:デジタル化・AI導入補助金公式サイト(中小機構)/中小企業基盤整備機構/2026年
特に注意が必要なのは、消費税の取扱いや、既存システムとの連携費用、運用開始後の保守費用などの扱いです。
補助対象外の費用についても自己負担として予算に組み込み、総事業費に対する補助金の割合を正しく計算することで、現実的な事業計画を策定できます。
加点項目を意識した申請書類で採択率を高める
補助金の採択では、基本要件を満たすだけでなく、加点項目での評価が重要な要素となります。観光DX関連の補助金では、複数事業者間でのデータ連携、持続可能な運用体制の構築、地域経済への波及効果、外国人観光客対応などが加点要素として設定されることが多い傾向。
申請書作成時には、これらの加点項目を意識した事業計画とし、具体的な効果測定方法やKPI設定を盛り込むことで採択の可能性を高められます。
過去の採択事例も参考にしながら、審査員に事業の意義と実現可能性を分かりやすく伝える工夫が重要です。
実効性のあるKPI設計と計画書で申請の説得力を向上させる
補助金申請では、事業効果を定量的に示すKPI(重要業績評価指標)の設定が求められます。観光DXプロジェクトにおいては、売上向上率、新規顧客獲得数、業務効率化による時間短縮効果、顧客満足度スコアなど、測定可能で事業目的に直結する指標を選択することが大切。
見積書については、複数業者からの相見積もりを取得し、費用の妥当性を示すとともに、事業完了後の効果検証方法まで含めた包括的な計画として提示することで、申請の説得力を大幅に高められます。
現状値(ベースライン)の設定、目標値の根拠、測定方法の具体化まで詳細に計画書に記載しましょう。
観光DXならニューラルオプト
観光DXプロジェクトの成功には、技術導入だけでなく「課題解決の設計」から始まる総合的なアプローチが不可欠です。合同会社ニューラルオプトは、世界的生成AIであるChatGPTの開発に携わり、日本展開の裏側を支えるAI開発企業として、観光業界特有の課題に対する最適解をご提案します。
単なるシステム開発会社ではなく、課題解決コンサルティングから対応可能な点が最大の特徴。観光データの分析からAIを活用した予約最適化、多言語対応システムまで、データサイエンスの豊富な知見を活かした包括的なソリューションを提供。
「失敗リスクを最小化する」をコンセプトに、現状分析・課題特定から始まり、組織への定着支援、運用改善まで一貫してサポートします。
ECサイト「eBay」の価格自動設定AIシステムや手書き文字のAI認識・要約システムなど、実績豊富な技術力で、観光DXの成功を確実にお手伝いします。







